2月にお伝えしたカタリストファンドからの50万ポンド(約9,500万円)融資は、グレンウィヴィスにとって「呼吸のための時間」だったはずでした。
しかし半年余りを経て、蒸留所は再び深刻な資金不足に直面しています。
2月の朗報から一転、なぜ足りなかったのか

ハイランド地方ディングウォールのグレンウィヴィスは、地域住民の出資で2016年に設立された、いわゆるコミュニティ蒸溜所です。
2月の融資は、賃貸契約を巡る創業者との法的紛争や、木材チップ貯蔵庫での火災といった逆風を乗り越えるための運転資金・熟成庫拡張費として確保されたものでした。
ところが今回、運営委員会がメンバー向けに送った通知によると、この融資と過去の資金調達分だけでは「長期的に事業を維持するには十分ではない」状況だといいます。
加えて、2025年から2026年初頭にかけては設備トラブルにより生産自体が止まっていたことも明らかになりました。
設立10年で積み上げてきた基盤が、想定より早く目減りしているというわけです。
幹部ポスト2つも空席のまま
現在、蒸留所には蒸留所長(distillery manager)と現場責任者(distillery operator)という2つの重要ポストが空いたままになっています。
運営に関わるデイビッド・グレアム氏によれば、これらのポストの募集や採用に踏み切ることは「蒸留所の将来が不透明なままでは倫理的に正しくない」との判断だそうです。経営の先行きが見えないまま人を雇うわけにはいかない、という率直な事情が透けて見えます。
コミュニティ所有という看板、揺らぐ可能性
運営委員会は現在、外部からの投資を含む「あらゆる選択肢」を専門アドバイザーとともに検討しています。
新たな投資が確保できなければ、蒸留所の将来について「代替案」を検討せざるを得ないとも述べています。
外部資本の導入が、地域住民出資という現在の構造からの転換を意味するのかという問いに対し、グレアム氏は「見方によって答えが変わる、難しい質問だ」と述べるにとどめています。

クラウドファンディングやコミュニティ出資で立ち上がった新興蒸溜所は世界各地で増えていますが、理想を掲げて始めた資金調達の枠組みが、事業の継続と両立できるとは限りません。
グレンウィヴィスの今後は、同じような形で立ち上がった蒸溜所にとっても、ひとつの試金石になりそうです。









