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標高が与える影響は?ヒマラヤ産シングルモルト、樽オーナーシップ制度を発表

標高が与える影響は?ヒマラヤ産シングルモルト、樽オーナーシップ制度を発表

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ウイスキーの熟成において、標高はどれほどの意味を持つのか——そんな問いを真正面から突きつけるプロジェクトが動き出しました。

インド・ウッタラーカンド州クマオン地方の蒸溜所ヒマーレ・スピリッツが、「ヒマラヤン・カスク・プログラム」を発表しました。樽ごと購入し、熟成を見守り、最終的にオーナーだけのボトルとして手元に届く仕組みです。

高地熟成は何が違うのか

ウイスキーの熟成を決定するのは年数だけではありません。気温、湿度、そして標高が組み合わさって、樽の中の液体を変えていきます。

スコットランドの蒸溜所では年間2〜3%ほどが蒸発します。これがいわゆる「エンジェルズシェア」です。インドの平地にあるアムルート蒸溜所では年間12%に達することが知られており、スコットランドの4〜6倍の速さで熟成が進みます。

高地の場合、さらに別の力が加わります。気圧が低いと蒸気圧も下がり、アルコールが通常よりも蒸発しやすくなります。加えてヒマラヤ山麓では昼夜の気温差が激しく、日中の熱で液体が膨張して樽の木材に深く浸み込み、夜間の冷却で収縮する際にエキスを引き連れて戻ってくる、この呼吸運動が熟成を加速させます。クマオン地方の蒸溜所は標高約1,800メートルに位置しており、低地の熱帯気候とも、スコットランドの海洋性気候とも異なる第三の熟成環境です。

2023年設立、ウイスキーはまだ1本も出ていない

ヒマーレ・スピリッツは2023年設立で、ウイスキーの蒸溜を開始したのは2024年12月のことです。市場に出たシングルモルトは現時点で1本もありません。

製造面ではスコットランドのフォーサイスス製ポットスティルを使用し、地元農家から調達したインド産6列大麦を90時間以上の長期発酵で仕込みます。スコットランドのアービキー蒸溜所のプロダクションマネージャーが技術協力しています。

カスクプログラムの熟成期間は3〜8年で、エクスバーボン樽を使用。1樽あたりのボトル数は168〜285本。オーナー特典として蒸溜所へのVIP訪問、マスター蒸溜家との試飲・フレーバー選択、ボトリング立会いなどが含まれます。国際カスク販売はアジアン・アルケミーが担い、当初は英国を中心に展開します。価格は非公開です。

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インドシングルモルトという追い風

このプロジェクトの背景には、インドシングルモルト全体の急成長があります。アムルートが2004年にシングルモルトを市場に投入し、2010年にジム・マーレイの『ウイスキー・バイブル』でアムルート・フュージョンが世界3位に選出されたことが転換点でした。インドリは2024年の米スピリッツ・レーティングスでウイスキー・オブ・ザ・イヤーを受賞し、2025年の国内シングルモルト販売は推計41万ケースを突破して輸入スコッチを上回っています。

インドを代表する4蒸溜所は2025年3月、業界団体「インディアン・モルト・ウイスキー・アソシエーション」を設立しました。スコッチ・ウイスキー・アソシエーションに相当する組織として品質基準の統一と国際展開を目指す動きです。

ヒマーレはその波に乗り、さらに「標高」という独自の産地性を打ち出そうとしています。実績がゼロの段階でのカスク販売はコレクター向け投資色が強い企画ですが、数年後にボトルが出揃ったときに「ヒマラヤ熟成」の答え合わせができるというのは、それはそれで面白い。

オーツカ
標高1,800メートルの熟成がどんな液体を生むか、3年後が純粋に楽しみです。エンジェルズシェアがどれくらいになるかだけでも知りたい。ホームページはとっても素敵でした。

https://www.himmalehspirits.com/




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