ピートって????
ウイスキー特有の正露丸のような薬品臭、スモーキーな燻煙香を『ピート香』と呼びます。
スコットランドのアイラ地方で作られるスコッチウイスキーはこのピート香が強いことで有名です。
ピートはドロ状の炭のことで、”泥炭(でいたん)“とも言います。
でいたん?と言われてもよくわからないと思いますので、わかりやすく説明します。
ピートは日本語で”泥炭”
ジメジメして気温が低い土地にいる植物(シダや苔類)は、死んだ後にうまく『土に還りません』。
この十分に分解されない植物やコケ類、草や灌木などがどんどん堆積していって形成されたのが”泥炭(ピート)”です。
さらにこの泥炭がたまっていき、蓄積した場所が”泥炭地”という湿地帯になります。
この泥炭地、日本では北海道の石狩平野などに存在します。
ピートの効いたジャパニーズウイスキーで有名な余市蒸溜所が北海道にあるのはそのためですね。(現在は輸入品を使っているようですが。)
このドロドロの泥炭(以下ピートで統一します)は不純物や水分が多く、炭素の含有量が少ないのです。
つまり炭になれていない炭。
石炭のような純度の高い燃料になれない落ちこぼれなのです。
しかし、これをウイスキーの製造で利用したのがスコットランドのスコッチでした。
ウイスキーの元になる麦を乾かすのに使った
ウイスキーを作る工程で『麦芽を乾燥させる』工程があります。
この工程では、水に浸して芽を出した大麦を乾燥させるのですが、この時に天日干しにしたピートを焚いて乾かしたのです。
ピートでいぶすことによって、大麦にピートの香りがうつるわけです。
これがスコッチウイスキーなどに代表される薬品臭やスモーキーと称される焦げ臭のもととなります。
※ただし、乾燥をすべてピートで行うと燻香が強くなりすぎるため、途中から煙の出ない無煙炭などに切り替えて乾燥させるのが一般的です。
ピートのつくりかた、その時間
ピートはピートボグというピートの湿原から切り出されて、3~4カ月かけて天日干しで乾燥させます。
ピートはたった15cm堆積するのに約1,000年かかるとも言われています。
堆積する植物の種類によっても、麦芽に付与される香りは異なり、様々なピートフレーバーがあります。
ピートフレーバーにこだわるラフロイグやハイランドパークなどの蒸溜所では独自のピートボグを所有しています。
ちなみに世界各国のウイスキーブレンダー達はこのピートによるスモーキーな香りを
「ピーティー」、「メディシナル」、「ハーシュ」
の三つの香りに分類します。
「ピーティー」 は、スモーキーの中で特に良い香りの時に使います。美味しい燻製の匂い。香ばしい匂いですね。
「メディシナル」 は医療や薬学で使われるmedicinalという単語です。いわゆる”薬臭い”匂いです。ヨードチンキみたいな匂いや正露丸の匂いを指します。
「ハーシュ」はネガティブな言い方です。”ざらざら”とか”ゴツゴツ”したという意味で、あんまりいい匂いじゃない時に使います。
ハーシュノイズ=耳障りな音といった具合にも使われます。
ま、メディシナルとかハーシュなんて言ってる人、聞いたことないですけどねー(笑)
ピートの成分はなに?
ピートの主な成分はヒースという植物です。
ヒースは英語では【Heath】と書きます。別名ヘザーとも呼ばれます。
スコットランドやアイルランドなどの荒れた土地によく生えています。
有名な小説「嵐が丘」にもこのヒースは登場します。
主人公のヒースクリフで調べると今はソードアート・オンラインが出てきちゃうんですね。時代っすなぁ。
高価なハチミツにもなる!
日本ではハーブとしても有名で、美容の材料やハーブティーにも用いられます。
ヒースの花から取れる「ヘザーハニー」というハチミツは聞いたことくらいあるかもしれません。
高価で栄養価も高い、とっても希少なハチミツですね。
女子にも男子にも嬉しい、美肌効果!
ヒースの花はメラニンを阻害し、シミ・ソバカスを防いで、美白美肌効果をもたらすことで知られていて、パックやローションにも使われています。
利尿作用、殺菌効果にも優れていて、痛風やリウマチ、腎臓疾患の改善、尿路結石の予防にも使われるというそれはそれはもう万能な花です。
なんかここまでくると、ヒースが主成分のピートで匂いをつけているウイスキーは健康に良い気がしてきましたね(笑)
あ、でもウイスキーから本当に美肌成分って検出されてるんですよ。詳しくは以下の記事で。
まとめ
ヒトコトでまとめると、ピートとは
ウイスキーに香りをつける炭のこと!
ハイ!簡単だねっ。
ちなみに
ピートを焚く量や焚く時間、またピートの産地や年月、切り出した深さなどによってウイスキーの香りには変化が生まれます。
各蒸溜所や銘柄によってかなり差があり、ほとんどピートのクセを感じさせないものもあれば、初心者では飲みづらく感じるほど強い香りをつけることもあります。
麦芽の水分が残っているうちにピートを焚くと、香りは濃い目に。反対に乾燥が進んだ麦芽では香りは控えめになるようです。
ウイスキーの醍醐味はこのピート香と言っても過言ではないので、まずはピートの弱いと言われているものから飲み始めて、幾つか試してみるのが吉ですよ!
ピートの強い順にアイラ・モルトを並べてみた記事があるのでご一読を~。
すごくわかりやすく、勉強になりました。
3日前、余市のニッカに行ってきたところです。
朝ドラも見たことないけど、飲むだけじゃなくて
もう少し知りたくなりました。