今回はスロバキアのクリスタルガラスメーカーRONA(ロナ)社のスタンダード中のスタンダードであるINAOテイスティンググラスをレビューしていきましょう!
ワイングラスやシャンパングラス、カラフェなどを中心にたくさんのリーズナブルで高品質な製品を販売しているロナ。
ロナというブランド名は日本ではあまり聞きませんが、数々の超有名メーカーの商品生産も請け負っています。
なので、お持ちのグラスも実はロナ社製品なんてことはよくあります。
ロナ(RONA)ブランド紹介
ロナは、1892年に設立され、もうすぐ130周年を迎えるスロバキアのガラスメーカー。
もともとウィーンで有名なザッハーホテルを始め世界中のホテルへガラス製品を供給しながら、ヨーロッパでは最初となるパンタグラフィック装飾の設備(写図機)を開発し、その装飾技術の発展に重点を置いてオリジナルデザインを生みだしてきました。
オートメーションとハンドメイドの両方を兼ね揃えており、その技術力・品質の高さ、装飾技法の豊富さはヨーロッパ内に留まらず世界中から高い評価を得ています。
特にハンドメイドの技術の高さはヨーロッパ随一と云われるほどの高い評価を得ており、特にステムグラスにおいては、引き脚技法により他社にはできないほどの細さを実現しています。
INAO(イナオ)グラスとは
タイトルにINAOとかISOとか入っているけど、これはなんなのでしょうか。
ISOは聞いたことある方も多いと思います。国際標準化機構(International Organization for Standardization)のことです。
INAOグラスとはフランスで作られた国際標準化機構(ISO)に準拠したテイスティンググラスということです。
ソムリエ試験や試飲会などで品種や産地などが異なる様々なワインを、全て同じ条件でテイスィングするために、INAOによって認定されたプロフェッショナルの為のグラスを用いています。
INAOグラスの定義は脚付きで、容量5~8オンスのボウルでチューリップ型。
スワリングしやすく、ワインが十分に空気接触できる形状になっており、ワインのプロフェッショナルの視覚、嗅覚、味覚に効果的に訴えるデザインであることとされています。
INAOは何の略?
INAOとはInstitut National des Appellations d’Origine(国立原産地名称研究所)の頭文字からとったもの。
「イナオ」と呼ばれています。
いわゆる品質保証を管理している国立機関です。
フランスにおけるワインとブランデーの原産地名称の保護、及びその名称の新設と統廃合の承認やワインの製造から流通、消費にいたる各段階の監視にあたっており、AOCをはじめ、PGI(地理的表示保護)、TSG(伝統的特産品保証)、ラベル・ルージュなどもINAOの管理下にあります。
ちょっとややこしいですが、国際規格のグラスだよってことです。
製品のスペックと特長
リム
リムの厚みは0.8mmという表記ですが、体感的にそれはない。
同形状のリーデルのポート、シュピゲラウのテイスティンググラスのほうが確実に薄い。1.1mm~1.2mmくらいの印象。
ボウル径が66mmに対し、口径は46mmと理想的。たいていのテイスティンググラスは最大径から20mm前後すぼまる。
唇の先端の上口唇結節あたりから迎えるような飲み口になる。
ボウル
くびれていないストレートなフォルムで、ボウル部分が深い。
香りは直線的に鼻孔をつく。とても香りが立ちやすく、さすがINAO認定されているだけはある。
唇をつけて傾けるとボウルが深いため液体に勢いがつく。スコンっと口内に入ってくる。
くびれが少ないため液体は比較的まっすぐに口に入る。飲む際に顎をあげすぎる必要がない。
テイスティングの回数を重ねるのは楽。
ステム&プレート
太めで短いステム。
複数のワインをテイスティング用なのでがっしりとしたつくりになっている。
持ちあげた際の安定感はかなりある。
しかしワイン用なのでボウル部分が大きく、ステムの短いテイスティンググラスよりは重心が高い。
スペック/商品仕様
高さ | 155mm |
口径 | 46mm |
底面積 | 66mm |
最大径 | 66mm |
重量 | 130g |
容量 | 240ml(約8oz) |
どんなウイスキーに向いているか
ボウル部分が長く口径が狭いので、香りは立ちつつもアルコールの棘は大きく広がりません。
中央部の膨らみ具合がドリンクを傾けた時に色調を判断するのに適していて、やはりワイン用のINAOグラスだなぁといった感じ。
ウイスキーでもテイスティング時に色調、粘性は見ますが、気軽な家飲みも想定してなるべく『飲むこと』の機能美をフューチャーします。
特筆すべきはボウルの長さと口径のすぼまりです。
口径が内側にすぼまっているということは、グラスを真横にするとリムが上向きになるということ。
上向きのリムはドリンクを含む際、ほとんど空気を口に入れることなく液体だけを侵入させます。
酸化・温度変化がしにくい設計です。
テイスティング用なので陶酔感や樽感を感じる長熟ウイスキーをじっくり飲むのには向かないかもしれませんね。
こんなウイスキーが飲みたい!
グレングラント18年
ノンピートの大麦麦芽のみを原料に18年以上長期熟成した原酒を使用したグレングラントのフラッグシップボトル。
熟成樽には主にバーボン樽を使用しており、スムースな口当たり、スペイサイド産の特長である華やかな香りや、蜂蜜やバニラ、アーモンドのようなリッチな甘さが楽しめます。
ボトルは蒸溜所の特徴的な細長いネックである仏舎利塔のようなスチルをイメージしたデザインとなります。
香りは豊かでフローラル、程よく熟れたリンゴ、ウエハース、シナモン。
味わいはキャラメル、枝付きレーズン、バニラクリーム、ハニーナッツの香ばしさと甘み。
グレングラント18年はウイスキー評論家として有名なジム・マレーが2017年、彼の著書「ウイスキーバイブル」で彼のスコッチウイスキーオブザイヤーに選出したボトル。
世界中から高い評価を受けている1本です。
グラスを手に入れたら合わせて買いたい「グラスクロス」をレビューしました!
クリスタルガラス専用の布巾でミクロのゴミや、ケバはもちろん、油性の汚れや指紋跡も残しません。
洗い方や拭き方で気をつけたほうがいいポイントも書いています。
スペイサイドを代表する繊細なタイプのウイスキーをスコンっと口に入れたい時はこの形状を重宝します。
これとは別に160mlのタイプもあります。
低価格は魅力的ですが、ワンランククオリティを上げるならリーデルのポートかシュピゲラウのテイスティンググラスを選択しましょう。