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バカルディがティーリングを完全買収。9年越しの決断が意味すること

バカルディがティーリングを完全買収。9年越しの決断が意味すること

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アイリッシュウイスキー復興のシンボルが、ついに完全にひとつの傘下へ入りました。

6月23日、スピリッツ大手のバカルディ・リミテッドは、ダブリンのティーリング・ウイスキー社の残余株式をすべて取得し、完全子会社化したと発表しました

ティーリングの共同創業者であるジャックとスティーブンのティーリング兄弟は、引き続き「戦略的アドバイザー」という形でブランドに関与し続けることが確認されています。

オーツカ
以前、バカルディがティーリングの株式の過半数を取得したという記事を書きましたが、ついに子会社化かぁ。時代の移り変わりを感じます。

バカルディがティーリング・ウイスキーの株式の過半数を取得

2017年から9年かけた段階的な買収

バカルディとティーリングの関係は、2017年にバカルディが少数株式を取得したことに始まります。

その後2022年に多数株主へと立場を変え、そして今回の完全買収へと至りました。9年越しの段階的なアプローチは、バカルディがティーリングというブランドに対して慎重かつ確信を持って投資を深めてきたことを示しています。

買収額は非公表ですが、2024年時点で残余株式の売却価格として約2,980万ユーロ(約47億円)という数字が報じられていました。

ティーリング自体のブランドとしての実績は目を引くものがあります。バカルディが関与し始めた2017年以来、ブランド規模は倍以上に拡大し、現在80以上の市場に輸出されています。国際的なウイスキーアワードでの受賞数は650を超えており、「世界で最も受賞歴の多いアイリッシュウイスキー」を自称しています。

125年ぶりのダブリン蒸溜所が起点

ティーリングという名はウイスキーの世界では長い歴史を持ちます。1782年にダブリンのリバティーズ地区でウォルター・ティーリングが蒸溜所を設立したのが始まりで、のちにジェムソン家へと売却されています。

現代のティーリングはジャック・スティーブン兄弟の父、ジョン・ティーリング氏が1987年にクーリー蒸溜所を設立して独立蒸溜の灯を100年ぶりに復活させた流れを汲んでいます。

そのクーリー蒸溜所はビーム社(現ビームサントリー)に2012年に買収され、ジョン氏の息子たちは同年ティーリング・ウイスキー・カンパニーを創業。2015年には125年ぶりとなるダブリン市内の新設蒸溜所をオープンさせ、現在までに100万人以上の来場者を迎えています。

BARRELでも昨年、ティーリングの蒸溜所設立10周年を記念した限定ボトルをご紹介しました。

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アイリッシュウイスキー市場でバカルディが描く絵

今回の完全買収がタイミングとして興味深いのは、アイリッシュウイスキー市場が世界的に急拡大している最中であるという点です。

市場規模は2034年までに現在の2倍以上に成長するという予測も出ており、バカルディのCEOマヘシュ・マダヴァン氏が「アイリッシュウイスキーカテゴリーには長期的な可能性がある。ティーリングとともにあらゆる機会を掴む準備ができている」と述べたのは、この文脈の中での発言です。

バカルディのウイスキーポートフォリオを整理すると、デュワーズ(スコッチ)、エンジェルズ・エンヴィ(アメリカン)、そして今回のティーリング(アイリッシュ)と、産地をまたいだ布陣が揃いつつあります。

ラム、テキーラ、ジンで強固な地盤を持つバカルディが、プレミアムウイスキーカテゴリーでの存在感を着実に高めようとしている意図は明確です。

創業家が「戦略的アドバイザー」として残る構造

完全買収後もジャックとスティーブンがブランドに残るという点は、この買収の性格を示しています。

ジャック・ティーリング氏は「バカルディはファミリー企業として、ティーリングブランドが体現するものの価値を理解してくれている」と語っています。

創業者が売却後に関与し続けるケースは、買い手がブランドの「魂」を資産として捉えている証左でもあります。蒸溜所見学を含むダブリンの体験施設全体がバカルディの完全な傘下に入った今、両者の関係がどう展開するかは、アイリッシュウイスキー市場全体を見る上でも注目に値するでしょう。

なお完全買収の発表と同日、ティーリングは蒸溜所設立11周年を記念したバースデーバッチを500本限定でリリースしています。価格は90.11ユーロ(約1万4,200円)で、ティーリング公式サイトから購入可能です。

オーツカ
バカルディは「ファミリー企業同士」という文脈でティーリングに惚れ込んでいる印象ですね。デュワーズ、エンジェルズ・エンヴィ、ティーリングと、ウイスキーのポートフォリオが着実に固まってきました。



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