ARTASTE/アルテイスト

米関税に苦しむアイリッシュウイスキー、活路は中国のビール会社?

米関税に苦しむアイリッシュウイスキー、活路は中国のビール会社?

※当サイトはアフィリエイト広告を利用しています

アイルランドのウイスキー業界の重鎮、ジョン・ティーリング氏が率いるグレートノーザン蒸溜所が、中国のビール大手・青島ビールと販売提携を結びました。

3〜21年熟成のウイスキーを青島ビールの自社ブランドとして、中国国内で展開する計画です。

なぜ今、中国なのか。米国市場の失速

グレートノーザン蒸溜所は、ティーリング家の父・ジョン氏が2015年にダンダークで立ち上げた蒸溜所です。同じ年、息子ジャック氏がダブリンでティーリング蒸溜所を稼働させており、親子で同時期に2つの蒸溜所を構えたことでも知られています。詳しくは以下の記事もご覧ください。

ティーリングを学ぶ!味や種類、おすすめの飲み方

今回の提携の背景には、アイリッシュウイスキー業界全体を覆う逆風があります。

米国は2025年8月からEU産スピリッツに15%の関税を課しており、これによりアイリッシュウイスキーの2025年の輸出額は前年比5%減の約9億3000万ユーロ(約1690億円)まで落ち込みました。

同じタイミングで英国産スコッチは米国との間で関税ゼロの枠組みに戻りましたが、アイルランドはEU籍のため対象外のまま。業界団体アイリッシュ・ウイスキー・アソシエーションは、アフリカやインド、日本、中国といった新興市場への分散を公式に掲げており、今回の提携もその一環と位置づけられます。

受け皿としての中国市場、意外な追い風

グレートノーザン蒸溜所側には、米国向けの停滞で積み上がった在庫があり、新規投資なしで青島ビールに供給できるという事情もあります。

ティーリング氏は「中国、インド、日本の若者は甘い味を好む。我々には良いウイスキーがあり、青島ビールには圧倒的な流通網がある」と、この提携を理にかなった組み合わせと語っています。

そして中国側にも追い風があります。今年初めに輸入ウイスキーの関税が引き下げられ、ウイスキーは数十年ぶりにブランデーを抜いて輸入洋酒の首位に立ちました。若い世代を中心に「気取らない高級感」としてウイスキーを選ぶ流れが広がっており、ジャパニーズやアイリッシュ、エントリー帯のスコッチへの関心が伸びているタイミングです。

オーツカ
米国で閉まった扉の隣で、中国の扉がちょうど開きかけていたわけですね

この流れは中国だけの話ではありません。アイリッシュウイスキーの輸出は日本向けも前年比23%増と伸びており、業界としては日本も同じ分散戦略の対象地域です。BARRELでも昨年、日本初上陸を果たしたアイリッシュウイスキー「グレース・オマリー」を取り上げましたが、あちらも同じ潮流の一部と見てよさそうです。

“海賊女王”の名を冠す!アイリッシュウイスキー「グレース・オマリー」が日本初上陸




国産ハンドメイドのウイスキー専用グラスシリーズ

5000名以上のウイスキー愛飲家に使われるKYKEYのグラスシリーズ。そのウイスキーが持つポテンシャルを、最大限に引き出します。