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米クラフト蒸溜所は2,131か所に。閉鎖が開業を上回る

米クラフト蒸溜所は2,131か所に。閉鎖が開業を上回る

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米国クラフトスピリッツ協会の2026年版の調査で、2026年8月時点の米国のクラフト蒸溜所は2,131か所と分かりました。

前年の2,282か所から6.6%減で、協会は、閉鎖が開業を上回ったのは初めてとしています。

2025年のクラフトスピリッツの販売は、数量が8.0%減の1,170万ケース(9リットル換算)、金額が3.7%減の73億ドル(約1兆1,500億円)。3年連続の減少です。

昨年の調査では3,069か所から2,282か所へ25.6%減っており、「初めて」という表現と並べると、読み方に注意が要ります。今回の発表文に、昨年の減少との関係の説明はありません。

昨年の25.6%減は、樽の供給網への波及とあわせて、BARRELでも取り上げました。

米クラフト蒸溜所が25%減少。樽供給網にも破綻の波

狭まっていく販売先

協会は、売り先が狭まったことを背景に挙げています。

流通業者は在庫を消化するために取り扱いを絞り、輸出は関税の影響で13.4%減の12万3,000ケースになりました。ほとんどの州では、蒸溜所が消費者へ直接発送することも禁じられたままです。

ウイスキーは、売れるまでに数年かかる商売です。売り先が詰まれば、現金が先に尽きます。コロラド州の蒸溜所団体の会長も、穀物、瓶、樽、輸送とほぼすべての費用が上がっていると話しています。

その結果、蒸溜所の店頭で売る比率が上がりました。2015年に14%だった蒸溜所での直販は、2025年に26%です。ボトルの4本に1本以上が、見学や試飲に来た人の手に渡る計算になります。一方、他州での販売は、2020年の54%から51%に下がりました。

オーツカ
4本に1本が蒸溜所の店頭。来てくれる客を持つ蒸溜所が踏みとどまる構図ですね。

投資も絞られています。
1社あたりの平均投資額は28万8,900ドルから23万9,800ドルへ、業界全体では8億1,100万ドル(約1,280億円)から5億2,600万ドル(約830億円)へ減り、2年連続の減少です。雇用も2万1,285人で、2024年の2万8,628人から25.6%減りました。

同じ不況でも、残る側と拾う側がいる

蒸溜所で客を持つこと、資金に余裕があること。この二つを持っている蒸溜所が踏みとどまり、持たない蒸溜所から順に退場しています。

象徴的なのが、ケンタッキー州のギャラード郡蒸留所です。

2024年1月に開業した年間最大15万樽をうたう新設の蒸溜所で、2025年4月に破産を申請しました。

サゼラックは今年3月、この蒸溜所が負っていた2,600万ドル超(約41億円)の債権を買い取り、6月の競売に唯一の入札者として2,000万ドル(約32億円)で落札しています。直近の鑑定評価額2,790万ドル(約44億円)を下回る水準でした。

サゼラックによる取得の経緯は、8月の記事にまとめています。

破綻蒸留所を2,000万ドルで拾ったサゼラックの拡大戦略

大手が拾い、新設の大型蒸溜所が手放す形です。規模を先につくった新設ほど、売り先が細ったときの傷が深いのではないでしょうか。

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回復の材料はあるのか?前年との違い

回復の材料の一つは、新しい減税の法律です。

6月29日に超党派で「スピリット法」が可決されました。年間の生産量が一定以下で、原料の9割以上を米国産でまかなう小規模蒸溜所は、納める連邦の酒税から一定額を差し引けるようになります。

差し引ける額は、プルーフ・ガロンあたり2.35ドル(約370円)です。プルーフ・ガロンは、度数50%のウイスキー1米ガロン(約3.8リットル)を1と数える、酒税用の単位です。

単純に計算すると、度数40%の750mlボトルで1本あたり約0.37ドル(約59円)の軽減になります。ボトルの価格から見れば小さな額ですが、協会は、費用が上がり先行きも見えない時期の助けになると歓迎しました。適用の開始時期は、現時点で確認できていません。

前年までとの違いは、減る項目が増えたことです。この調査は2016年に始まり、投資額が前年を下回ったのは2024年が初めてでした。雇用も同じ年に、コロナ禍の後で初めて減っています。

2025年は、そこに販売数量と蒸溜所の数も加わりました。販売数量、蒸溜所の数、投資額、雇用の4つが、すべて減っています。協会は、2023年に始まった縮小が、2025年に再び速まったと整理しています。

日本のクラフトにとっての読み方

日本は逆に、増え続けている局面です。『JAPANESE WHISKY YEARBOOK 2026』に載る国内蒸留所は、過去最多の126か所。準備中を含めると150を超えます。

国内の蒸溜所数の増え方は、年鑑の発売時に取り上げました。

国内蒸留所は126カ所へ『JAPANESE WHISKY YEARBOOK 2026』2月17日発売

米国との違いは、本業の有無です。鹿児島で連携を始めた6社は、いずれも焼酎づくりを本業に持つ蔵元でした。

亀田は印章、新道は焼酎と日本酒の蔵が母体です。本業の収入で熟成の時間を支えられる蔵が多いことは、日本の強みと言えるでしょう。

鹿児島の6社の連携は、9月の記事で伝えています。

嘉之助、津貫など6蒸溜所が連携。鹿児島ウイスキートレイル始動

それでも、売り先と資金の細りが米国で先に表へ出たのは確かです。読む側にできることは、気に入った国内クラフトがあれば、蒸溜所の店頭や見学で買うことです。

米国のデータで見ると、苦しい時期のクラフトの足場は、蒸溜所で直接ボトルを買う客でした。

この手の数字は気が重いものの、現実を見て次に生かしたいところです。増える一方だった蒸溜所の数が、世界のあちこちで選別の段階に入っています。




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