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アードゴワン蒸溜所、8年越しの本格始動。約8.6億円の追加調達と財務再編

アードゴワン蒸溜所、8年越しの本格始動。約8.6億円の追加調達と財務再編

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スコットランド、インヴァークリップに拠点を置くアードゴーワン蒸溜所が、420万ポンド(約8.6億円)の新規資金調達と大規模な財務再編を発表しました。

80年の時を経て復活!アードゴーワン蒸溜所、待望の歴史的初樽詰め

インヴァークライド地区では1世紀ぶりとなる新設蒸溜所で、2017年に建設計画が承認されてから8年越しの本格始動です。ブレグジットとコロナ禍で建設が遅れ、自社ウイスキーの蒸溜開始は2025年6月にようやく実現しました。

累計57億円を超えたプロジェクトの財務整理

今回調達した420万ポンドは「エクイティとローンの均等な分割」という説明にとどまり、出資元の具体的な開示はありませんでした。

これと同時に、1,400万ポンド(約28.7億円)分の転換社債をエクイティに転換し、株式構造を簡素化しています。

このうち300万ポンド(約6.1億円)はスピリッツメーカーのDistilが保有する分で、転換によりDistilはアードゴーワン・ディスティラリー・カンパニーの株式10.5%を取得することになりました。

Distilはレッドレッグ・スパイスドラムとスコットランド産ジン・ウォッカブランドのブラックウッズを持つ英国企業で、2021年にもアードゴーワンへの投資を行っています。今年1月にはブラックウッズのブランドホームがアードゴーワン・エステート内にオープンしており、両者の関係は製造面でも深まっています。

プロジェクト全体への累計投資額は2,800万ポンド(約57億円)に達しており、将来的には年間200万リットルの製造能力を目指す計画です。

CEOのローランド・グレイン氏は「クリーンな所有構造と強化されたバランスシート、明確な前進の道が整った」と述べ、「追加の戦略的・長期投資パートナーに対して引き続きオープンだ」とも語っています。資金調達がまだ終着点ではないことを示唆するコメントです。

ヨーロピアンオーク長熟という高コスト路線の賭け

アードゴーワンが掲げるウイスキー造りの哲学は、ヨーロピアンオークのシェリー樽による長期熟成で「シングルモルトの黄金時代を再現する」というものです。

これはスコッチ業界の中でも特にコストのかかるアプローチで、スコッチの法的定義上3年以上の熟成が必要なため、自社原酒が製品として市場に出るまでにはまだ時間がかかります。

そのつなぎとして、昨年10月には他の蒸溜所の原酒を調達・熟成させる「クライドビルト」シリーズへ500万ポンド(約10.2億円)を投じており、自社原酒完成までの販売を支える戦略も取っています。

この構図は、近年スコッチ業界で進む流れとも重なります。英印貿易協定でスコッチへの関税が段階的に引き下げられることが決まり、インド市場が新たな主戦場として浮上しつつある一方で、インドリをはじめとするインド国産シングルモルトも急速に品質を上げています。その中でアードゴーワンが「長熟シェリー樽」という差別化軸をどこまで貫けるか、資金と時間の両方が問われる正念場はこれからです。

オーツカ
かなりチャレンジングな計画を立てているアードゴーワン。蒸溜開始はまだ1年、シェリー樽長熟という高コスト路線で自社原酒が出るまで資金が持つかどうか。投資家への「オープン」発言が少し気になります。



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