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4億円超で落札のマッカラン1926。高級ウイスキーはバブルなのか?

4億円超で落札のマッカラン1926。高級ウイスキーはバブルなのか?

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10月9日、サザビーズがスコットランドのマッカラン蒸溜所で開いた初のオークションで、1926年蒸溜のマッカラン1本が212万5,000ポンド(約4億4,000万円)で落札され話題となりました。

ところが、1本100ドル(約1万6,000円)以上の高級スピリッツの売上は、2年連続で減っています。

今回は、落札されたマッカランの詳細と、高級スピリッツの売れ行き、そしてメーカー各社の動きから見えてくる業界の動向を記事にしていこうと思います。

先に結論を書いておくと、落札されたマッカランの4億円は、ふだん飲むウイスキーの値段とは別の世界で動いた金額です。理由を順に見ていきます。

落札されたマッカランは、ポンドでは過去2位

落札されたマッカランは、1926年に蒸溜され、60年の熟成を経て1986年にボトリングされた1本です。

ポンドで見ると、2023年に同じ1926年のマッカランが付けた金額には届かず、過去2位でした。2023年の落札は、BARRELでも取り上げました。

オークションにて軽井沢5600万、マッカラン1926が4億円

円に直すと順位が入れ替わります。2023年の落札額は約4億円で、今回は約4億4,000万円です。円安が進んだ分、円では今回のほうが高くなりました。

オーツカ
ポンドでは2位でも、円安のおかげで円にすると2023年を上回るんですね。

オークションの相場は、ピークから16%下がっている

では、オークション全体の相場はどうなっているのでしょうか。

オークションの落札価格を追う指数『DramX』は、ピークから16%下がっています。

オークション相場、ジャパニーズは55%減。相場は本当に冷えているのか?

いちばん大きく下がったのは、値上がりを期待して買われた限定リリースです。数が少ないことを理由に買う人が多い分野なので、買い手が減ると、値上がりの期待が先にしぼむのではないでしょうか。

オーツカ
値上がりを狙って買った限定リリースが一番下がったのは、買った人にはつらい結果ですね。

落札されたマッカランが4億円を超えた一方で、オークション全体の相場は弱っています。

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高級スピリッツの売上は、2年連続で減っている

弱いのはオークションだけではありません。店頭で売れる高級スピリッツも減っています。

1本100ドル(約1万6,000円)以上の高級スピリッツの売上は、2年連続で減りました。

100ドル超の高級スピリッツ、2年連続で減少。中国は25%減

マッカランを持つエドリントン社も、最上位の価格帯が弱いと認めています。落札されたマッカランが4億円を超えた年に、いちばん上の価格帯が売れていないわけです。

それでも落札されたマッカランは、4億円を超えました。理由は、この1本が増やせないことにあります。

60年熟成のマッカランは、増やせないから高い

熟成中の樽からは、中身が毎年少しずつ蒸発します。『天使の分け前』と呼ばれる減り方で、60年たつと、樽の中身はかなり少なくなります。

しかも、長く寝かせれば味がよくなるとは限りません。熟成のピークは樽ごとに違い、60年の熟成に耐えられる原酒は、ごく一部です。

落札されたマッカランは、そうして残った原酒を、1986年に瓶詰めしたものです。同じ酒を、もう一度造ることはできません。ストックが増えない以上、買いたい人が何人かいれば、競り合って値段が上がります。

この世界の値段は、飲む人が何本買うかより、残っている本数の少なさで決まっているように見えます。ふだん飲むウイスキーの値段と、落札されたマッカランの値段は、別の市場で動いているわけです。

では、高級ウイスキーはバブルなのでしょうか。値上がりを狙った限定リリースの相場は、すでにピークから16%下がりました。高い値段が続いているのは、増やせない少数の1本です。バブルとひとまとめにするより、この2つを分けて見るほうが、実態に近いのではないでしょうか。

日々飲まれるウイスキーの値段は、オークションとは別の理由で動く

では、ふだん飲むウイスキーの値段は、何で動いているのでしょうか。

メーカー各社の動きを見ると、理由はオークションとは別のところにあります。

サントリーは4月1日の出荷分から、山崎・白州・響の3ブランド15品目で、メーカー希望小売価格を6〜15%引き上げました。山崎と白州のノンエイジは7,000円から7,500円に、響 ジャパニーズハーモニーは7,500円から8,000円になっています(いずれも税別)。

理由は、包材などの原材料費や仕入れ価格の上昇です。山崎や響が高くなった、買いにくいと感じる人が多いのは、こうしたコスト上昇による値上げと品薄が背景にあるのではないでしょうか。

一方、ディアジオは3月に、ジョニーウォーカー レッドソウルを発表しました。

レッドラベルの系列で、英国の希望小売価格は25ポンド(約5,200円)です。

まず欧州などで売り出し、その後に世界へ広げる予定です。ディアジオは、手頃な価格帯の商品を強くする狙いだと説明しています。サントリーは値上げ、ディアジオは手頃な価格帯の新商品と、向かう先は分かれています。ただ、どちらの理由もオークションの相場ではなく、コストと価格帯の戦略です。

ボトラーズの動きもあります。老舗のゴードン&マクファイルは2023年7月に、蒸溜所から新しい原酒を買い付けるのをやめて、手持ちの在庫だけを売っていくと発表しました。

ついにゴードン&マクファイル社が独立ボトリングの停止を発表!!

新しい原酒を買い付けなければ、ストックは減る一方です。ボトラーズが出せる古いウイスキーも、これから増えることはありません。

落札されたマッカランの4億円は、ふだん私たちが飲むウイスキーとは別の世界で動いた金額です。この世界の値段は、飲む人の需要よりも、増やせない希少さで決まっているように見えます。

投機的な値動きになるのは、決して良いことではありません。ただ、熟成に何十年もかかる酒は、あとから増やせないので、どうしてもそうなりやすい面があります。一方で、オークションの相場は下がり、高級スピリッツの売上も減っています。ウイスキーの業界は、全体としては楽な状況ではないと思います。

それでも店頭では、サントリーが値上げし、ディアジオが手頃な価格帯を広げるなど、各社がそれぞれの手を打っています。ふだんの1本を選ぶときは、オークションのニュースより、店頭の値段と中身を見たほうがよさそうです。




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