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ローランド・モルト・ウイスキーとは?/味の特徴や飲み方、種類やおすすめ銘柄をご紹介

ローランドモルトの特徴




ローランドってどこにあるの?

ローランド地方はスコットランドの南東部を指します。

ハイランドモルトウイスキーの記事でも説明しましたが、東海岸の都市ダンディーから西岸のグリーノックを結ぶ”ハイランドライン”より下側です。

下の地図でいうと薄い緑のところ。北のハイランドと同様広大な土地で、エジンバラやグラスゴー、アバディーンといった大都市もこの地域にあります。

ハイランド地方の境界線

出典:wikipedia

険しい山々に囲われたハイランドとは打って変わって、ローランドはなだらかな低地。穏やかな自然風景が広がります。

西海岸と東海岸で多少気候は異なりますが、イングランドとの境目あたりはとてものどかな田園風景が広がっています。

スコットランドの主要都市があり、人口も産業も集中しています。

イングランドが近いことと、産業の要となる大都市を有していたことで、資本が入りやすく、ウイスキー産業が非常に栄えました。

1689年~1788年までの100年間で、スコットランドで建設された蒸溜所は31。
そのうちローランドが25、ハイランドが5、アイラが1と完全なローランドの天下無双状態。

当時、スコッチウイスキーの90%はローランドでつくられていると言われるほどでした。

グレーンウイスキー発祥の地

1707年、スコットランドとイングランドが合併します。これ以降、産業の要だったウイスキーへの課税がドえらく跳ね上がります。

ハイランド地方(スペイサイド含む)の蒸溜業者はこの重税から逃れるため、密造という方法をとります。

ローランドウイスキーの歴史

しかしローランド地方はエジンバラやグラスゴーといった大都市を擁しており、酒税を取り締まる役人の目が届きやすかったため、ハイランドやスペイサイドのようにウイスキーを密造するわけにはいきませんでした。

しかしこのままでは税金が高すぎてウイスキーを作り続けられない。。。

そこで、ローランド地方の蒸溜所は、大麦に比べて安価な穀物(トウモロコシなど)を使ったウイスキーを作り始めます。つまり原料のコストダウンを図ったわけですね。

これがグレーンウイスキーの始まりと言われます。

連続式蒸溜機を導入し、安く大量にグレーンウイスキーを造ることに成功しました。

しかし、グレーンウイスキーは無個性で風味がなく、品質が低かったので、単体で飲まれることはほとんどありませんでした。そのため次々と蒸溜所が閉鎖されていったのです。

ちなみに、ローランドで作られたグレーンウイスキーはそのまま飲まれたものはごく一部で、蒸溜後はロンドンなどに”ジン”の材料として輸出することが多かったようです。

エジンバラの町並み

エジンバラの町並み

ちなみに、この人気のない(笑)グレーンウイスキーは1860年に生まれ変わります。
アンドリュー・アッシャーという酒商人がモルトウイスキーとグレーンウイスキーを混ぜ、ブレンデッドウイスキーを誕生させます。
グレーンウイスキーがモルトウイスキーの強すぎる個性を上手に包み込み、口当たりが良く、飲みやすい新たなウイスキーの世界を誕生させました。

味や香りの特徴は?

オーヘントッシャン

ローランド・モルトの特徴はとにかく「酒質が軽い」こと。

ハイランドモルト、スペイサイドモルト、アイラモルト、アイランズモルト、キャンベルタウンモルト、スコッチの他のどの地域と比較しても「ライトだ」と感じる人が多いと思います。
これはアイリッシュウイスキーの影響を受け、3回蒸溜を行っている蒸溜所があるからです。
※ほとんどのスコッチウイスキーは2回蒸溜。3回蒸溜することでより澄んだまろやかな味わいになる。

しかし、軽い=無個性というわけではなく、若草や花の香り、そしてメープルシロップのような甘み。
“繊細で可憐”といった表現が似合うデリケートな味わいで、女性的な印象を受けるモルトです。

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どんな銘柄があるの?

現在はグレンキンチー、ブラドノックを始め、3回蒸溜を行うオーヘントッシャン。

そして近年は次々と新しい蒸溜所がオープンしています。ダフトミル、アイルサベイ、キングスバーンズ、アナンデール、エデンミル、グラスゴーなどなど。

今後、新蒸溜所の面々が様々なウイスキーを世に送り出してくれることでしょう。

まずはローランドの有名どころ3つを飲んでおくとその特徴がわかりますよ。

オーヘントッシャン蒸溜所

オーヘントッシャン

ローランド・モルトでまず知っておきたいのはこのオーヘントッシャン。

珍妙な響きですが、ゲール語で”野原の片隅”というなんだか愛らしい名を持ちます。

前述した3回蒸溜を知るためにはこのオーヘントッシャンを飲まないことには始まりません。

蒸溜を重ねれば重ねるほどアルコールの純度が高まり、香りの成分は精留されてしまい風味は薄くなります。

これがとても軽くキレのある口当たりを生み出す理由です。

オーヘントッシャンのラインナップの中でも「スリーウッド」という銘柄がお気に入りです。

ちょっとお高いですが、3種の樽で3回熟成させた贅沢な逸品で、するりと唇を通過するオーヘントッシャンならではの飲みくちを残しつつ、高級な木箱に長く保管されていたチョコレートのような濃厚な香り、余韻には焦がしたキャラメルのような苦味も感じられます。
プリンなどのスイーツにも合います

もともとビールなどの醸造酒を蒸溜してウイスキーを造るようになったのは「薬」を作るためだったという説もあります。
3回蒸溜はアイルランドから伝わった古い技法なので、この名残はあるかもしれませんね。

グレンキンチー蒸溜所

グレンキンチー

あまりメジャーではありませんが、ヘイグやジョニーウォーカーのキーモルトとしても利用されているグレンキンチー。

エジンバラの程近く、”スコットランドの庭園”とも称されるのどかな穀倉地帯で生産されます。庭園の名の通り、田舎の庭の香りがします(笑)

香ばしい干し草みたいな香りです。

口当たりはウイスキー界のアサヒスーパードライとでも言いましょうか。非常にドライでキレが良いです。

口に含むと穏やかなレモンから上品な花の香りが立ち上ります。とてもキレイで軽いお酒なので食前酒に飲まれることも多いようですね。

和食とのペアリングも有名で、刺身や天ぷらなどに合わす方もいます。

オーツカとしては山椒などのスパイスが効いた料理と合わせるのが良いと思います。

ちなみにグレンキンチーのラインナップではアモンティリャードという舌を噛みそうな樽で後熟させたダブルマチュアードの評価が高いです。

ちなみにアモンティリャードとはフィノとオロロソの中間のシェリー酒を指す。

ブラドノック蒸溜所

ブラドノック蒸溜所

スコットランドでもっとも南にある蒸溜所として有名なブラドノック。

創業は1817年と古く、1993年に一度閉鎖しますが、2000年にめでたく復活。と思ったら2009年にまた閉鎖。

で、2015年に復活と、なかなか安定してウイスキー造りができない蒸溜所です。

生産量が少なく(年間10万リットル)、結構希少なウイスキーです。

香りは桃やりんごのようにフルーティー。リキュールのような甘い香りです。

舌触りもやわらかくなめらか、マーマレードパイのような味がします。飲みごたえは十分でバランスの良いウイスキーだと思います。

取り扱っているお店は少ないですが、新パッケージになり高級感も増しました。見かけたらぜひお試し下さい。

キングス・バーンズ蒸溜所

キングス・バーンズ蒸溜所

新進気鋭のボトラー「ウィームス社」がローランドに建設した蒸溜所で2014年から稼働しています。

ウィームス家といえばエジンバラ近郊にあるウィームス城の城主として600年以上も続く名家です。

多くの畑を所有しており、ワイン・ウイスキー商として高品質なボトルをリリースしています。

ウイスキーの原料となる大麦も、ウィームス家の土地であり、古くから生産地として知られていたファイフで作られています。

ローランドらしい繊細で華やかなフルーティーさと、パイナップルの酸味、柔らかくモルティーな旨味の中にあるショウガ飴のスパイシーなフィニッシュ。

かつてシングルモルトの大生産地として知られたローランドの新たな幕開けを感じさせてくれるでしょう。

グラスゴー蒸溜所

グラスゴー蒸溜所

かつて数百もの蒸溜所があったグラスゴーに誕生したグラスゴーディスティラリー。

グラスゴーでは約100年ぶりに誕生したシングルモルト蒸溜所で、たった3名の弾性がチームを組み、革新的な手法でウイスキーをつくり上げています。

2015年に初めての樽詰めが行なわれ、「1770」というウイスキーをスコットランド本国でのリリース、5,000本が瞬く間に売切れたという地元愛溢れる話題の蒸溜所でもあります。

「1770」は1902年に惜しむらくも閉鎖された「ダンダスヒル蒸溜所」の創業年「1770年」にちなんでいます。

スコットランドで最初に公認を受けた3つの蒸溜所のひとつとされ、「The Glasgow Distillery」と呼ばれたグラスゴーでは最も古い認可蒸溜所でした。

1770は1stフィルバーボン樽で熟成され、ノンチルノンフィルターで仕上げらており、驚くほど滑らかでフルーティな味わい。

グラスゴーで新しいウイスキーの到来を告げる崇高なシングルモルトウイスキーと言えるでしょう。

ダフトミル蒸溜所

ダフトミル蒸溜所

創業は2003年、2005年にライセンスを取得したファイフ近郊のダフトミル農場の敷地内に設立されたファーム・ディスティラリー。

ダフトミル農場で独自の大麦を生産し、敷地内の自噴している井戸から水を供給しています。

つまり農家が本業の片手間に始めた小規模な蒸溜所なわけです。

樽やウイスキーボトルは基本的に一般販売しないことになっており、また蒸留所の施設についても非公開となっているわけですが、ウイスキーファンにはカルト的な人気を誇ります。

生産量は年間約20000リットルと極少量。日本への入荷数も少ないですが、そのクオリティは非常に高く一飲の価値があります。

アナンデール蒸溜所

アナンデール蒸溜所

ローランドの南の端、イングランドとの境アナンデールにある蒸溜所。元々は1830年にジョージ・ドナルドによって設立され、1924年に閉鎖されました。

その後、2007年にトムソン夫妻に購入され、ついに2014年の11月、約100年ぶりに操業再開となった蒸留所です。

非常にオーソドックスな設計の蒸溜所ですが設計・建設には名手なジム・スワン博士がコンサルタントとして携わっています。

2018年にシングルモルトをボトリングしています。

アイルサベイ蒸溜所

アイルサベイ蒸溜所

2007年にウィリアムグランド&サンズ社が設立したグレンフィディック、バルヴェニー、キニンヴィに続く、第4蒸留所です。

同社がローランド地方に所有している、グレーンウイスキーの工場「ガーヴァン蒸溜所」の敷地内に建てられました。

アイルサベイでは、ピートタイプ、ライトタイプのそしてノンピートのタイプの3タイプのウイスキーを製造しており、いくつかの親会社のブレンデッド用として使用されています。

2016年に初のシングル・モルトをリリース。

まとめ

ローランドのオーヘントッシャン

古くはハイランド以上の蒸溜所数を誇り、一世を風靡した広大な土地ローランド。

グレーンウイスキー発祥の地としてグレーンウイスキーの工場やブレンド業者が集中しています。

シングルモルトの味は個性がなく、ライトで薄いというネガティブな評価が多く、日本でもあまり飲まれていない印象です。

ですが、昨今新たな蒸溜所を建設する兆しがあり、多くの投資家、起業家、ウイスキー愛好家が注目しています。

それもそのはず、現在のローランドで造られているウイスキーは非常に高いクオリティだからです。

長い長い沈黙を経て、復権する日は近いぞ、ローランド!

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ABOUTこの記事をかいた人

オーツカ

ウイスキーをもっと身近に感じてほしい。小難しいウイスキーの世界を分解して、わかりやすく整理する「ウイスキーオーガナイザー」です。 まだあまりウイスキーを知らない人がウイスキーを好きになる「きっかけづくり」をできればと思っています。 日本最大級のウイスキーメディアBARRELを企画、運営、編集及びカメラマン、さらには執筆もしています。

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