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対日輸出は追い風か逆風か。米蒸留酒業界、訪日ツアーの舞台裏

対日輸出は追い風か逆風か。米蒸留酒業界、訪日ツアーの舞台裏

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米国蒸留酒協会(DISCUS)が6月1日から5日にかけて、18の米国蒸溜所を伴う貿易使節団を東京・台北に派遣しました。

米農務省のマーケットアクセスプログラムの支援を受けた「Discover US Spirits」キャンペーンの一環で、ホテルオークラ東京でのテイスティングをはじめとする商談会・試飲会に、バイヤーやインポーター、業界メディアなど200名超が参加しています。

東京・台北で仕掛けられた大型プロモーション

DISCUSの発表によれば、日本は米国産蒸留酒にとって輸出先として世界7位、アメリカンウイスキーに限れば4位の市場で、2025年の対日輸出額は7,300万ドル(約117億円)に達したとしています。

台湾も伸びており、蒸留酒全体の輸出額は前年の約200万ドルから410万ドル(約6.6億円)へ、アメリカンウイスキーは150万ドル(約2.4億円)から220万ドル(約3.5億円)へと拡大しました。DISCUSの輸出促進マネージャー、ジョエル・マティックス氏は「アジアの米国産スピリッツにとって刺激的な時期だ」と述べ、日本・台湾を今後の輸出成長の柱と位置づけています。

数字だけ見れば「絶好調」に見えるが

一方でBARRELが6月に報じた通り、2025年のアメリカンウイスキーの対日輸出額は関税報復の影響で28%減という数字も存在します。

DISCUSが強調する「対日7,300万ドル」という規模感と、実際の輸出の勢いにどの程度の差があるのか、今回の発表だけでは判然としません。

両者は集計期間や対象品目が異なる可能性があり、単純に比較できるものではありませんが、業界団体側の「好調」という説明と、現場で語られる「減少」という感覚の間に温度差があることは確かなようです。訪日ツアーというプロモーション色の強い活動である以上、数字の見え方には割り引いて向き合う必要がありそうです。

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カナダ・欧州からの退避先としてのアジア

背景にあるのは、カナダ・欧州という主要市場の不振です。

カナダでは複数の州が報復措置として米国産蒸留酒を小売棚から撤去した影響で、2025年3月から12月にかけて対カナダ輸出が70%超も落ち込みました。

欧州向けの報復関税も先行き不透明なままです。それでもカナダ・欧州を除けば、2025年のアメリカンウイスキー輸出は13.2%増えており、業界の目が新興市場へ向かっているのは間違いなさそうです。

とりわけ伸びているのがシンガポールです。自由貿易協定により米国産ウイスキーへの関税がかからないこの都市国家では、2025年の米国産蒸留酒輸出額が2,700万ドル(約43.5億円)と前年比42.6%増加し、成長率で見た輸出先の上位5市場に入りました。

米国ウイスキー協会のマイケル・ビレロ氏は「シンガポールは洗練されたホスピタリティ文化を持つ市場であると同時に、アジア全体への足がかりでもある」と述べ、ベトナムやタイ、マレーシアへの再輸出拠点としての役割を強調しています。カナダ・欧州からの退避先として、アジア全体が米国産蒸留酒の新たな主戦場になりつつあるようです。

オーツカ
「対日輸出は好調」というDISCUS側の説明と、関税で数字が落ち込んでいるという現場感覚。どちらもおそらく本当で、見ている期間や品目が違うだけなのではないでしょうか。



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