グレンモーレンジィが、ブランド史上最長熟成となる「グレンモーレンジィ 50年」を世界149本限定で発売します。日本では10月21日に数量限定で発売され、希望小売価格は税抜4,576,100円、税込5,033,710円です。
原酒の出発点は1970年代半ば。蒸溜所の中で行われていたフロアモルティングが、1977年に役目を終える直前の時代に製麦された大麦から造られています。
25年と25年、二段階で辿り着いた半世紀
熟成は二段階に分かれています。
最初の約25年は、バーボン・ホグスヘッドとファーストフィルのオロロソ・シェリーバットでの熟成。
そこでさらに長く寝かせる余地を見出したのが、最高蒸留・製造責任者のビル・ラムズデン博士です。バーボン樽の原酒を主体に、少量のシェリー樽原酒を合わせて、ひとつのリフィル・ホグスヘッドへ移し、もう約25年を重ねました。
博士は約30年にわたってこの原酒の変化を見守り、50年を迎える最良のタイミングを見極めたといいます。

リフィル樽を選んだのは、樽の個性を穏やかに重ねていくためでしょう。長い熟成の中でも、グレンモーレンジィらしいエレガンスを崩さないことが狙いだったようです。
度数は45.7度、容量は700ml。
博士自身、この年数のグレンモーレンジィを瓶詰めできる日が本当に来るのか、何度も考えていたとコメントしていて、キャリアの中でも特に誇りに思う仕事のひとつだと語っています。
1977年に役目を終えた床の名残

博士がもうひとつ強調しているのが、原酒が蒸溜所内で製麦された最後期の大麦から造られていることです。その影響で、味わいには希少なスモーキーさのニュアンスが加わっているとのこと。
色は深い赤褐色のダークマホガニー。
香りはとてもエレガントで、どこか不思議な印象もあるそうです。アンバー、カルダモン、ベイクドオレンジ、サルタナレーズン、ナツメグが甘く立ち上がり、コリアンダーやパセリを思わせるハーブのトップノートがそれを引き立てます。
加水はほとんど必要ないとしつつ、数滴加えるとキャンディのような甘みとトフィーが引き出されるとも書かれています。
味わいは、かすかな胡椒のアクセントから始まり、トフィー、煮詰めたアッサムティーの葉、白樺のタール、クローブ、オークのタンニンが重なっていく構成。
スコットランドで最も背の高いポットスチルから生まれる、フルーティーで華やかな普段のグレンモーレンジィとは、かなり違う表情が見られそうです。
50色の顔料でつなぐ149の器

ボトルを包むのは、ニューヨーク州ロチェスターを拠点にする陶芸家ピーター・ピンカスと、パートナーのローリー・ピンカスが手がけた磁器のオブジェです。
ふたりは蒸溜所を訪れてこの50年をテイスティングし、幾層にも重なる味わいから着想を得て、50種類の特注顔料を開発しました。陶芸でこれまで使われてこなかった技法も取り入れ、約1,000日をかけて149点を一つひとつ手作業で仕上げたそうです。
149点はすべて色と模様が異なります。しかも各オブジェは隣り合う作品と模様がつながるよう設計されていて、全部を組み合わせると「Together in Spirit」というひとつのアートウォールになる仕組み。

ふたりは2023年からスタジオのチームとともにこのプロジェクトに専念してきました。ピーター・ピンカス氏は色彩理論と複雑な型の技術で知られ、作品はヒューストン美術館をはじめ、アメリカ各地の美術館に収蔵されています。

ラムズデン博士は、二度と再現できないアート作品をともに生み出せたと語り、ピンカス氏も、つながりながら一点ごとに個性を持つ器ができたとコメントしています。
先日お伝えしたバルヴェニー88年のように、長熟の話題は年数の記録で語られがちです。
その中でグレンモーレンジィは、蒸溜所の製麦の歴史と、1本ごとに違う器を組み合わせて50年を出してきました。熟成年数そのものより、この一本にしかない来歴で勝負しているということでしょう。










