米アラバマ州で、かつて「ジャック・ダニエル・クーパレッジ」として知られた樽工場が、9月14日をもって閉鎖されることが分かりました。
現在の運営会社インディペンデント・ステイブ・カンパニー(ISC)が、米雇用調整・再訓練通知法(WARN法)に基づき、州の雇用機関に届け出たことで明らかになったもので、71人が職を失うことになります。

「ジャック・ダニエル」の名を背負っていた工場

この工場は、もともとブラウン・フォーマンが自社のジャック・ダニエル蒸溜所向けに樽を供給する目的で保有していた施設でした。
2024年2月にISCが買収を発表し、同年5月1日に売却が完了。工場名も「アラバマ・クーパレッジ」へと変更されています。
買収当時、ブラウン・フォーマンは戦略的パートナーシップの一環として、この工場からジャック・ダニエル蒸溜所への樽供給を継続すると説明していました。
カナダ市場からの締め出しという打撃
BARRELでも継続的に追ってきた通り、ブラウン・フォーマンはトランプ関税による打撃で厳しい経営環境に置かれてきました。
中でも深刻なのが、2025年3月にカナダが対抗措置として米国産スピリッツを販売棚から撤去した一件です。
ブラウン・フォーマン単体のカナダ向け売上は四半期ごとに60%台の減少が続いており、米国スピリッツ業界全体で見ても対カナダ輸出は7割近く落ち込んだと報じられています。
かつて対等合併も模索していたペルノ・リカールとの協議が決裂した背景にも、こうした構造不況がありました。
樽材の供給網まで及ぶ痛み

今回のアラバマ工場閉鎖は、ブラウン・フォーマン本体の不振が、樽材メーカーというサプライチェーンの川上にまで波及していることを示す一件と言えそうです。
実際ISCは、2025年8月にもケンタッキー州の別の樽工場で112人分の雇用を削減しており、今回のアラバマ工場閉鎖は、それに続く2件目の大型リストラとなります。
蒸溜所本体の販売不振が、樽・木材・輸送といった川上産業にまで連鎖していく様子が、数字として表れてきた形です。










