スコッチウイスキーの雄、ロッホローモンドグループは2025年5月22日、ニューヨーク・ブルックリンを拠点とするニューヨーク・ディスティリング・カンパニー(NYDC)の買収を発表しました。
これにより、同グループはアメリカンウイスキー市場へ初めて本格的に参入し、そのプレミアムスピリッツのポートフォリオを一層強化・多様化します。買収には、NYDCの主力ブランドである歴史的なライ麦を使用した「ジェイウォーク・ライ・ウイスキー」などが含まれます。
ニューヨーク・ディスティリング・カンパニーとは

2011年にトム・ポッター氏とアレン・カッツ氏によって設立されたニューヨーク・ディスティリング・カンパニーは、ブルックリンのダイナミックな精神を体現する蒸溜所です。
その製品ラインナップの中心となる「ジェイウォーク・ライ・ウイスキー」は、17世紀にヨーロッパから新大陸へ持ち込まれたものの、一度はほぼ姿を消した希少な「ホートン・ヘアルーム・ライ麦」を使用していることで知られています。
NYDCは2015年、コーネル大学のシードバンクからわずか10粒の種子を提供され、ニューヨーク州セネカフォールズの提携農家と共にこの歴史的なライ麦の栽培に成功。150年ぶりにその素晴らしい風味を現代に蘇らせました。
「ジェイウォーク」ブランドは、その名の通り伝統に根ざしながらも既成概念を打ち破る、大胆かつ自信に満ちた味わいが特徴です。
買収により、ロッホローモンドグループのポートフォリオには、「ジェイウォーク・ライ・ウイスキー」シリーズに加え、「ミスターキャッツ・ロック&ライ」、「ドロシー・パーカー・ジン」、「ペリートッツ・ネイビー・ストレングス・ジン」といったNYDCの個性豊かなブランドが加わります。
グローバル展開への大きな一歩

ロッホローモンドグループの創業者兼CEOであるコリン・マシューズ氏は、「この買収は、当グループの継続的な成長における新たなマイルストーンです。
NYDCの才能豊かで野心的なチームと緊密に協力し、施設と製品の両方に投資するとともに、我々の既存の流通ネットワークを通じて米国内および世界市場での成長を加速させることを楽しみにしています。
また、素晴らしいフレーバーを継続的に創造するための専門知識を提供できることも喜ばしい限りです」とコメントしています。
一方、NYDC創業者のアレン・カッツ氏とトム・ポッター氏も、「ロッホローモンドグループチームと共に、我々の素晴らしいブランドを世界中でさらに成長させる手助けができることに興奮しています。彼らは長年にわたり数々の主要な賞を受賞してきた確固たる実績があり、120カ国以上で販売網を持つ彼らと共に、今後NYDCのブランドを主要なウイスキー市場へ紹介していくのが待ちきれません」と期待を寄せています。
ロッホローモンドグループは、今回の買収に先立ち、スコットランドのラスに新たな蒸溜所とビジターセンターを建設する計画を発表しており、2025年6月のオープンを予定しています。
また、同グループの「ロッホローモンド・シングルモルト・スコッチウイスキー」はIWSRの調査で2021年と2023年に世界で最も成長したシングルモルトに選ばれており、「グレンスコシア25年」や「ロッホローモンドウイスキー リマーカブルスティルズ アルケミー」といった製品は、サンフランシスコ・ワイン&スピリッツ・コンペティションで99/100点という高得点を獲得するなど、国際的にも高い評価を得ています。
ロッホローモンドグループのグローバル戦略と、NYDCのユニークなブランドが織りなす今後の展開やいかに。