米国のトランプ大統領は9月13日、ゴルフトーナメント「アイリッシュオープン」の表彰式で、アイリッシュウイスキーに課している関税を撤廃する意向を明らかにしました。
アイルランドのミホル・マーティン首相や、同大会で優勝したシェーン・ラウリー選手をはじめ、その場にいた関係者から直接働きかけを受けたことが後押しになったとされています。
EU籍ゆえに残っていた10%の壁

アイリッシュウイスキーは現在、EU産品と同様に対米輸出時10%の関税が課されています。
この税率は一時15%まで引き上げられたのち10%に引き下げられた経緯がありますが、それでも輸出額に重くのしかかる存在でした。
米国はアイリッシュウイスキー最大の輸出市場で、年間約4億5000万ユーロ(約818億円)規模、2024年には約550万ケースが販売されています。
北アイルランドとの奇妙な線引き

アイリッシュウイスキーはアイルランド島全体を対象とする単一のGI(地理的表示)で保護されており、北アイルランド(英国籍)と共和国(EU籍)を区別しません。
しかし米国が先にUK産ウイスキーの関税を撤廃したことで、同じ「アイリッシュウイスキー」を名乗るボトルが、蒸溜された場所によって異なる関税率にさらされるというねじれが生まれていました。
BARRELでも先月、米関税に苦しむアイリッシュウイスキー、活路は中国のビール会社?でこの構図に触れましたが、今回の表明はまさにそこで指摘した「取り残された側」に光が当たる展開です。

撤廃はいつになるのか

現時点で米通商代表部(USTR)による正式な確認や、撤廃時期の発表はありません。
今回の表明もゴルフの表彰式という非公式な場でのものであり、政策として固まるまでにはまだ段階が残っています。
それでも業界団体アイリッシュ・ウイスキー・アソシエーションと米国蒸留酒協会(Discus)はいずれも今回の発言を歓迎しており、チャールズ国王訪米を機に、スコッチウイスキー対米関税がついに撤廃という前例を踏まえれば、実現への期待は決して的外れではなさそうです。
アイルランドは米国産バーボン樽の最大の輸入国でもあり、両国の蒸溜産業は関税を挟んでも根っこの部分で結びついています。









