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インチガワーの味やおすすめの種類とおいしい飲み方/UD 花と動物

インチガワーの味やおすすめの種類とおいしい飲み方/UD 花と動物

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オーツカ

ざっくり覚える!

スコットランド、スペイサイドで生産されるインチガワーはブレンデッドウイスキー「ベル」のキーモルトとして有名です。

ベルのブレンド用原酒としてインチガワーに求められた香味は、「オイリーな感触を伴ったナッティでフルボディな原酒」。

シングルモルトで味わってみると、ナッツと麦の厚みのある旨味が感じられます。

重厚でオイリーなナッツ香を手に入れるために特化した製造工程で、フルーティで華やかさを求めるスペイサイドサイドモルトの製造工程とは完全に一線を画しているのが特徴です。

インチガワーの種類と味わい

インチガワー 14年  UD 花と動物

現在購入できるものなかで、オフィシャル品としてリリースされているのがこちら。

そもそも蒸溜所全体の1%のみしかシングルモルトとしてリリースされず、残りの99%はブレンデッドウイスキー用に回されてしまいます。

現在インチガワー蒸溜所のハウススタイル・基本形を体験できる唯一の銘柄と言っていいでしょう。

香りはとてもリッチでリンゴや桃、梨のようなジューシーなフルーティさが感じられ、続いてほんのわずかな潮らしさ、金属らしさがアクセントに。

味わいは全体的に麦の甘さを感じますが、次第に塩っぽさ、オイリーさを感じられ、ナッツの印象が際立ちます。

ちなみにラベルに書かれているのはミヤコドリという水鳥で、現地では「オイスターキャッチャー」と呼ばれています。カモメくらいの大きさで、目が赤く、怖カワイイ。

おすすめの飲み方・飲み進め方

オーツカ

ノスタルジックな印象を受けるベルのまとめ役。

どこか懐かしい、学校とか、鉛筆とか、そういったイメージがインチガワーにはあるんですよね。

酒質は穏やかでリッチ。バランスがいいです。どちらかといえば、甘さや酸よりも辛さや苦みのほうが立っています。
スモーキーとは異なる潮のアクセントが心地よい。

おすすめの飲み方はストレートから加水です。ジューシーな梨、サラリとしたメープルシロップのような香味が溢れます。

オーバン14年やプルトニー12年、クライヌリッシュ14年あたりの「ソルティ」「ブリニー」「ナッティ」を感じる銘柄と飲み比べると面白いです。同じ塩気でも方向性はだいぶ異なります。

オールドボトルも人気で、花と動物前にリリースされていたアーサーベル&サンズ社時代のボトルは、とても個性があります。
とても太い麦芽の味わいと、経年によって絞り出されたジューシーな果実感が素晴らしいです。
さらに前の‘De Luxe’ 12年も人気です。ゴリっとした塩気とみたらしがやや強めです。

ボトラーズからは短熟~長熟まで面白いものがいくつも出てます。
ブレンデッドウイスキーのクラダックとか、すごくうまくまとまっていておいしいですよ。

インチガワーの発祥と歴史

どこで作られているのか?

スコットランド スペイサイドの最北東端にある、人口9000人ほどの小さな町、バッキー。

この町はマレイ湾に面しており、かつて漁業と造船業で栄えた古い港町です。

今ではゴルフコースが2つほどあったり、カワウソやイルカなどの野生動物とオスプレイを観察できる場所になっています。

またバッキーは、「スペイサイドウェイ」と呼ばれる長距離自然歩道の両端のひとつであり、1944年以降バリンダルロッホにあるクライゲラキ蒸溜所からバッキーまで、58.7kmを走る「スペイサイドウルトラマラソン」のゴール地点として知られています。

そんなバッキーの中心から1キロ離れた郊外、フォッシャバーズとフレーザーバラを結ぶ現在の国道A98号線沿いにあるのがインチガワー蒸溜所です。

蒸溜所設立は1871年。

アレクサンダー・ウィルソンによって設立されました。

インチガワーとはゲール語で「川のそばの山羊の放牧地」という意味。実際に蒸溜所の隣には、小さな川と草地、豊かな大麦畑をみるこができます。

スペイサイドはかつて密造酒が盛んにつくられており、現在も蒸溜所が密集した地域として有名です。

そんなスペイサイドの最終地点ともいえる、スペイ川がマレイ湾に流れ込む河口の近くにインチガワーはあります。

近くにある蒸溜所といえば、10kmほど南にデュワーズのブレンドに使われるオルトモア蒸溜所、シーバスリーガルに使われるストラスアイラ蒸溜所などです。

歴史

1825年、バッキーから数十キロ離れたカレン郊外に、インチガワー蒸溜所の前身となるトーヒニール蒸溜所が設立しました。

インチガワー蒸溜所の創業者アレクサンダー・ウィルソンの先代であるジョン・ウィルソンによって設立されたトーヒニール蒸溜所は、

  1. 施設が手狭になったこと
  2. 水の調達に難があったこと
  3. 地代を2倍にされて地主と揉めた

などの事情から、1870年に事業を停止。今のインチガワー蒸溜所へと名を改め、設備を移したと言われています。

トーヒニール蒸溜所の遺構は今でも残されており、蒸溜所の機能を失ってからは農業用の施設として使用されています。

1871年、アレクサンダー・ウィルソンによってインチガワー蒸溜所が設立。

トーヒニール蒸溜所からスペイ川に近づくように10kmほど西へむかった場所にあり、土地は広く、水は良質、土地も安く、トーヒニール蒸溜所時代の問題は解消されました。

その後60年以上、蒸溜所はジョン・ウィルソンのもとで運営されますが、経営難に陥り1936年に破産。

この時代はアメリカの禁酒法(1920〜1933)が廃止されることを見越して、生産量を増加させる蒸溜所も多かった中、インチガワー蒸溜所はうまく波に乗ることができませんでした。ですがここでインチガワーの歴史は途切れません。

周辺住民の雇用がすでにあったインチガワー蒸溜所を、なんとバッキー町議会が1,000ポンドで購入。バッキーはスコットランドで唯一、「町議会が蒸溜所を保有する町」になりました。

蒸溜所ではたらく人々の雇用は守られたのですが、実のところ事前に高値で売れることを聞き入れていたバッキー町議会。2年後にかしこい買い物であったことが証明されます。

1938年、バッキー町議会がインチガワー蒸溜所を6,000ポンドでアーサーベル&サンズ社へと売却します。(3000ポンドで売却したという話もありますが、バッキー町議会が購入時より高値で売却できたことには間違いありません。)

禁酒法の終了、スピリッツの需要が高まることを受け、アーサーベル&サンズ社は1933年にブレアソール蒸溜所とダフタウン蒸溜所の買収で56,000ポンドほど費やしていたため、6,000ポンドのインチガワー蒸溜所はまさに買いでした。

その後インチガワー蒸溜所は、アーサーベル&サンズ社の元でブレンデッドウイスキー「ベル」のブレンド用モルトを製造するため稼働し続けることになります。

1985年にはギネスがアーサー・ベル&サンズ社を買収。取引価格は5億1800万ドル。これは5つの蒸溜所、インチガワー、ブレアソール、ダフタウン、ピティバイク、ブラッドノックが含まれた取引でした。

1986年、ギネスはディスティラーズ・カンパニーをも買収し、新しくユナイテッド・ディスティラーズ社(UD社)に改組されます。

UD社は現在のディアジオ社の前身のひとつ。こうしてインチガワーはディアジオ社が保有するモルト蒸溜所のひとつになり、今に至ります。

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インチガワーの製造方法

先にも書いたように、インチガワーはブレンデッドウイスキー「ベル」のブレンデッド用モルト蒸溜所として、アーサーベル&サンズ社によって買収された歴史を持つ蒸溜所です。

そして今でもベルのブレンド用原酒として求められるのは、オイリーな感触を伴ったナッティでフルボディな原酒。

厚みのある香味がブレンド全体を豊かにし、他のフレーバーをまろやかにまとめる働きをします。

重厚でオイリーなナッツ香を手に入れるために特化したインチガワー蒸溜所の製造工程は、フルーティで華やかさを求めるスペイサイドサイドモルトの製造工程とは完全に一線を画しているのが特徴です。

 

歴史的には独自でフロアモルティングするなど、すべての工程を完結するスタイルをもっていましたが、現在はディアジオ社が所有するバーグヘッドのモルティング施設からモルトを調達しています。すべてノンピート麦芽。

仕込み水はメンダフヒルズの泉。水を汲み上げるため技術的には「Lower Speyside Malt」として分類されます。

糖化工程では澄んだ麦汁ではなく、あえて濁った麦汁を抽出しています。ちなみに同じくベルの原酒用として製造されるブレアアソールも濁った麦汁をとっています。

ワンバッチ8.4トンでマッシュタンはセミロイタータン。

発酵時間は短めで48〜53時間。更に短いパターンで39時間のときもあるそうです。これはかなり短い。

フルーティな原酒は発酵時間は長くすることで乳酸菌発酵による乳酸の効果を得られることが知られています。

発酵時間を長くするとバナナや洋梨、りんごのような甘い香味が増えてくるのですが、インチガワーではそれらのフルーティな香味要素を必要としていないため、意図的に短く設定しているそうです。

現在の蒸留器は合計4基。1966年に生産力拡大を求めて2基から4基に増設。生産量を倍増させました。

形はずんぐりとしたストレート型。初留器は12,500リットル、再留器は7,500リットルです。

強火で迅速に蒸留を行い、なるだけ銅との接触を減らすよう意識。これにより厚くてヘビーな香味成分が維持できます。

ラインアームの形は通常直線であることが多いのですが、くの字の折れ線型になっているのも特徴的です。

蒸留中の還流を減らすことによって、さらにフルーティな香味成分の増加を抑えています。

蒸留の際、ミドルカットではエステリーな要素をいれないために70%ではじめ、55%でカット。

蒸留されたニューメイクはタンクローリー車に入れられて、樽詰めの場所まで運ばれていきます。

樽詰めはスコットランドのセントラルベルト内でおこなわれますが、かなりの量が再び蒸溜所に戻され、後述する敷地内の巨大貯蔵庫で熟成されます。使用する樽は、主にリフィルのバーボン樽。

インチガワー蒸溜所の生産能力は年間320万リット。実際の稼働は2017年以降、週5日稼働で年間およそ210万リットルペースです。

2006年に1年間かけて行われた大規模改修で「クローズドイーストピッチングシステム」が導入され、自動的に酵母を投入できるようになるなど近代的な仕組みが実装されています。

今では完璧にシステム化されており、生産工程はワンマンオペレーションで可能となっています。

巨大な貯蔵庫には65,000本の樽が貯蔵可能で、2021年6月時点では61,000本もの樽が貯蔵されているといいます。

スタイルはダンネージ式とラック式のどちらもあり、貯蔵されるのはインチガワーの原酒だけでなく、ほとんどが近隣にあるディアジオ傘下蒸溜所原酒の貯蔵に使用されています。

99%のインチガワー原酒は、ベル、ジョニー・ウォーカー、ホワイトホース、J&Bなどのブレンド用原酒として製造されており、わずか1%ほどがシングルモルトとして市場にでています。

オーツカ

ラベルにオイスター・キャッチャー(ミヤコドリ)が描かれた花と動物シリーズの14年は、インチガワーのハウススタイルを確認することができる唯一の銘柄です。飲むとクセになるクラシックな味わいです。




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