サントリーが、2015年に終売した「響12年」をグローバルトラベルリテール(免税店)限定で復活させます。
2026年5月、ドバイ国際空港のドバイ・デューティーフリーを皮切りに、同年6月1日からはシンガポール・チャンギ空港とニューヨーク・JFK空港でも発売を開始。その後、ロンドン、香港、ソウル仁川、北京・上海・海南(中国)、デリー・ムンバイ・バンガロール(インド)、パリ、ドーハ、ロサンゼルス・サンフランシスコ、フランクフルト、シドニー・メルボルン、台北、アムステルダム、バンコク、サンパウロ、パナマシティなど、世界の主要空港へ順次展開していく予定です。
価格は188ドル(約2万8,000円)、アルコール度数43%。
2015年の終売まで——響12年の歩み
響は1989年にサントリー創業90周年記念として誕生したブランドで、最初のリリースは響17年でした。その後、1994年に響21年、1997年に響30年とラインナップを拡充。そして2009年に海外市場を強く意識した末弟として響12年が登場しました。欧州での先行発売を経て日本でも展開され、販売は最初から好調で、2012年には前年比2割増の売上を記録しています。
しかし2010年代に入ると、ジャパニーズウイスキーへの世界的な需要急増が蒸溜所の供給能力をはるかに上回る事態となりました。年数熟成表記ウイスキーは在庫の積み上げに年単位の時間がかかるため、需要増に即応することができず、サントリーは2015年に響12年の終売を発表。同時期には白州12年の販売も停止されるなど、国産ウイスキーの年数表記品が相次いで市場から姿を消す流れとなりました。
終売後、市場での響12年の価格はみるみる高騰。かつての定価から10倍以上となる6〜8万円台での流通が続いており、特に免税店限定の意匠ボトル「花鳥風月」12年版は10万円を超える取引も珍しくない状態です。
5代目チーフブレンダー・福与伸二が再解釈

今回の復活品は、単なる復刻ではありません。
5代目チーフブレンダーの福与伸二が「オリジナルのコンセプトを体現するよう再解釈した」と説明しています。

山崎、白州、知多の3蒸溜所の原酒を、アメリカンオーク、スパニッシュオーク、そしてミズナラ樽で熟成したものをブレンドするという基本構成は踏襲しつつ、現在の原酒ストックの状況を踏まえた新たな設計となっています。
ボトルデザインも一新。「花鳥風月」——日本の美学に根ざした、花・鳥・風・月を表す哲学——からインスピレーションを得たデザインで、流水文様や季節の移ろいのモチーフが随所に配されています。

また、日本の伝統建築にみられる丸窓「丸窓(まるまど)」のモチーフも取り入れられており、自然を生きた絵画として切り取る額縁の役割を果たしているとのことです。

テイスティングノートとしては、香りに柿・ジャスミン・カルダモン・オレンジとサンダルウッドのニュアンス。味わいはスパイシーなオレンジピール、シナモン、バタースコッチ。フィニッシュはスパイスの余韻が長く続くとされています。
免税店先行という「慎重な一手」

注目すべきは、今回の復活が免税店限定という形を取っていることです。
終売の教訓を踏まえ、サントリーはまず原酒供給が管理しやすいトラベルリテールチャネルでの展開から始め、慎重に市場の反応と在庫状況を見極めようとしていると読めます。一般市場への展開については現時点で公式発表はなく、今後の動向が注目されます。

ジャパニーズウイスキーの世界的人気が続くなか、年数表記ウイスキーの復活は業界全体にとっても原酒回復の象徴として受け取られています。
響ブランドとしても100周年記念ボトルや響40年などを相次いでリリースしてきた延長線上に、この12年復活が位置づけられます。










日本在住者がもっとも恩恵を受けにくい販売形態ですね。
一般市場への展開がいつになるか、引き続き注目したいところです。