ジャック・ダニエルの親会社ブラウン・フォーマンを巡る大型M&A交渉が、またしても決裂しました。
5月11日(月)、ブラウン・フォーマン側のアドバイザーがサゼラックに対し、1株32ドル・総額150億ドル(約2.2兆円)の買収提案を正式に拒否したことが明らかになりました。
ペルノ・リカール撤退から2週間足らずの展開
BARRELでも報じてきた通り、ブラウン・フォーマンを巡るM&A交渉は今年に入って急展開が続いていました。
3月末に協議入りが公式確認されたブラウン・フォーマンとペルノ・リカールの「対等合併」交渉は、4月28日に合意に至らず破談。その直後、次の候補として注目を集めたのがサゼラックでした。
サゼラックの提案は1株32ドルの全額現金オファーで、ウェルズ・ファーゴとアポロ・グローバル・マネジメントが資金面を支援する構成。クラスA株主には現金受領か、新会社株への1対1の転換かを選択できる条件も盛り込まれていました。
拒否が報じられた翌日のブラウン・フォーマン株は1%下落して26.56ドルで引けており、サゼラックの提示価格を大きく下回ったままです。
「米国ウイスキー市場の3割」が消えた取引

この買収が成立していれば、ジャック・ダニエル、ウッドフォード・リザーブ、エレルドゥーラ・テキーラを擁するブラウン・フォーマンと、バッファロートレース、ファイアボールを含む500以上のブランドを持つサゼラックが統合され、米国ウイスキー市場の約30%を掌握する巨大企業が誕生するはずでした。
なぜ拒否したかについて、両社とも一切コメントを出していません。前回報じた通り、JPモルガンやバークレイズのアナリストは「サゼラックへの売却はブラウン家が望む経営関与の維持が難しい」と指摘しており、創業家による議決権支配という構造的な壁が大きかったとみられています。
「単独経営」に戻るブラウン・フォーマン
現時点で公に知られている交渉相手はなく、ブラウン・フォーマンはしばらく独立企業として存続することになります。同社は6月4日に2026年4月期通期の最終決算を発表する予定で、引き続き有機的な売上成長率1〜3%程度を見込んでいます。
日本市場への影響という観点では、ブラウン・フォーマンが所有するグレンドロナック、グレングラッサ、ベンリアックの3スコッチ蒸溜所の動向が引き続き気になるところです。買収劇が一段落した今、「独立路線でどう成長するか」が改めて問われる局面に入りました。










