今回は高級ウイスキーテイスティンググラスをひとつご紹介します。
これまでは5,000円以下のテイスティンググラスを多くレビューしてきましたが、今回はひと味違う高級品。
【ZWEISEL 1872】はドイツの大手ガラスメーカーZWIESEL Kristallglas社(ツヴィーゼルクリスタルガラス)が2005年に発表したハイエンドグラスシリーズ。
これまで紹介したSCHOTT ZWIESEL(ショットツヴィーゼル)も機能的で使い勝手のよいグラスでしたが、こいつは素材からしてまるで違います。
マシンメイドとは一線を画すオールハンドメイドの「ウイスキーノージング グラス THE FIRST ザ・ファースト」を徹底レビュー!
ツヴィーゼルブランド紹介
創業は1872年。二つの大戦を乗り越えた150年の歴史を誇るブランドです。
ドイツ・ミュンヘンの北東約180km。
ドナウ川を超えたバイエルンの深い森の中、ガラスの原料となる良質の珪石や木炭に恵まれた土地で、時代にあったグラス作りを続けています。
2007年にはドイツで「耐熱ガラスの代名詞」といわれるブランド「イエナ・グラス」を買収。
2017年には高級ホテル・レストランへクリスタルグラスを供給するメーカーとして、「世界のマーケットリーダー2017」に輝きました。
現在
- ハンドメイドの「ZWIESEL1872(ツヴィーゼル1872)」
- マシンメイドの「SCHOTT ZWIESEL(ショット・ツヴィーゼル)」
- 耐熱ガラスの「JENAER GLAS(イエナグラス)」
のブランドを展開しています。
ツヴィーゼル1872とは
ツヴィーゼルの創業年である「1872」の名称を冠するブランドで、熟練の職人による手吹きで作られる高級ハンドメイドラインです。
機能美、造形美ともに優れ、使い心地の良いフォルムとともに、クリスタルガラス自体の美しさ、軽やかさ、薄さに重点をおいたシンプルで凛とした調和を感じさせるシリーズです。
デザインの多くは国際的にも評価の高いガラスデザインの第一人者、ミカエル・ボーム教授が手がけています。
ガラスの素材を生かすピュアでスタイリッシュなデザインは、これまでの「高級品=装飾的」というイメージを覆し、モダンな美しさを湛えています。
ツヴィーゼル THE FIRST(ザ・ファースト)シリーズとは
上記で紹介した1872ブランドの中でも最上のグラスにだけ与えられる名称。それが『THE FIRST(ザ・ファースト)』です。
視覚的にかつ触覚的にも美しく、贅沢でエレガントな輝きを放つ”THE FIRST”。ハンドメイドならではの繊細な逸品です。
世界のコンクールで優勝したソムリエとの共同開発で生まれたシリーズ”THE FIRST”は、味覚のタイプによってグラスを選別するという新コンセプトの基でつくられています。
ワイングラスが主でブドウの種類や産地、ワインやお酒の種類を統計化して、20のグラスに集約しました。
製品のスペックと特長
リム
ハンドメイドならではの精巧なつくり。リム幅は0.9mm前後か。
単純な薄さでいえばリーデルのハンドメイド品、ソムリエコニャックXOのほうが薄い。
しかしツヴィーゼル特有の無鉛クリスタルの材質なのか、妙に「やわらかさ」を感じる肌触りなのだ。
不思議な言い方だが、ムニュリと唇の弾性、跳ね返りを感じる。
無論、心地よい意味でだ。
ボウル
滑らかに末広がりなボウル。
100mm程度の長さがあり、大きく、深い。
テイスティンググラスとしてはかなり容量が入る部類で、エアレーションの能力は高い。
スワリングもしやすく、ウイスキーに潜む繊細で複層的な香りを上手に導いてくれる。
ステム&プレート
ステムはプレートに至るまでに大きく絞り込まれ、鍛えこまれたアスリートの脹脛を彷彿とさせる。
見た目とは裏腹に驚くほど軽量であり、取り扱いが非常に楽。
プレートは安定感があり、ツヴィーゼル1872のロゴが上品に刻まれている。
スペック/商品仕様
高さ | 210mm |
口径 | 50mm |
底面積 | 70mm |
最大径 | 78mm |
重量 | 本体90g 蓋38g |
容量 | 294ml(約10oz) |
どんなウイスキーに向いているか
第一印象は「なんじゃこりゃ?」でした。
大型で不思議なフォルム。
リーデルソムリエコニャックXOを先に使用していたので、その形状にどういうロジックがあるのか理解していませんでした。
持ってみるとわかるのですが、非常に、いや、異常に軽い。
これがハンドメイドの魔力。
手に吸い付くようなつくりの良さと高い透明度は一度使ったらやみつきになります。
ボウルは深くアロマをよく立ちあがらせます。とても小気味よいスワリングが可能で、可憐で香りの線が細いものもうまく掬い上げることが可能。
吸いつくような飲み口も秀逸で、短熟~長熟ウイスキーまで余すところなく楽しめます。
蓋の使いどころは自由ですが、ウイスキーを入れた直後に蓋をして、香りがグラスに充満するのを待ち、一気に解き放つという楽しい飲み方が可能です。
トップノートの情報量がとてつもなく多くなるので、これまで把握できなかったフレーバーも取得することができます。
ちなみに本体が90gに対しては蓋が38gあります。しっかりした造形で安定しています。
こんなウイスキーが飲みたい!
ラガヴーリン 16年
ヘビーピート&シェリー樽熟成といえば外せないアイラの巨人。
スタンダードで16年熟成というのは珍しく、非常に完成度の高い人気商品でもあります。
ドライでスモーキー、ヨード臭と潮の風味が上手くまとまり、シェリー樽からくる甘味・フルーティがうまく同居しているスタンダードにして傑作ともいえるべきボトル。
一度口にすれば記憶に残る銘柄となるのは間違いありません。
蒸溜所からは「16年物には、シェリー樽を使用していない」と公表していますが、ウイスキー愛好家達の間ではセカンドフィル(シェリー樽の再々使用)以降の樽を使用しているとのではないか…という憶測が立てられています。
香りは薬箱や歯医者を彷彿とさせるような薬品香、しかし奥にはバニラと花の蜜が潜みます。
味わいも実にスモーキー&ピーティ、そして正露丸のヨード香、磯の香りが一気に押し寄せます。
その後におそらくシェリー樽からであろうドライフルーツ、バニラのような甘みもしっかりと感じられます。
グラスを手に入れたら合わせて買いたい「グラスクロス」をレビューしました!
クリスタルガラス専用の布巾でミクロのゴミや、ケバはもちろん、油性の汚れや指紋跡も残しません。
洗い方や拭き方で気をつけたほうがいいポイントも書いています。
バーボン樽でスッキリ目のものより、ピーティなシェリー樽熟成のものがおすすめです。
プレゼントにも最適な逸品で、こんなの贈られた日には枕元に置いて寝ます。