2023年に計画申請、同年8月に建設許可を取得したキャンベルタウンの新蒸溜所『ウィッチバーン』が、ついに稼働の最終段階に入りました。
BARRELでも当時からお伝えしてきたこのプロジェクト、設備の搬入を終え、建屋の改修工事が進んでいます。
2024年Q4を目指していた生産開始は遅れを経験しましたが、運営会社のブレイブ・ニュー・スピリッツは「数ヶ月以内に蒸溜を開始する」と発表しました。
2年越しの着工、ようやくゴールが見えた
グラスゴーを拠点とする独立ボトラー、ブレイブ・ニュー・スピリッツの共同創業者アダム・ホーチュルとアレックス・スプリンゲンスグースが構想してきたウィッチバーン蒸溜所は、かつてNATOおよびアメリカ海軍基地として使われていたRAFマクリハニッシュ跡地に建設されています。

蒸溜所の特徴は、英国初となる電気スチームボイラーの採用です。化石燃料を一切使わない完全脱炭素の製造体制で、年間生産能力は270万リットル(LPA)。当初計画の200万LPAから規模を拡張しての船出となります。ノンピート、ライトリーピート、ヘビリーピートと複数スタイルの原酒を手がける計画で、さらに伝統的な直火蒸溜に近い高温製造スタイルの再現も視野に入れています。
成長するボトラーが蒸溜所を持つ時代

ブレイブ・ニュー・スピリッツは2020年設立と、まだ若い会社です。しかしその成長は目覚ましく、すでに40カ国以上への輸出を展開。今年のウイスキーマガジン『アイコンズ・オブ・ウイスキー』では独立ボトラー・オブ・ザ・イヤーを受賞しています。
ボトラーとして他蒸溜所の原酒を扱いながら自社の蒸溜所建設を進めるというアプローチは、昨今のクラフト蒸溜所の一つのモデルとなっています。調達ルートと顧客基盤を確立してから製造に踏み込む、いわば「川下から川上へ」の戦略です。
15〜20名の出資パートナーを募集

稼働に合わせ、同社は独自の資金調達プログラムを発表しました。1人30万ポンド(約5,700万円)の出資で蒸溜所の1%株式を取得できる内容で、15〜20名のパートナーを募集しています。株主には毎年、限定カスクの割り当てや創業者限定ボトリング、蒸溜所内イベントへの招待などの特典が付きます。
5年後には出資額を40万ポンド(約7,600万円)で蒸溜所に売り戻すことも可能で、継続保有の選択肢もあります。大手資本に頼らずファンやコレクターを株主として迎えるこのモデルは、Nc’neanがクラウドファンディングで資金を集めた手法と共鳴するものがあります。

キャンベルタウンは現在、スプリングバンク、グレンスコシア、キルケランの3蒸溜所が稼働するのみ。ウィッチバーンが加わる日が近づいています。










