写真家・料理評論家としても活躍する「ヨハン・ウィルスバーガー」とドイツの名門グラスウェアブランド「シュピゲラウ」がコラボレーションした【ウィルスバーガーシリーズ】。
ハンドメイドで成形されていた当時のグラスを、マシンメイドで実現したのが「ウィルスバーガーアニバーサリー」です。
今回はその「ウイスキー専用グラス」についてレビューしていこうと思います。
でかい、そして長い。
かつてレビューしたウイスキーテイスティンググラスの中でも最大の大きさ誇ります。
その性能やいかに。
シュピゲラウブランド紹介
【世界中のプロフェッショナルが愛用する圧倒的な耐衝撃性と耐久性】
南ドイツの美しい森奥深くにたたずむバイエルン地方シュピゲラウ。
この小さな町で1521年に誕生した『シュピゲラウ』は、約500年もの歴史の中で培われた技術と最新テクノロジーを融合し、高品質なガラス製品を作り出しています。
鉛を含まず、上質で薄いガラスを作り出す「吹きガラス製法」により軽量感をアップし、製造工程に使用するチューブにプラチナを採用した「プラチナ製法」で耐久性を向上させました。
1,500回の繰り返しの洗浄テストにも耐える強度と永く美しい輝きを保つシュピゲラウは、世界中の五つ星ホテルやレストランのプロフェッショナルにこよなく愛され続けています。
シュピゲラウの<ウィルスバーガーアニバーサリー>
国際的なワイン雑誌「Gourmet」において写真撮影を担当し、料理評論家としても活躍するウィルスバーガー氏と、ドイツの名門グラスウェアブランド、シュピゲラウのコラボレーションから生まれた、ウィルスバーガーシリーズの30周年を記念して作られたグラス。
ウィルスバーガーシリーズは、1982年の発売当時、職人によるハンドメイドで作成されたシリーズで、非常に精巧で複雑な形状が特徴でした。
この繊細な形状をマシンメイドで再現したシリーズが「ウィルスバーガー・アニバーサリー」です。
丸くふくらみを持ったグラスシェイプ、細く長いエレガントなステム(脚)を最新テクノロジーで機械化することによって、大幅なコストダウンを実現。
レッド・クリスタルの品質をより多くの方々にお楽しみ頂けるシリーズとなりました。
写真家/評論家「ヨハン・ウィルスバーガー」
1941年生まれのオーストラリアの写真家、作家。
1975年以降、写真家として、料理、旅行など多くの本を出版。1976年「Gourmet」を出版。四半世紀の間、「Gourmet」はドイツ語圏で最も影響力があり、スタイルを決定づけるグルメおよびワイン雑誌でした。
1982年にシュピゲラウのワイングラスシリーズ「ウィルスバーガー」コレクションを発表。
1991年からはスイス在住。2011年に「文学、科学、メディアにおける文化的トピックフード」でエッカート・ウィッツィグマン賞を受賞しています。
製品のスペックと特長
リム
他のウィルスバーガーアニバーサリーシリーズと同じ、グラスの厚みは約0.9mm。
唇への辺りはとてもよく、高級感を感じさせる。
驚くべきなのは口径の大きさが600mmあるところ。
一般的なテイスティンググラスだと最大径の大きさ、もしくは底部のプレートの大きさに匹敵する。
そのため少し薫らせるだけでウイスキーの香りはぐんぐんと出てくる。
ボウル
超ワイド幅のボウル。
スワリングは無理に持ち上げず、テーブルの上に置いたまま人差し指と中指で挟み、薬指を添えて行ったほうがよい。
注がれた状態から何もしなくとも静かに香りは立ち上がってくる。
揺らさずにじっと待つことで、ネガティブな臭い立ちを抑える印象。
事実、あまり得意ではなかったウイスキーのフレーバーがこのグラスのおかげで緩和された。
ステム&プレート
ステムは非常に短く、安定感のあるプレート。
ブランデーグラスのように包み込むように持つことができる。
体温上昇は気になるが、重厚なウイスキーをたっぷり楽しめると思えばこの形状で問題ない。
他のウィルスバーガーアニバーサリーのグラスよりもステムが短い分、洗浄時に割る心配は少ない。
スペック/商品仕様
高さ | 135mm |
口径 | 60mm |
底面積 | 80mm |
最大径 | 80mm |
重量 | 150g |
容量 | 340ml(約12oz) |
どんなウイスキーに向いているか
ステムが短いテイスティンググラスの中でおすすめしたいグラスのひとつ。
とにかく大容量で口径も大きいため、揮発、酸化が早くウイスキーのキャラクターをよく拾えます。
ハーフサイズ(15ml)での使用はちょっと厳しい気がしますが、ウイスキーのハウススタイルの把握にも適任。
最初は無理に薫らせずにじっくりグラスを覗き込むように香りを嗅いでみてください。
スワリングせず飲むと、風味がソフトになり飲んだ時の苦みや粉っぽさを抑えてくれます。
僕はイガイガする麦っぽさが苦手なのですが、揺らさないことでかなり軽減されました。
- 香りを感じつつも味は穏やかにしたい
- 思いっきり香りを開かせたい
という2用途に使えるグラスです。
どぎっついシェリー樽熟成のウイスキーや香りは好きなんだけど味はあまり好みじゃない、、といったウイスキーの新たな表情が垣間見れるやもしれません。
こんなウイスキーが飲みたい!
グレンドロナック パーラメント 21年
辛口オロロソと極甘口ペドロヒメネス樽で21年以上熟成させた長熟の原酒の組み合わせ、作られたボトル。
香りは濃厚なレーズン、ドライプラム、ブラウンシュガー、カカオが豊富なチョコレート。
同12年と比較するとフレーバーの複雑さも増して、 どこか甘いパイプタバコのような香りもします。
味わいはレーズン、カカオチョコレート、チョコビスケット、イチゴジャムなど全体的に甘みが支配します。
しかし飲み終わりにはシナモン、クローブなど、スパイシーさが持ち上がりフィニッシュに多数のレイヤーを感じます。
グラスを手に入れたら合わせて買いたい「グラスクロス」をレビューしました!
クリスタルガラス専用の布巾でミクロのゴミや、ケバはもちろん、油性の汚れや指紋跡も残しません。
洗い方や拭き方で気をつけたほうがいいポイントも書いています。
特にこのウイスキー340mlはウイスキーという飲み物の「繊細さ」を理解できる名作だと思いました。