Glen Wyvis Distillery. Bild © Petra Milde
ハイランド地方ディングウォールのグレンウィヴィス蒸溜所が、エディンバラの民事上級裁判所に管財人選任の意向通知を提出しました。
9月23日、3,500人を超える出資者に書面で伝えられています。
BARRELでは2月の融資、そして9月の資金不安と、その経過を追ってきました。
手元資金はすでに底をついていた

運営委員会の説明によると、営業コストの上昇とウイスキー市場の冷え込みに、長引く商業・運営・法務上の問題が重なり、手元資金が尽きたといいます。
2月にはカタリスト・ファンドから50万ポンド(約9,500万円)の融資を確保していました。
しかしその後、設備トラブルで2025年から2026年初頭まで生産が止まっていたことが明らかになり、蒸溜所長などの要職も空席のままでした。
ここ数か月は、再建支援を手がけるインターパス・アドバイザリーを起用して外部の出資者を探していました。関心を示す相手はいたものの、事業を続けられるだけの資金には届かなかったというわけです。
10日間の猶予と、出資者・個人樽の行方

今回提出されたのは、あくまで管財人を選任する「意向」の通知です。
提出によって最長10日間の保護期間が生まれ、その間に運営委員会は、インターパスから指名された共同管財人候補2名と、組合と資産の扱いについて方針を詰めることになります。
出資者にとって痛いのは、この期間中は出資金を引き出せなくなったこと。
蒸溜所に樽を預けている個人オーナーについては、管財人の選任後に、樽の扱いと必要な手続きをあらためて案内するとしています。
管理手続きは、事業や資産の買い手を探す過程でもあります。存続に向かうのか、売却に向かうのか、現時点ではどちらとも言えない状況でしょう。
ジョック・ラムゼイ会長は、10年にわたって地域の出資とボランティア、スタッフに支えられてきたことを振り返り、出資者や債権者、地域にとって最善の結果を目指すとコメントしています。
最後まで重荷だった創業者との確執
もうひとつ、グレンウィヴィスを縛り続けてきたのが創業者との関係です。
創業者のジョン・マッケンジー氏は2019年に経営を離れましたが、蒸溜所の土地は今も同氏が所有しており、運営側との係争が長く続いてきました。
地域の出資で建てた蒸溜所なのに、足元の土地は自分たちのものではない。この構造が、出資者探しの交渉でも重荷になったのではないでしょうか。
資金繰りに行き詰まった新興蒸溜所は、グレンウィヴィスが初めてではありません。昨年11月には、セント・アンドリュースのエデンミルが経営危機に陥り、投資会社ルビー・キャピタルの買収で存続が決まっています。
原酒が熟成するまでの時間を耐える体力がなければ、評価の高い蒸溜所でも持ちこたえられない。業界全体が調整局面に入った今、その厳しさがはっきり表れた一件と言えると思います。










