スコットランド・ファイフにあるキャメロンブリッジ蒸溜所で、8月26日からストライキ実施の是非を問う投票が始まります。
労働組合ユナイトは、人員削減を巡ってディアジオが十分な協議を行っていないとして反発しており、投票は9月9日に締め切られる予定です。
欧州最大のグレーン蒸溜所で何が起きているか

キャメロンブリッジは、ジョニーウォーカーなどブレンデッドウイスキー向けのグレーン原酒に加え、タンカレーやゴードンズ、スミノフといったブランドのベーススピリッツも供給する、欧州最大級のグレーン蒸溜所です。
現在およそ200人が働いていますが、ユナイトの試算では70人を超える職が見直しの対象になっているといいます。
対するディアジオ側の説明は、蒸留クルーを6班から5班に減らすことで最大12人分の削減にとどまり、希望者には社内の別ポストを用意できる見込みだというものです。
ユナイトのシャロン・グラハム書記長は、業績の良い企業がこれほどの人員削減に踏み切る必要はないと厳しく批判しており、両者の主張には大きな開きがあります。
相次ぐスコットランドでの人員削減
ディアジオを巡る人員削減の動きは、キャメロンブリッジだけではありません。今月にはカーデュ、クラガンモア、ポート・エレン、ダフタウンの4蒸溜所を含む172人に整理対象の通知が届き、うち38人が実際に職を失う可能性があると報じられたばかりです。

『ドラスティック・デイブ』が掲げる1,000億円規模の削減計画
背景にあるのは、今年1月に就任したCEOサー・デイブ・ルイス氏が主導する、3年間で10億ドル、日本円にして約1,590億円のコスト削減計画です。テスコやユニリーバでの実績から「ドラスティック・デイブ」の異名を持つ人物で、就任後わずか半年余りでディアジオの従業員数は29,860人から27,938人へと6.4パーセント減少しました。
今月発表された2026年度の暫定決算では、オーガニックベースの純売上高が3パーセント減の196億ドル、日本円で約3兆1,164億円にとどまっています。業界アナリストの間では、最終的な削減規模が3,000人から5,000人に達するとの見方も出ています。
業界全体を覆う逆風という文脈
スコッチウイスキー業界全体を見ても、蒸溜所の約2割が深刻な資金繰りの逼迫に直面していると推計されており、ディアジオ自身もスコットランドでのモルト生産を一時停止する措置をとってきました。
キャメロンブリッジのストライキ投票は、その渦中で起きている労使対立の一幕といえます。ボトルに載らない部分での軋みが、どこまで表面化していくのか注目されます。









