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ボトラーも試練「チャプター7」が倒産し、アーデント・スピリッツが買収

ボトラーも試練「チャプター7」が倒産し、アーデント・スピリッツが買収

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ミニマルなラベルで日本でも人気を博したスコットランドの独立系ボトラー「チャプター7ウイスキー(Chapter 7 Whisky)」が、経営難により清算手続きに入りました。そしてこのたび、同社のブランド権利と知的財産権をアーデント・スピリッツ(Ardent Spirits)が取得し、事業を引き継ぐことが明らかになりました。

オーツカ
なんかベンネヴィスが旨かった記憶があります。18年とか25年とか出していたな。

一度は幕を閉じた「ウイスキー作品集」

チャプター7は2014年にセリム・エヴィン氏によって設立された、独立系ボトラーです。

シェイクスピアの戯曲『お気に召すまま』の「人生の七つの時代(Seven Ages of Man)」にインスパイアされ、「モノローグ(Monologue)」「クロニクル(Chronicle)」といった文学的なシリーズ名で、厳選されたシングルカスクやスモールバッチのウイスキーを提供してきました。

ウイスキー愛好家の間で評価を高めてきた同社ですが、近年は経営上の困難に直面していました。

事業拡大の裏側

2020年の新型コロナウイルスのパンデミック下でも事業を拡大し、2022年にはグラスゴーに新しいボトリング施設を開設するなど、積極的な投資を行いました。

清算の背景

しかし、この新しい施設や在庫への投資によるコスト増に加え、世界的なウイスキー需要の減速と消費者の購買意欲の低下が重なり、資金繰り(流動性)が悪化しました。

苦渋の決断

資金調達や新規の投資確保が叶わず、2025年11月上旬に清算(リクイデーション)手続きに入るという、難しい決断を下しました。

ブランドの救済。アーデント・スピリッツの戦略

清算手続きの中で、チャプター7のブランド権と商標権は業界の専門家によって既に売却されていましたが、この買収元がアーデント・スピリッツであることが判明しました。買収の金銭的詳細は公表されていません。

この買収により、チャプター7ウイスキーはブランドを継続させ、活動を再開することになります。

再始動の計画

  1. 創業者も参加: チャプター7の創業者であるセリム・エヴィン氏が、アーデントの経営陣に加わります。これにより、ブランドの哲学や厳選されたカスク選びの精神が引き継がれることが期待されます。

  2. 2026年に世界展開: アーデントは2026年にチャプター7ウイスキーを世界的に再展開する予定です。既に新しいボトリングが開発中で、スコットランド各地の蒸溜所との協力体制も進められています。

  3. 新たな投資: アーデントは、既存のウイスキーボトリング契約の対応能力を高めるため、スコットランドのバンコリーに新しいボトリング工場にも投資しました。

  4. 体験とデジタル強化: 幅広いウイスキー愛好家にアピールするため、訪問者体験(ビジター・エクスペリエンス)やデジタル・ストーリーテリングの開発も計画されています。

アーデント・スピリッツによる今回の買収は、独立系ボトラーが直面する厳しい市場環境を示す一方で、そのブランド価値とセリム・エヴィン氏の持つ選定眼が評価された結果と言えます。

現在ウイスキー業界はシュリンクしています。蒸溜所だけでなく在庫を抱えるボトラーも窮地に立たされていることは間違いありません。

一度は途切れた「ウイスキー作品集」の物語が、新しい「章」を書き始めることに期待が寄せられます。




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