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ディアジオ初の招待制シリーズ『レア・シリーズ』。55年熟成のゴースト蒸溜所が主役だ

ディアジオ初の招待制シリーズ『レア・シリーズ』。55年熟成のゴースト蒸溜所が主役だ

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ディアジオが4月30日、新たなウルトラプレミアムコレクション『レア・シリーズ』を発表しました。

初回リリースは全5本。その筆頭が、閉鎖蒸溜所グレンユーリー・ロイヤルの55年熟成です。

これはディアジオが公式にリリースしたシングルモルトとして史上最長熟成にあたります。

「ディアジオ・ラグジュアリー・グループ」が動き出した

BARRELでは2024年11月、ディアジオが高額帯ブランドと希少樽の管理を一元化する新部門「Diageo Luxury Group(ディアジオ・ラグジュアリー・グループ)」を発足させたことをお伝えしました。

ジョニーウォーカーの元グローバルブランドディレクター、ジュリー・ブラムハム氏が率いるこの部門は、スコットランドの蒸溜所に眠る1000万樽以上のストックを管理し、富裕層コレクター向けの新たな体験を作り出すと宣言していました。

今回の『レア・シリーズ』は、その最初の具体的な成果です。

第一弾はスコットランド東ハイランドに眠っていた「王室の名を持つ蒸溜所/グレンユーリー・ロイヤル」

グレンユーリー・ロイヤルは1825年、スコットランド東ハイランドのストーンヘイヴンに、ロバート・バークレー大尉によって創業されました。

1835年にはウィリアム4世から「ロイヤル」の冠を許された、スコットランドでも3蒸溜所しか持たない称号の持ち主です。しかし1985年に閉鎖。敷地は売却され建物は取り壊され、今やかつての煙突台座に記念プレートが残るのみです。

ディアジオはそのわずかに残存する樽から、今回の55年熟成を引き出しました。アメリカン・オーク・ホグスヘッドで長期熟成し、ヨーロピアン・オーク・パンチョンでマリッジ。62.4%のカスクストレングスで232本のみのリリースです。価格は6,350ドル(約93万円)。

テイスティングノートによれば、控えめながらリンゴと洋梨のドライなフルーティさに淡いスモークが続き、加水するとジンジャーの甘みが開くとされています。55年という歳月を「さらりと纏う」という表現が使われており、過剰な重さではなく円熟の軽やかさがあるようです。

オーツカ
2003年に498本でリリースされた50年熟成の前例はありますが、今回は55年。ストックはほぼ底をついているはずで、これが実質的な最後のまとまったグレンユーリー・ロイヤルになる可能性が高いです。

残り4本も粒揃い——各蒸溜所の最高齢記録が並ぶ

今回の『レア・シリーズ』は5本一括発表です。グレンユーリー・ロイヤル以外の4本も、いずれも蒸溜所としての公式最高齢リリースに並ぶ水準です。

カリラ 1983(42年 / 56.4% / 318本 / 約44万円)

カリラとして同蒸溜所の公式リリース史上最高齢。アメリカン・オーク樽熟成後、ヨーロピアン・オーク・パンチョンでマリッジ。アイラらしいスモークとスパイスに甘みと塩気が絡む仕上がりとされています。

クライヌリッシュ 1983(42年 / 49.5% / 160本 / 約53万円)

全5本の中で最少本数。アメリカン・オーク・ホグスヘッドでの単独熟成で、クライヌリッシュ最大の特徴であるワクシーなキャラクターが際立ちます。ラベンダーとローズの花香を纏った気品あるアロマが印象的です。

タリスカー 1992(33年 / 60.1% / 331本 / 約19万円)

実験的なバッチから引き出した唯一の原酒で、アモローソ・シェリーカスクで20年以上の長期フィニッシュを施した一本。スカイ島の海潮風にシェリーの甘みが深く溶け込んでいます。

ブレア・アソール 1991(34年 / 50.8% / 347本 / 約13万円)

ブレア・アソールとして初のシェリー樽熟成。ペドロ・ヒメネス(PX)シーズンドの新樽でフィニッシュした実験的なリリースで、エスプレッソ・ダークチョコ・レーズンが重なるロバストな甘みを持ちます。5本中もっとも手の届きやすい価格帯です。

1990年代の「レアモルト・セレクション」とは別物

ディアジオの「レア」を冠したシリーズといえば、1990年代に展開された『レアモルト・セレクション』を思い浮かべる方もいるでしょう。あのシリーズは、ポートエレンやブローラ、グレンユーリー・ロイヤルなど閉鎖蒸溜所の原酒を一般流通でカスクストレングス販売したもので、今となっては高値がつくものの、当時は比較的手の届く価格帯でした。

今回の『レア・シリーズ』はまったく別の設計です。一般市場には流通せず、ディアジオ・ラグジュアリー・グループのプライベートクライアントチームへの登録制。ジャスティアリーニ&ブルックスなどのファインワイン・レアウイスキー専門商社を通じた完全招待制で、私的テイスティングやスコットランドへの没入型体験がセットになっています。

「希少原酒を広く届ける」から「超富裕層と直接つながる」へ。

ディアジオのスタンスが30年かけて大きく転換したことを、このシリーズは象徴しています。

1000万樽の在庫を抱えるディアジオが「本気で出す」とき

今後の『レア・シリーズ』追加リリースは、マスターブレンダーが「最良の状態に達した」と判断したタイミングで随時発表される予定で、次に何が出るかは明かされていません。

ブローラ、ポートエレン、コンバルモアといった名だたるゴースト蒸溜所の原酒がまだ眠っている可能性を思えば、このシリーズの射程は相当に長いはずです。

オーツカ
2024年末に発足したディアジオ・ラグジュアリー・グループの「初弾」がこのシリーズです。招待制、最高90万円超、次回予告なし——。時流に乗った戦略ですが、はたして。



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