キリンビールが、ウイスキー「陸」ブランドから缶ハイボール「キリン 陸ハイボール」を8月25日に全国発売します。
350ml缶と500ml缶の2サイズ、アルコール分6%、期間限定ではなく通年商品として展開します。
二桁成長を続けてきた「陸」というブランド
「陸」は富士御殿場蒸溜所の原酒を主体にしたキリンのミドルスタンダードで、2020年の誕生時は売上高7億円という小さなブランドでした。
転機は2022年のフルリニューアルです。原酒のブレンド比率を見直し、パッケージも一新した結果、売上高は前年の2倍近い約15億円に伸び、翌2023年にはさらに28億円まで拡大しています。
2026年上半期の販売金額はこれで6年連続の過去最高更新となりました。
ハイボール缶という新機軸は、この右肩上がりの流れに乗せる形での投入です。
「重そう」なイメージをどう崩すか

キリンが今回照準を合わせたのは、外ではハイボールを飲むのに、家では缶ハイボールを選ばない層です。
プレスリリースによれば、缶ハイボールに対して「アルコール感が強そう」「味や香りが重そう」というイメージを持つ消費者が一定数存在するといいます。
その課題への回答が、6%という設定です。
市場の主力である角ハイボール缶や、ピート由来の重さを売りにするクラフト系のプレミアム缶が7%前後からラインナップされているのに対し、陸ハイボールはあえて低めのアルコール度数に振り、フルーティーで軽やかな飲み口を前面に出しています。
缶ハイボールの世界では、濃さや本格感を競う流れが目立っていただけに、逆方向からの提案という見方もできそうです。
酒税改正の先にある勝負

10月1日に控える酒税改正では、ビール・発泡酒・新ジャンルの税率が350ml換算54.25円に一本化され、これまで税率の低さを武器にしてきた発泡酒・新ジャンル系は価格優位性を失います。
一方、チューハイなどが該当する「その他の発泡性酒類」も28円から35円に引き上げられますが、統一後のビール系飲料との差は依然として残ります。
キリン自身も、10月の改正以降は缶ハイボールを含むRTD市場に他カテゴリーからの流入が見込まれるとしています。
発泡酒・新ジャンルの値ごろ感が薄れる中で、価格に敏感な層の一部がRTD側に移ってくるという読みは、業界の一般的な見立てとも大きくは外れていないでしょう。
ただし、その流入先を陸ハイボールのような軽やかな設計が受け止めるのか、それとも度数の高いガツンとした缶が受け止めるのかは、まだ見えません。
大手が家庭用市場のすそ野を広げにきたこと自体は、缶ハイボール全体の裾野拡大という意味で歓迎できる動きです。










