ロックグラスの選び方
①250~350ml程度で口径が広いもの
目安はだいたいこの容量です。oz(オンス)だと10oz前後。
ロックグラスに第一に求められる条件は、溶けにくい丸氷がすんなり入るということ。口径が広いものを選びましょう。
②デザインとカラー
第二にデザインとカラーです。
「あらゆる酒の中ではウイスキーのオン・ザ・ロックが視覚的にいちばん美しい」
と村上春樹氏が小説でも書かれたように、造形美はそのおいしさを何倍にも引き上げます。気分を盛り上げる装飾のものを選びましょう。
なお、ウイスキーは色も楽しむものなので、色のついたグラスよりも透明なものを選んだほうが無難です。
③材質
第三は素材です。
②のデザインにも通ずる部分がありますが、素材によって、耐久性や重量、造形などが変わってきます。
一般的なのはクリスタルガラス、強化ガラス、ソーダガラスなど。
食洗器に対応したタイプもありますが、作りがチープなものも多いです。透明感や輝きなどを優先する場合はクリスタルを選びましょう。
④扱いやすさ
第四は扱いやすさや取り回しの良さ。
軽いから良い、重いから悪いというのはありません。
軽いものは持ち上げやすく疲れにくいですが、破損しやすいです。そして高級感がありません。
反対に重いものはクリスタルガラスを採用しているものが多く、重厚感があり、耐久性があります。
僕は飲むウイスキーによって使い分けており、ボディの厚いものやバーボンは重量感のあるグラスで飲むことが多いです。
⑤飲み口の厚さ(リム)
一応書きましたが、あまり考えなくてよいです。
テイスティンググラスもそうでしたが、飲み口が薄いもののほうが口当たりがよくなります。
ロックにすることによりウイスキーはよく冷えていて、飲む際に氷も唇に当たるので、リムの厚さはあまり気になりません。
そもそもウイスキー愛好家たちはストレートで飲むことも多いので、ロックグラスのリム部分の厚さはさほど関係ないように思えます。
1000円~まずはここから!格安お手頃なロックグラス
シェフ&ソムリエ オープンナップ スピリッツ
弊メディアにも頻繁に写ってますね。
気軽にオン・ザ・ロックスを楽しめる取り回しの良いグラスで、香りの溜め込み、軽い口当たりも申し分ないです。おまけに安い。
ウイスキーのいろはを共に学んでいくにはピッタリの逸品で、あなたがこれから先見つけるであろう究極のロックグラスの礎を築いてくれることでしょう。
ロックグラス入門はこのくらい安価なものを複数買いするのが良いと思います。
グレンケアン クリスタルロック
20年前にテイスティンググラスをリリースし快進撃を続けるブランド「グレンケアン」。そのロックグラスがこちら。容量は332mlと大きめで、割と高さがあります。
この高さがウイスキーの香りをよく立たせます。ウイスキーロックだけでなく、ストレートやトワイスアップでも使えます。なんならワインや日本酒グラスとしても使えちゃう万能品です。
高級感や重厚感はあまりないので、充足感よりも機能を優先する人向けです。
ダ・ヴィンチクリスタル カラーラ
イタリアの老舗、RCR社の高級クリスタルブランドであるダヴィンチクリスタル。
あまり聞きなれないと思うかもしれませんが、実はクリスタルガラス製品では世界トップシェアを誇る一大ブランドです。
この価格帯ではカットもしっかり入っており、どっしりとしていて、比較的高級感のあるロックグラスです。5000円以下で充足感の得られるロックグラスとしては上位かと思います。
カラーラ(CARRARA)はミケランジェロも訪れた大理石の聖地カラーラの名を冠したシリーズ。ダ・ヴィンチクリスタルは、金属の含有率が多く、高い屈折率を誇ります。
ダ・ヴィンチクリスタル プラト
ダ・ヴィンチクリスタルでカラーラと同じく外せないのがプラトでしょう。定番ブランドである「PRATO(プラト)」は、シンプルながらも魅力的な意匠を実現しています。
重量は400g前後と重くはあるものの安定感は抜群。やはり手にずっしりくる重めのグラスは雰囲気を高めてくれます。
しっかりした造りに加え口当たりが優しく、アタックの強いウイスキーロックをまろやかに感じさせてくれるのもいいところ。贈り物にうれしいブランドボックス付き。
ドリンク・スペシフィック・グラスウェア ロック・グラス
ここからはワイングラスで有名なリーデルのグラスを3タイプご紹介。
リーデルはウイスキー用にはテイスティンググラスをいくつか出しているものの、ロックグラスは少ないです。
ロックグラスはファッションブランドなども含めると競合が多いですから、あまりリーデルの持ち味が出ないのでしょう。
こちらは283mlとやや小ぶりながら、メジャーなしで60ml(2オンス)を注げる機能的なデザインで評価が高いロックグラス。2オンスのところにラインが入っているのです。
口径はストレートで広いので、大きめな丸氷も無理なく収まります。
二個で4000円程度なので、非常にコストパフォーマンスが高いです。
タンブラーコレクション ファイア ウイスキー
創業から250年以上の歴史を持つリーデル。ガラス工芸で有名なチェコのボヘミアに端を発し、現在はオーストリアに巨大な工場を構えています。
シンプルで軽量なワイングラスとは異なり、華やかな装飾が多いロックグラス。いわゆる「復古調」が現代のトレンド。
ファイヤウイスキータンブラーはリーデル家10代目当主ゲオルグ・リーデルがデザインしたもので、アールヌーボーに着想を得た立ち上る炎のような造形は、華美でダイナミックです。
デザインの割にかなり軽量なので、重厚感はありませんが食洗器に対応しています。安価で見た目重視の方には良いと思います。
タンブラーコレクション ルイス ウイスキー
リーデルのタンブラーコレクションのひとつ。
リーデルは1973年に発売された、ワインの個性を最高に引き出すことを追求したハンドメイドのワイングラス、ソムリエシリーズがヒットしたことで世界的に有名になりました。こちらは2017年にイタリアのベネチアで開催されたリーデル・デザイン・アワードで、革新的デザインによって受賞した若手デザイナー、カイル・ソーラによる作品です。
ファイアと同様、軽量で食洗器に対応しています。デザインはファイアと打って変わり、流線形でシンプルなデザインとなっています。こういったシンプルなカットのグラスに、氷を入れず、ストレートでウイスキーを注ぐのも粋な楽しみ方です。
カガミクリスタル ロックグラス T769-2808
言わずと知れた宮内庁御用達のガラス食器メーカーカガミクリスタル。
国産の高級グラスメーカーとして有名ですが、高価なものばかりではなく意外とお手頃価格のものもあります。
こちらのT769-2808は初夏の若葉のようにすっと伸びる柔らかなカットが美しく、凛とした印象も与えてくれるロックグラス。
やや小ぶりではあるのですが、4000円前後で手に入るロックグラスとしては品質がよく、満足度が高いです。
カガミクリスタルというと、贈答品のイメージも強いですし、ちょっと手が出ないと思っていた方もこういったリーズナブルな商品から揃えてみるのも良いと思います。
iittala(イッタラ) ウルティマツーレ オールドL
フィンランド・イッタラ村の小さなガラス工場で生まれ、今や世界的グラスメーカーとなったイッタラ。
飽きのこない個性的なデザインは女性人気も高く、様々なグラスを生み出しています。
ウルティマ ツーレは、1968年に製造された作品で、フィンランドではかなり有名な形状のグラスです。
氷そのものを握り、溶け出したしずくが垂れているかのような斬新なデザインは、ラップランドの氷が溶ける様子にインスピレーションを得たものだといいます。
約200ml入るオールドSというのもあるのですが、こちらのL(280mm)のほうがウイスキーロックグラスとしては使いやすいと思います。
アデリア ロックグラス クリア
200年近い歴史がある硝子メーカーで、業務用グラスでは結構有名なアデリア。あんまり一般には知られていませんが、ADERIA(アデリア)のブランドロゴに見覚えのある方もいるかもしれません。
安っぽさはどうしても否めませんが、アデリアのロックグラスは口部強化ガラスなので頑丈です。とにかく低価格なので、「来客用にも揃えたい!」、「自宅で手軽にバー気分を味わいたい」という方にはうってつけの商品です。
5000円~ロックグラス入門は機能美と造形美のバランス
木村硝子店 COMシリーズ crumple
木村硝子店のスタッフいわく、金型を作るのにめちゃめちゃ苦労したグラスがこちら。
MoMA美術館にも作品が展示されている工芸工業デザイナーの小松誠氏とコラボしたデザインシリーズGLASS COM PRODUCTIONのうちの代表的なグラスです。
非常にモダンなデザインで、多くのウイスキーファンも使用しています。
ちなみに、crumple(クランプル)とは、「紙などをくしゃくしゃにする」という意味で、こちらはその名のとおり紙袋を手でくしゃくしゃにした状態を表現しています。
カガミクリスタル ロックグラス 校倉(クリア)
正統派ロックグラスのお手本のような逸品。
校倉(あぜくら)はカガミのロックグラスの中でも屈指の人気を誇ります。
校倉とは日本史の教科書にも載っていた、校倉造り(あぜくらづくり)からきており、木材を井桁(いげた)に積み上げた倉を指します。外壁が波板状になるのが特徴で、美しい建築のようなカットが施されています。
容量は270mlとやや小ぶりながら、使い勝手が良く、満足度の高いロックグラスとなっています。
カガミクリスタル ロックグラス T428-640
上記の校倉よりももう少し柔らかいフォルムで、サイズも大きいほうが良いという方は、カガミクリスタルのT428-640がおすすめ。
シンプルですが女性的な丸みを帯びた流麗な形状。ゆるやかなカーブは手にフィットし、思わず包み込みたくなります。
底面はぽってりと分厚く、安定感と重厚感があり、非常に高級感があります。
生涯を添い遂げるグラス ロック トランスペアレント
「生涯補償」で有名なワイヤードビーンズのスタンダードロックグラス。
形状はシンプルですが、扱いやすく、飲み口も心地よい。ウイスキーだけでなく普段使いもできる万能品で、ちょっといいロックグラスを買いたいと思った際には必ず挙がる銘柄でもあります。
グラス底のガラスだまりが大きく、かなり重量感があります。どっしりとした重さがあったほうが良い方向けです。
生涯を添い遂げるグラス ロック f
ワイヤードビーンズロックグラスの亜種。
ロングセラーであるロックグラスの口径(飲み口部分)をググっと広げ、より力強いデザインに。
斜めに大きく張り出したリムは見た目以上に薄く感じることができ、口当たりが良いです。
ウイスキーはもちろん、焼酎のロックなどにも最適。
ちなみに「生涯を添い遂げるグラス」は、秋田県産の杉で作られた木箱に入って出荷されます。
手に取って蓋を開けた瞬間、木のぬくもり・香りを味わうことができ、贈答品としても適しています。
10000円~プレゼント用・本格派
バカラ マッセナ
ロックグラスのプレゼントといえばフランスのクリスタルブランド「バカラ(BACCARAT)」は外せません。
バカラの中でも世界的なベストセラーを誇るシリーズ「マッセナ」。
きゅっとすぼまり、丸みを帯びたフォルムが特徴的で、このマッセナシリーズはワイングラスやデキャンタ、ハイボールグラスなども展開しています。
流線形でシャープなカットが施されていて、洗練された印象を与えます。アメリカの富裕層には特に人気のようですね。
ちなみに「マッセナ」が作られたのは1980年。ナポレオン一世に「勝利の女神の申し子」と称された、著名な陸軍元帥の名が由来です。
バカラのロックグラスをプレゼントしようとしたら、定番品ならまずはこれかな、と。
バカラ イヤータンブラー
バカラをプレゼントするならもうひとつ検討したいのが「イヤータンブラー」です。
イヤータンブラーはバカラが毎年発表しているグラスで、その年だけの特別なコレクションとして高い人気を誇ります。毎年違う形状のグラスがリリースされており、その年の誕生日や結婚式、就職や職場での贈り物に最適。
2021年は「ティアラ」という名称グラスでした。その名のごとく、宝石を散りばめたティアラのように、連続したカットが印象的なデザインです。
限定品ではあるのですが、毎年十分な在庫量があります。ぜひ検討してみてください。
カガミクリスタル T429-642 ロックグラスクリア
ウイスキー専門のバーなどでもよく見かけるカガミクリスタルの「T429-642」。雑誌などでもよく取り上げられています。
やや大振りで、王冠のような深いカットが底部分より施されています。
特に上部から覗き込んだ際のデザインが秀逸で、まるで万華鏡のよう。
カットが深く細かいので、この価格帯はかなりリーズナブルかと思います。多くの高級店で使われているのも納得のグラス。
重厚感があり、スコッチやジャパニーズ、バーボンウイスキーなどをオンザロックで飲む際に重宝します。
Amazonでは320㏄とありますが、カガミクリスタルオフィシャルでは370㏄。恐らくカガミ側が正しいと思います。
松徳グラス ロック(ROCK)シリーズ
2015年末に登場したROCKシリーズ。
グラスの厚みを極限まで薄くした「うすはりグラス」で知られる「松徳硝子」と、三代にわたる「江戸切子」の老舗「堀口切子」のコラボレーションによって生み出されたロックグラスです。
飲み口の薄さは「うすはり」譲り。そして品の良い上質さを感じさせる装飾は「堀口切子」ならでは。
切子のカッティングが異なる4種類で展開しており、それぞれ個性が際立つデザインをしています。
日本の粋が詰まった、慎ましやかでありつつも凛としたグラスシリーズです。
人気商品なうえ在庫が少ないので、かなり生産待ちが出ているような状況ですが、プレゼントとしてこれをもらったらとてつもなく嬉しいですね。何よりセンスがいいし、一生の宝物にします。
個人的には#4がお気に入り。
モーゼル(Moser)ソネット ロックグラス
ボヘミアクリスタルの最高峰と称されるモーゼルもご紹介しておきましょう。
1857年、チェコ共和国のカルロヴィ・ヴァリ市に彫刻家「ルードヴィッグ・モーゼル」によって設立された老舗で、高いハンドクラフト技術を誇ります。100%ハンドメイドで作られており、王室の結婚式や各国の迎賓館でも使用される格式あるグラスです。
ソネットシリーズはモーゼルの中でも人気シリーズで、フット部分に大胆なカッティングが施されているのが特徴。
熟練の職人が形作る品のあるカットは重厚感と滑らかさが同居しています。
田島硝子 富士山ロックグラス
田島硝子といえば「富士山グラス」と呼ばれるくらいメジャーになりましたね。
特にご年配の方へのプレゼントには人気で、類似品が某国で作られまくっているという悲しいグラスでもあります。
グラス底に形作られたリアルな富士山が印象的なこのロックグラスですが、実は三部作なのです。祝盃や、宝永グラスなどもあるのですが、中でも一番使いやすいのがこちらのロックグラス。
プレゼントにも最適で、色々な場所で売られています。
国土交通省観光庁後援 おみやげグランプリ2015のグッズ・ノベルティ部門で、グランプリ・観光庁長官賞を受賞しました。
サンルイ(Saint Louis) マンハッタン オールドファッション M
フランス屈指のクリスタル工房、サンルイです。
テーブルウエア、花器、シャンデリア、照明器具などの様々なクリスタル製品を手掛ける老舗で、誕生は1767年、もともとは「サンルイ王立ガラス工房」と名乗っていました。
クリスタルの製造とカッティング技術で「フランス最優秀職人」の称号をもつ職人も排出しており、その卓越した技術は時代を超えて受け継がれています。
オールドファッションの特徴は王冠を彷彿とさせるシャープで大胆なカット。
エレガントでいて、どこか色気を感じさせるデザインです。
サンルイ フォリア オールドファッション M 230ml
上記のマンハッタンは250mlでしたがこちらはより小ぶりの230ml。スモールタンブラーと呼ばれるものです。
フォリアシリーズはガラス職人のノエドゥシャウフォーローランスによってデザインされ、サンルイのクリスタル工房を取り囲む森からインスピレーションを受けています。中でもトネリコの木の模様を強く反映させており、細かいカットが魅力的。
氷などを入れずにウイスキーを飲むのもよいですね。
まとめ
ロックグラスとひとことで言ってもその姿は多様にあり、サイズや素材、デザインなど、ネットショップで探しているだけでも時間を忘れて目移りしてしまいますね。長いことウイスキーを嗜んでいると、ついついグラスを買い集めてしまいがちで、僕もかなり数を所有しています。
造形がよく、使い慣れたロックグラスはまさに相棒。
自身の手の中にしっくりと納まる相棒を探し出してみてください。
またロックグラスに限らず『ウイスキーグラスを選ぶ条件』をまとめた記事も用意してます。こちらも併せてチェックしてみてください。
これまで、ウイスキーをストレートで楽しむテイスティンググラスはたくさん紹介してきました。
今回はオン・ザ・ロックで楽しむロックグラス(オールド・ファッションド・グラス)のおすすめを書いていきましょう。
選び方のポイントから、自宅用、プレゼント用、高級品、格安品などジャンル別に書いていきたいと思います。