30種類のウイスキーと『いちごウイスキー』について考える【完全版】

いちごウイスキーに合うウイスキー銘柄を見つけてみよう!

春先から初夏にかけて『いちごウイスキー』が流行っていますね。
以前からこの手の漬け込み酒はたくさん存在しており、ニッカも2014年あたりからレシピを公開しているのに、なぜ今になって人気になったのか。
その秘密はTwitterやInstagramにありそうです。

instagramでいちごウイスキーを検索すると…

instagramでいちごウイスキーを検索すると…

見栄えがよく(インスタ映えする)、女性にも好まれる味だったので主婦や若い層を中心にバズったようです。
いわゆるフォトジェニックってやつですか。
これはウイスキー業界も考えさせられる事案でしょう。こういったSNSをうまく活用した展開で、若年層、女性層にアピールできるなら色々戦略立てられるんじゃないでしょうか。

ちょっと脱線しましたが、今回BARRELではこの『いちごウイスキー』を取り上げます。
『いちごウイスキー』は流行っていても、“いちごウイスキーに使うウイスキー銘柄”に対しては誰も言及していないようなので、今回はどんな銘柄が『いちごウイスキー』に合うのか確かめていきたいと思います。

基本レシピは?

ブラックニッカのページには色々な漬け込み酒が掲載されています。
クックパッドや個人ブログでもたくさんレシピは紹介されていますね。
みかんやリンゴ、パイナップルなど果物の種類で糖度が違うため、若干分量に差はありますが、おおよそウイスキー:砂糖を3:1の割合で入れるイメージです。

材料
ウイスキー:150ml
いちご:120g
砂糖:50g
お好みでレモンスライス:一枚
  1. いちごを洗って水気を切る。ヘタ部分をとって、ウイスキーに味が染みやすいよう半分にカット。個人的には4分の1くらいにしてもいいと思います。
  2. 瓶やボトルにいちご(お好みでレモンスライス)を入れる。砂糖を入れて、ウイスキーを注ぐ。最初は砂糖が下に沈みますが、問題ないです。ゆっくり溶けます。
  3. 冷蔵庫で保管。約4日目くらいから飲めます。

これ、レシピには4日後からは飲めると書いてありますが、正直4日では漬け込み時間が足りません。漬け込み酒は1カ月くらい寝かしてからが本番です。

いざ、『いちごウイスキー』仕込み!

まず『いちごウイスキー』を作る材料の準備からです。今回はおすすめの銘柄を見つけるということなので、いちごの量よりウイスキーの量が必要ですね。

いちごウイスキーをつくるためのたくさんのウイスキー

ウイスキーどどーん!

いちごウイスキー用のいちご

いちごは1パック~。

ウイスキーは当然全部は使えませんが、代表的な銘柄、個性の強い銘柄を試してみたいと思います。
瓶は100均で買ってきましたが、これを作り終わった後は一体何に使えばいいんだろう…。
とりあえず、一粒のいちごに対し、使うウイスキーはシングル(30ml)で、お砂糖は15g程度を使います。

いちごはウイスキーが染みやすいよう半分にカット

いちごを丁寧に半分ずつにカットし、

一粒ずつウイスキーにいちごを漬け込んでいく

色々な銘柄のウイスキーに浸していきます。瓶が足りない…。

 

そして20日後

本来であれば1カ月以上は待つべきでしょうが、今回はどんな銘柄が合いそうか確かめるためなので20日程度で済ませました。
そしてドシドシ飲んでいきます。

ピート系スモークいちごウイスキー

ピートの効いたスモーキーなウイスキーでつくるいちごウイスキー

あまり試したことがない方も多いのではないでしょうか?
ピートの効いたスモーキーなウイスキーでつくる『いちごウイスキー』や如何に。
今回はアイラモルトを代表してフェノール値の高い方々をお呼びしました。
ラフロイグ選手とアードベッグ選手。他にもアイランズモルトのタリスカー選手やレダイグ選手などピーティーな方々ですね。

お味のほうはというと、はっきり言って5日目くらいまでは吐き気がするほどまずいです(笑)
ラフロイグは電子たばこに使うリキッドを直に飲んだような味がします。
薬品のような苦み、ペンキのような甘い香り、飲み口ドッロドロ。
アードベッグはいちごの炭火焼きといった感じでしょうか。
ハイボールにするとこれがまた更にキツイ。幼き頃に駄菓子屋で飲んだ粉末のソーダジュースに墨汁を入れたような味がします。

ですが、20日目にはまったく違ったきらめきを見せます。
スモーキーな感覚は薄れ、甘みが一気に増し、ややビターなイチゴジャムに変化します。
特にアードベッグの甘さの増し方は半端じゃないですね。
レダイグ、マクリムーアも元々トロピカルで甘い飲み口を持つウイスキーなので、月日が経つほどピーティーさが緩和され、飲みやすくなりました。
スモーキーなウイスキーは馴染むまでがキツイですが、決して漬け込み酒に向いてないわけではないです。
このほろ苦さ、男性にはいいかもしれません。

オイリーで軽やかなアイリッシュいちごウイスキー

続いて日本ではあまり話題に上がらないアイリッシュウイスキー。
オイリーと言われる油っぽいフレーバーと穏やかな酒質が特徴的です。
今回はタラモア・デュー選手、ブッシュミルズ選手、グリーンスポット選手などにお越しいただきました。

お味のほうは、うーん、軽い。そして予想通りオイリーですね。
香りはハーブっぽさが加わりいちごを引き立ててます。とてもフレッシュで良い香りですが、味に関してはちょっと物足りない感じもします。
長期間漬け込むほど個性はなくなっていき、いちごリキュールになります。
ハイボールはいちごとユーカリのような香りが楽しめ美味しいです。
しかし値段の割に無難すぎる気もしますね。
ライターズティアーズ(WRITER’S TEARS)、レッドブレストが美味しかったです。(レッドブレストは15年ものを使ったので個性が立ってました)

樽感タップリバーボンいちごウイスキー

お次に、アメリカンウイスキーでいちごを漬けたらどんなもんでしょうということで、エライジャクレイグ、ブレットバーボン、ワイルドターキー各選手にご協力いただきました。
バーボンは内側を焦がした新樽で熟成させるので、バニラやメープルシロップのようなフレーバーを持つ特徴があります。
今回用意したウイスキーがかなりボディが分厚いので、砂糖入れたら濃すぎるかなぁとも思っています。

さて実飲…。
うん、木だ
むせかえるような樽の香り。日数が経過すると香りはまろやかになりますが、木材の味はあまり抜けません。
木樽から引き出されたバニラやカラメルの風味、力強いコクを感じますが、これは糖度の高いいちごと混ぜると濃すぎますね。
甘すぎて苦いといえばいいんでしょうか。
エライジャクレイグやオールドグランダッドあたりは焦げた木の感じが浮いちゃってます。いちごには合わない。
これはもっとボディが軽いジムビームやフォアローゼズで作ったほうが良かったような気がします。

大本命華やかシェリーないちごウイスキー

お次は大本命のシェリー樽を用いたスペイサイドのモルトですね。
マッカラン選手はもちろん、グレンドロナック選手やロングモーン選手、アベラワー選手などが参戦です。
上品でフルーティー、華やかな香りをまとうこのウイスキーラインナップ、当然フルーツに合わないわけがない。
金額もブラックニッカの数倍しているんだ、うまくないわけがない!

うまーい!

うほー。やはり美味しいですね。
4日目くらいから既に美味しいです。別に寝かせなくてもこんなに美味しいんだから、と思っていましたが、20日目に飲んで驚きました。
滑らかにスルスルと喉を通過し、食道と胃がジワリと暖まる、透明感のあるイチゴジャム!
トップノート(最初の香り)はイチゴのビニールハウスの中にいるようです。その後様々な花や蜜のような香りが現れ複雑なうねりを感じますね。
飲み口も滑らかで幾らでも飲めちゃいます。
ハイボールももちろん美味しいですが、飲める方はストレートかロックで楽しむことをおすすめします。

ブラックニッカのレシピと比べてみて
使っているウイスキーの種類が違うので当たり前なのですが、一般的に使われるブラックニッカとは一線を画しました。
良いところを出すとキリがないほど全部違うのですが、やはり香りと飲みごたえですね。
マッカランのいちごウイスキーを飲んだ後にブラックニッカのいちごウイスキーを飲むとなんだか人口的な味がします。
マッカランはいちごを引き立て、超絶フルーティーなジャムを飲んでいるような感覚でした。

いちごウイスキーをつくって気づいた点のまとめ

いちごウイスキーのまとめ

というわけで気づいた点をまとめると

①シェリー樽スペイサイドモルトは間違いない
女性が好みそうなおすすめは、シェリー樽を使った華やかなウイスキーです。
シェリー樽を使っていて甘みが強くクセの少ないものを選ぶのが良いと思います。
宮城峡、グレンドロナック、グレンファークラス、グレンリベット(シェリーカスク)、ベンリアックなんかも間違いなく美味しくなると思います。
いちごをより引き立て、何倍にも美味しくする効果を秘めていました。

②アイリッシュウイスキーは無難
アイリッシュウイスキーも良かったです。試してはいませんがカナディアンウイスキーもいけるでしょう。
アイリッシュは引き立てるというよりも邪魔をしないといった印象でしょうか。
前述したライターズティアーズは美味しかったですよ。

③玄人はカスクストレングスという選択
これは月日が経過して思ったのですが、ウイスキーを飲みなれている方はアルコール度数の高いカスクストレングスのものを選んだほうが良いと思います。
アベラワーアブーナ(約60度)を使ったいちごウイスキーはこってりとしたコクを感じ、「ウイスキーを飲んでいる」という感覚をより楽しめました。
40度程度のウイスキーはどうしても”いちごリキュール”になるので、あまり飲みなれない方、甘いお酒が好きな方向けです。

④バーボンはあまりおすすめしません
軽めのバーボンを用意しなかったのが仇になりましたが、樽香が強すぎると失敗します。
フォアローゼズとか、ちょっと試してみたかったですね。

⑤アイラ系、スモーキー系は変化を待て
これはもっと数を試さないと解明できそうにありませんが、一番面白いと思います。
ラフロイグは月日が経過してアーモンドの香りを放つようになりましたし、アードベッグはマンゴーのような甘みを感じさせました。
そのウイスキーが元来秘めている旨みの根幹みたいなものがあらわになります。
スモーキーな膜が月日により取り払われ、内包していた肝のようなものが見えてきます。
お口に合わないものも出てきそうなので、胸を張っておすすめはできませんけど、変化を楽しむ意味ではアリですね。
マクリムーアは文句なく美味しいです。アイランズウイスキーはアイラほどのピート香がないので、失敗しにくいでしょう。

⑥いちごは1週間程度で取り出すべき
漬け込んで一カ月を超えた感想ですが、かなりエグミや苦みが出てきてしまいました。
漬け込むいちごの量にもよると思いますが色が変化し、白っぽくなってきたら香りは十分移ってますので取り出したほうが良いかと思います。
もちろん一年、二年と漬けてみたらどうなるかわかりませんが、個人的には7~10日程度で抜いて良いのでは、と思いました。
(みかんやグレープフルーツを皮ごと入れてる場合はより苦みが出ました、お気をつけあれ~)

価格帯を抑えるなら

流石に漬け込み酒にそんなに高いウイスキーは使えないよ~という方は、富士山麓、カティサーク、バランタインファイネスト、ブラックブッシュあたりがいいんじゃないかと思います。
でもウイスキービギナーにはいちご一粒分だけでもいいからマッカランやグレンドロナックで作ってみて欲しいな~。
『ウイスキーは苦手』と思っていた世界が、パッと明るくなるような美味しさですよ。

もう一つの発見

いちごウイスキーは家族をつなぐお酒

今回『いちごウイスキー』の記事を書いてて感じたのは、ウイスキーの共通項が生まれることにより、家族や夫婦、恋人や友達との距離が縮まることがあるなと思いました。
普段はお父さんのお酒、男のお酒と思われがちなウイスキーも『いちごウイスキー』にすることで、飲みやすく見た目も可愛い『女性向けのお酒』に変化します。
みんなで作ればなんだかとても楽しいですし、ホームパーティに持っていくのも良いでしょう。
一緒にいちごウイスキーを漬け込み、熟成時間に味を想像し、出来上がったウイスキーを共に飲み、ゆっくりと語り合えば、きっと心の距離も縮まることでしょう。
『いちごウイスキー』があなたと誰かを繋ぐキッカケになるといいですね。

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ABOUTこの記事をかいた人

オーツカ

BARREL編集部代表。インテリアと猫が好きな筋肉質。ウイスキーを飲んでいる若者が周りに少ないと思ったので、BARRELを立ち上げました。いつでもウイスキー初心者の味方になりたいと思っています。 ウイスキー業界×インターネットで色々したいですね。