グレンアラヒー蒸溜所が、限定シリーズ「シンティーシュ」の第4弾を発売しました。
10年熟成のカスクストレングスで、モンゴリアンオークの新樽に仕上げています。
樽材の産地を毎回変えてきたシリーズ
シンティーシュは、マスターディスティラーのビリー・ウォーカー氏が手がける、性質の異なる樽を組み合わせる限定シリーズです。
2024年4月の第1弾はアメリカ・アパラチア地方原産のチンカピンオークとPXシェリー樽、2025年8月の第2弾はスコットランド産のヴァージンオークとオロロソシェリー樽、2026年2月の第3弾はフランス・リムーザン産のヴァージンオークとオロロソシェリー樽と、毎回異なる樽材を主役に据えてきました。
第2弾はワールド・ウイスキーズ・アワード2026で、12年以下のスペイサイド部門最高賞を受賞しています。
今回の第4弾は、これまでの「2樽の組み合わせ」という構成そのものを一段複雑にしています。
まずバーボン樽で熟成させた原酒を、ペドロヒメネスとオロロソの2種のシェリー樽に分けて追加熟成。その後、それぞれをヴァッティングしたうえで、モンゴリアンオークの新樽に移し替えています。三つの樽の個性が積み重なった、これまでにない構成です。
ビリー・ウォーカー氏はベンリアック、グレンドロナックでの経験も含め、スパニッシュ、フレンチ、アパラチアン、チンカピン、オザークと、様々な産地のヴァージンオークを試してきた人物として知られています。今回のモンゴリアンオークも、その延長線上での挑戦といえます。
モンゴリアンオークの正体

モンゴリアンオーク(Quercus mongolica)は、樹齢100年以上まで育ててから天然に倒れたものしか使えず、入手が難しいためスコッチでの使用例がほとんどないオークです。
東アジアの森林から調達され、目の詰まった緻密な材質から、カラメル、サンダルウッド、オリエンタルなお香を思わせる香りが引き出されるといいます。
実はこの樹種、日本のウイスキーに欠かせないミズナラと深い関係にあります。
日本の林業研究機関がミズナラの学名として掲げているのは「Quercus mongolica var. grosseserrata」、つまりモンゴリアンオークと同じ種の変種にあたります。
分布域も北海道や本州だけでなく、朝鮮半島や中国東北部にまで広がっており、今回使われたモンゴリアンオークは、いわばミズナラの大陸側の親戚にあたる木材だと考えられます。
ジャパニーズウイスキーの個性を支えてきた樽材と同じ種がスコッチの熟成に使われた、というのは、日本の読者にとって面白い符合ではないでしょうか。
第4弾は58.5%のカスクストレングス。香りはベイクドペイストリー、バタースコッチ、ブランデーに漬けた果実、ココア、糖蜜のタルト、シナモン、砕いたジンジャーなど。口当たりは、キャンディナッツ、スパイス、プラムシロップ、スパイスオレンジ、バニラアイス、モカ、マヌカハニー、フィグジャムと続きます。
英国の希望小売価格は75.99ポンド(約1万5,850円)。蒸溜所サイトと専門小売店での取り扱いです。
過去のシンティーシュ第1〜3弾は国内の専門酒販店にも順次入荷してきた実績があり、第4弾も同様のルートで日本に入ってくる可能性が高そうです。
グレンアラヒーは2022年にも複数のヴァージンオーク・フィニッシュを一挙投入しており、ウォーカー氏の樽材への執着は今に始まったことではありません。









