おすすめの飲み方・飲み進め方
やや青臭い植物様のフレーバーとマスカットキャンディ、余韻は短く、ドライで軽快なブレンデッドウイスキーです。
日本の正規代理店キリンのみならず、J&Bオフィシャルサイトでもやれ
- ジンジャエールで割れ
- コーラで割れ
- レモン搾ってシロップ入れろ
などと紹介されています(J&B Honeyというリキュールも販売されています)。
確かに現行品のJ&Bレアはストレートは向かないかもしれません。
とりあえず、ハイボールをおすすめしておきます。
夏はミストにしてミントを添えて、口当たりシャープなハイボールにするとなかなかいけます。
うん、味わいの代用品はもちろんある。
でもあえてJ&Bなんだ。
通っぽいし、ラベルもかっこいいし。
長熟品には「レジェンド21年」や「ファイネストレアオールド25年」、そして赤い封蝋が美しい限定品「J&B1749(25年熟成)」などが存在します。
正直この手オールドボトルは国内のバーではあまり見かけません。アメリカの通販市場などを覗くと結構置いているのですが。
お店で見かけてもそこまでお値段は張らないと思うので、見かけたら味わってみてください。
J&Bの発祥について
ここからJ&Bの発祥について紹介していきますが、まずJ&Bという名前について何の略かご説明しましょう。
J&Bはこのウイスキーを造った「ジャステリーニ&ブルックス社」の頭文字をとってつけられたブランド名です。
同社は1749年にロンドンで創業したワイン商で、創業者はスコッチ業界では珍しいボローニャ出身のイタリア人、ジャコモ・ジャステリーニ氏。
彼は若かりし頃、ファンでもあり恋心を抱いていたオペラ歌手を追ってロンドンへ移り住みました。
情熱の国、イタリアらしいエピソードですねぇ。
オペラ歌手はロンドンのロイヤル・オペラハウスと契約し、アクターとして出演していたそうです。
ジャコモ氏とこのオペラ歌手の恋の顛末についての記録は残っていませんが、この歌手の紹介で劇作家であり当代一のプロデューサーでもあったサミュエル・ジョンソン氏と意気投合することになります。
甥のジョージョンソンも巻き込んでジャコモ氏は「ジャステリーニ社」を設立し、ロンドンでワイン店を開くことになります。
これがウイスキーJ&Bレアの始まりです。
ジャコモ氏は故郷ボローニャ在住時に叔父からスピリッツの蒸溜技術やリキュールのレシピを教わっていました。
経験と知識を生かし、創業から約30年後の1780年代、ジャステリーニ社ではワインだけでなくウイスキーの蒸溜も始めることになります。
ジャコモ氏が蒸溜技術を担当し、その他の実務をジョージ氏が受け持つ業務形態だったようです。
1760年代にはイギリス国王ジョージ3世から王室御用達の証を授かり、高級ワインとスピリッツを供給し続けました。
王室御用達の授与は現在のエリザベス2世にまで途切れることなく続けられました。
ウイスキー「J&Bレア」の黄色いラベルをよく見てみると、現在のエリザベス女王の紋章とともに歴代8人の王の名前が誇らしげに記されています。
そう、ジャステリーニ社はワイン商としては名門中の名門といえるべき老舗店なのです。
時は経ち、ジャコモとジョージのジャステリーニ社を引き継いだのがアルフレッド・ブルックス社でした。
同社は1831年にジャステリーニ社を買収する形で引き継ぎ、その際に会社名も「ジャステリーニ&ブルックス社」と改めました。
同社のオリジナル(現在のJ&Bレアの原型となる)ウイスキーが発売されたのは1890年のこと。
ロンドンでは初めてスコットランドでウイスキーを買い付け、自社ブランドをつくった企業となりました。
つくられたウイスキーは「クラブ」というシンプルなブランド名で売り出されました。
クラブはロンドンのセント・ジェームズ・ストリートとエジンバラのアルバ・ストリートにあったジャステリーニ&ブルックスの店舗でのみで扱うウイスキーだったそうです。
その後は以下の歴史で解説します。
J&Bレアの歴史
クラブを経て、J&Bのフラッグシップとなる「J&Bレア」が売り出されたのは今世紀に入ってから。
禁酒法が解禁された1933年以降のアメリカ市場に狙いを絞って発売されました。
当時のニューヨークには巨額のマーケティング費用が注がれ、街の至る所に「J&B」の文字が掲げられるようになります。
このマーケティング戦略は大成功。第二次世界大戦で一時流通が中断するものの大戦後の50〜60年代にかけて「J&Bレア」は見事アメリカにおけるシェア率No. 1のスコッチとなりました。
1962年になるとジャステリーニ&ブルックス社はギルビージンで有名なギルビー社と合併してインターナショナル・ディスティラーズ・ヴィントナーズ社(IDV)を設立。
その10年後1972年にホテル経営とケイタリングビジネスの最大手であるグランド・メトロポリタン・グループに買収され、その傘下に入ります。
そして1997年にUD社(現ディアジオ社)の親会社であるギネスグループとグラント・メトロポリタン・グループの合併が発表されました。
同社は世界売り上げNo. 1の「ジョニーウォーカー 赤ラベル」および「J&B」を抱える長巨大企業へと進化を遂げたというわけです。
J&Bの製法
J&Bはノッカンドゥ、オスロスク、グレスペイ、ストラスミルを中心とした36種類のモルト原酒、そして6種類のグレーン原酒をブレンドして造られています。
上記した4つのキーモルトは全てスペイサイド地方で造られているもので、使用しているモルト原酒の約80%がスペイサイドで造られたもの。
特に華やかでソフトな口当たり、そして穏やかなピート香を有するノッカンドゥとオスロスクはJ&Bの風味の重要な角を担っているといえるといえます。
オスロスクは1974年にJ&Bに原酒提供するために造られた蒸溜所としても知られています。
J&Bの種類/ラインナップ
J&B レア
J&Bのフラッグシップボトル。
ノッカンドゥ、オスロスク、グレスペイ、ストラスミルを中心とした36種類のモルト原酒、そして6種類のグレーン原酒をブレンドして造られました。
香りはスペイサイドらしい青リンゴとグリーンレーズン、マスカット、麦芽ウエハース。
味わいはドライでスムースな飲み口、レーズン、ウエハースの香ばしさと甘み、青々とした香草、干し草。
ハイボールや水割り、さらにはコーラやジンジャエールで割っても楽しめる自由でコストパフォーマンスの高いボトルです。
特級J&Bレア
Amazonや楽天といったネット通販からヤフオク、メルカリといったオークションやフリマサイトでもよく見かける特級表記のJ&Bレア。
ドライでライトですが、モルティなコクのある、時代背景に則った味の太さは感じられます。
うちのひとくちウイスキーでも扱っています。
飲めるうちに飲んでおいてください。
J&B エクセプション 12年
フランス限定のピュアモルトで12年以上の熟成を経たモルトをヴァッティングしています。
ノッカンドゥ、オスロスク、グレスペイ、ストラスミルの他にタムデュー、マッカラン、アクセントにはボウモアやブナハーブンが使われているとか。
J&Bの溌剌とした爽やかさの中にハチミツクッキーのノート。
ストレートで飲みたいミディアムロングの余韻を持つJ&Bです。
J&B リザーブ15年
ハイランドとスペイサイドのモルトウイスキー36種類と6種類のグレーンウイスキーがブレンドされた15年と6カ月のJ&B。
麦芽や植物様のドライな芳香から麦芽系の円い味わい。
余韻はあまり長くないですが、濃いめのハイボールはとてもおいしい。
フレッシュでフルーティーなJ&Bに熟成感を加えた逸品です。
1000mlなのでちょっとオトク。バランタイン17年と比べると方向性の違いが面白い。
15年ものは過去に「15 YEAR OLD表記」、「ヴィクトリアン」、「ロイヤル・エイジ」などが出ています。
J&B ジェット12年
40以上のモルト原酒とグレーン原酒をブレンドしたボトルで使われている全ての原酒は熟成年数12年以上。
香りは熟成感のあるリンゴ、バニラウエハース、ミルクチョコレート、僅かな干し草。
味わいはさらりとした口当たりで、焦がして水で薄めたカラメル、ウエハースの香ばしさ、桃、カカオのビター、ややスパイシー。
J&Bレアを更にリッチした味わいのボトルです。
J&B アルティマ
グループが所有している116蒸溜所のモルトと12蒸溜所のグレーン、合わせて128の蒸溜所の原酒を全て使って造られたボトル。
スコッチウイスキーの誕生500周年を記念して1994年にリリースされました。すでに終売しています。
香りは洋梨、白桃のような華やかさ、メイプルシロップをかけたオーク材、少し埃っぽい印象と、奥に潜むグローブのスパイシー。
味わいは煮詰めたメイプルシロップ、フレッシュベリー、バナナカスタード、後半にクローブ。
余韻は古いオーク家具。埃っぽさはボトルの状態もあるかもしれない。
多くの蒸溜所の原酒を奇跡的なバランスに整えたブレンダーの手腕が光る1本。
希少なボトルのため、バーなどで見かけた際には是非お試しください。
味わいはフレッシュでライト、さらにはグリーンボトルに山吹色ラベル。
これは、、、、見れば見るほど似てますね、、、。
そう、カティーサークに。
カティサークのB.B.R社も元々はワイン商でしたし、当時は緑色のワインボトルを使うこともあったようです。
同じワイン商からのし上がったブランドがつくりあげたブレンデッドウイスキー。
ふたつの味わいを比べてみるのも面白いんじゃないでしょうか。
ざっくり覚える!
J&Bレアはイギリスのジャステリーニ&ブルックス社が造っているブレンデッド・ウイスキーです。
同社はロンドンの会社ですが、原酒はノッカンドゥやオスロスクをはじめ、スコットランドのものが使われています。
日本ではいまひとつマイナーなブランドですが世界的には有名で、特に第二次世界大戦後、アメリカでのブランディングが成功し、圧倒的な支持を得ました。一時期は「ジョニーウォーカー 赤ラベル」に次ぐ、売り上げNo.2になるほどの人気でした(2015は25位)。
ダークグリーンのボトルを覆う山吹色のラベル、その中に大きく赤字で書かれた「J&B」の文字と真っ赤なキャップは販売店やバーカウンターに置いても一際目を引く存在。
ちょっとカティサークっぽい感じもしますが、その奇抜なボトルの外観からはJ&B社のマーケティング力を感じます。