福島県磐梯町の天鏡蒸溜所が、ブレンデッドウイスキー「KAZE 921 FIRST EDITION 2026」を9月21日から発売します。
創業者の小池駿介氏は、2022年の知床沖の遊覧船事故で28歳で亡くなりました。9月21日はその誕生日で、毎年この日に出していくシリーズの第1弾。

土台は創業者が仕込んだ189樽

小池氏は蒸溜所の完成前から、会津での熟成の可能性を探っていました。スコットランドの3つの蒸溜所からニューメイクを調達し、仕込んだのは58種類の樽で計189樽。
各樽から少量ずつを取り分けて「KAZEソレラシステム」に組み込み、その中で個性が際立った数樽は別に確保してありました。今回の921は、そこから熟成の進んだペドロ・ヒメネス・シェリー樽を二つ選び、核に据えたというわけです。アメリカンオークとヨーロピアンオークが一つずつで、ソレラのブレンドと合わせています。
700ml、アルコール度数61.7%、ナチュラルカラーのナチュラルストレングス。
香りはメープルシロップとスパイスナッツ、チョコレートで包んだダークチェリーで、レモンピールと紫蘇のニュアンスが重なります。味わいは砂糖漬けのドライフルーツから始まり、花椒とシトラスピールへ抜けていくようです。ラベルは会津の出ヶ原和紙、コルクには石目塗という会津漆塗り。装いまで地元の手仕事で揃えています。
『ジャパニーズ』を名乗らない立ち位置
原料はスコットランド産のモルトとグレーンで、蒸溜も現地。会津で行われるのは熟成、ブレンド、瓶詰めで、原料原産地にも英国製造と明記されています。
日本洋酒酒造組合の表示基準は、ジャパニーズウイスキーに麦芽の使用、国内での糖化・発酵・蒸溜、国内での3年以上の貯蔵、国内での瓶詰めを求めています。2024年4月に本格施行され、法整備の動きも続いている最中です。
この基準に照らすと、蒸溜が国外のKAZE 921はジャパニーズウイスキーには当たらず、商品もブレンデッドウイスキーとして出されています。
天鏡は蒸溜所の完成時点で、自社原酒の販売開始を2034年ごろと見ていました。自社原酒が育つまでの間、創業者が残した原酒がその役を担う。KAZEの位置づけは、そう言えると思います。
LEGACYの3倍超という価格
KAZEには定番の「Founder’s Reserve LEGACY」があります。2025年7月に税込8,250円で発売され、ワールド・ウイスキーズ・アワード2026のブレンデッド部門インターナショナルでシルバーを受賞。
921は税込27,500円で、LEGACYの3倍を超える価格です。販売は天鏡オンラインショップと、蒸溜所内の直売所「ゆっ蔵」。
価格差に見合うかどうかは、二つのシェリー樽の個性がグラスでどこまで出るかで決まるのではないでしょうか。










