ウイスキーはアルコール度数の高いお酒です。
そして日本人は勤勉です。
明日の仕事のため、悪酔いしたくないため、ウイスキーを敬遠される方も少なくないでしょう。
しかし、ウイスキーは世界中で多くの人に愛されており、他のお酒と比べても良い点はたくさんあります。
例えば、一本のボトルを長く飲めるため経済的にお得だったり、開封しても賞味期限が長く、保存方法が簡単だったり。
低カロリー低糖質で太りにくく、プリン体も入っていないため身体にもやさしい。またボトルのデザインからインテリアとしても、雰囲気がありオシャレです。
美味しいという以外にこんなにも多くのメリットがあるウイスキーを、アルコール度数が高いというだけで避けてしまってもいいのでしょうか?
この記事ではアルコール度数の面から、ウイスキーを徹底検証しています。
「度数が高くて飲みにくい!」とウイスキーを敬遠してしまった人は、是非読んでみて下さい。
ウイスキーの度数について
ウイスキーの平均的なアルコール度数は40~60%です。数あるお酒の中でも高い部類に入りますが、だからといって飲み辛かったり、すぐ酔いが回ってしまうわけではありません。
コーヒーを例に挙げてみましょう。
コーヒーはブラックだと飲みにくい・カフェインが強いというイメージがありますが、ミルクや砂糖を入れて飲みやすくしたり、カフェオレやカフェモカにすることもできます。また同じブラックでも、缶コーヒーのものと、コーヒー専門店で淹れたものとでは、美味しさに大きな差があるでしょう。
缶コーヒーを飲んでまずかったからといって、すべてのコーヒーがまずいわけではありません。
本場のコーヒー、専門店の味は飲んでみなければ真髄はわかりませんね。
ウイスキーも同様で間違った飲み方をしたり、質の悪いウイスキーをあおってしまい、悪酔いした経験があるからといって、”ウイスキー=嫌いなもの”とするのは間違っています。
度数の高いお酒でも、きちんと飲み方を知っていれば楽しく飲むことができるのです。
まず初心者の方が気にしている”ウイスキーの度数”についての知識を深めて、そこから美味しい飲み方を理解していきましょう。
アルコール度数とは?
アルコール度数とは、お酒の中に含まれているアルコール成分の割合です。
10%であれば、
ちなみに、「~度」と「~%」という表記がありますが、表現が違うだけで意味は同じです。
アルコールの摂取量は、お酒の量とアルコール度数によって量ることができます。
アルコール摂取量が増えると、アルコールの血中濃度が上がり、脳を麻痺させます。それがいわゆる「酔い」です。
最初は気分が爽快になりますが、「酔い」が進んでいくと理性が失われ、身体に影響が出てきます。それでもまだ飲み続けると、脳がどんどん麻痺してしまって、最悪の場合死に至ります。
以上のことから、注意すべきなのはアルコール度数よりもアルコール摂取量だということが理解していただけたと思います。
では、アルコール摂取量の観点からウイスキーを見ていきましょう。
ウイスキーのアルコール摂取量
ウイスキーの分量の基本的な1単位は、シングル(30ml)で表されます。シングルの次はダブル(60ml)、トリプル(90ml)と30mlずつ増えていきます。
さてアルコール摂取量ですが、40%のウイスキーのシングル(30ml)一杯なら、
アルコール度数が比較的高いウイスキーでも摂取量はそう変わりません。
ウイスキーでアルコール度数が一番高いものって?
ウイスキーの中で高いアルコール度数を誇るものは幾つかあるのでご紹介しておきましょう。
通常のウイスキーは水が加えられ40度程度に薄められた状態で出荷されます。
カスクストレングスと呼ばれるウイスキーは樽から出したそのままの状態で、加水せず出荷されます。もちろんアルコール度数が高いので、飲み口は辛いですが、その銘柄の香り、味わいをダイレクトに感じることができます。
スコッチ・ウイスキー『アベラワー アブナック』(59.9%)の場合
バーボン・ウイスキー『ブッカーズ』(63.7%)の場合
この結果からウイスキー一杯のアルコール摂取量は、おおよそ12~20mlということがわかりました。
しかし、これはストレートで飲むシングルのアルコール摂取量であり、水割りやハイボールなどはこの限りではありません。
次は、ウイスキーの飲み方別でのアルコール度数と摂取量を計算して、他のお酒と比較していきましょう。
お酒別・飲み方別のアルコール摂取量を比較検証
ウイスキーには、いくつかの飲み方があります。ここでは、ストレート、ロック、水割り、ハイボールと4つの一般的な飲み方から、一杯あたりのアルコールの度数と摂取量を見ていくことにしましょう。ちなみにみなさまに馴染みのある日本のウイスキーはほとんどアルコール度数は40%程度です(山崎:43度、響:43度、角瓶:40度、トリス:37度)。
まず、各銘柄をストレートで飲んだ場合
銘柄 | 飲み方 | 度数 | 分量(ウイスキー) | アルコール摂取量 |
響 | ストレート | 43% | 30ml (シングル) | 12.9ml |
山崎 | ストレート | 43% | 30ml (シングル) | 12.9ml |
角 | ストレート | 40% | 30ml (シングル) | 12ml |
トリス | ストレート | 37% | 30ml (シングル) | 11.1ml |
角(40度)を4種の飲み方で飲んだ場合
銘柄 | 飲み方 | 度数 | 分量(ウイスキー) | アルコール摂取量 |
角 | ストレート | 40% | 30ml (シングル) | 12ml |
角 | ロック | 40% | 30ml+氷 | 12ml |
角 | 水割り | 10% | 180ml (45ml) | 18ml |
角 | ハイボール | 8.7% | 210ml (60ml) | 24ml |
ストレートとロックはシングル(30ml)ですが、水割りとハイボールは水の量と合わせてウイスキーの分量を45~60mlに変えました。薄めたほうが摂取量が多いことがわかります。
次にコンビニなどで販売されている缶の角ハイボールとトリスハイボールのデータはコチラです。
コンビニで売られている缶ハイボールのアルコール摂取量
銘柄 | 飲み方 | 度数 | 分量 | アルコール摂取量 | シングルとの差 |
角ハイボール | 缶 | 7% | 350ml | 24.5ml | +12.5ml |
角ハイボール (濃いめ) | 缶 | 9% | 350ml | 31.5ml | +19.5ml |
トリスハイボール | 缶 | 7% | 350ml | 24.5ml | +12.5ml |
こうして比べてみると市販されているものはかなり濃いことがわかりますね。
それでは、ウイスキー以外のお酒も見ていきましょう。
ウイスキー以外のお酒のアルコール摂取量
銘柄 | 飲み方 | 度数 | 分量 | アルコール摂取量 | シングルとの差 |
ビール | 缶 | 5% | 350ml | 17.5ml | +5.5ml |
発泡酒 | 缶 | 6% | 350ml | 21ml | +9ml |
日本酒 | 瓶 | 15~16% | 一合 (180ml) | 27~28.8ml | +15~16.8ml |
焼酎 | 水割り | 9.3% | 210ml (90ml) | 22.5ml | +10.5ml |
ワイン | 瓶 | 10.5~14.5% | 125ml | 13.1~18.1ml | +1.1~6.1ml |
お酒を種類別に見た時に一杯あたりのアルコール摂取量データはこのような量になります。このように比較してみると、ウイスキーのアルコール度数は飲み方によってかなり変化することがわかりました。アルコールが多く含まれているからといって飲みにくいわけではないことが理解できるでしょう。
それでも味や香りに慣れておらず、飲みにくいという方もいらっしゃることと思います。
次の項では、ウイスキーを美味しく飲むための度数を感じさせない飲み方を紹介しています。どうぞご覧下さい。
ウイスキーの度数を感じずに飲むためには
ウイスキーは初心者にはなかなかとっつきにくいお酒です。
しかし、飲み方を知ってしまえば回数を重ねるごとに楽しめてしまう奥の深さがあるのです。
まずはウイスキーが得意ではない人のために、基本的な飲み方のポイントを紹介します。
飲み方を工夫する
ストレートで飲む場合には、最初に水を用意して下さい。
BARでウイスキーを頼むと、必ずといっていいほど水が一緒に出てきます。このお水はチェイサーといって、ウイスキーを飲む時に酔い防止と口の中をリセットさせるための飲み水です。自宅で楽しむ時もお水を用意しましょう。
ストレートの場合、アロマオイルを嗅ぐようにゆっくりと時間をかけて楽しむのが基本です。
ストレートで飲む場合は以下の記事も参考にしてください。
ロック、またはハイボールでウイスキーを飲む際は、氷を市販のクラッシュアイスにすることをおすすめします。
冷凍庫の製氷皿で作った氷は、どうしてもすぐ溶けてしまうので、粒の大きいクラッシュアイスを使いましょう。
ロックで飲む場合は以下の記事も参考にしてください。
ソーダ水で割ったハイボールもウイスキーを十分楽しむことができます。
レモンを絞って落としたり、ライムやオレンジ、ミントの葉っぱを入れるとすっきりした風味でさっぱりと楽しむことができます。
ハイボールは様々な飲み方があります。以下の記事も参考にしてください。
飲みやすくてオシャレに魅せるウイスキーカクテル
バーでウイスキーを飲む際にはカクテルもおすすめです。
是非ウイスキーをベースに使ったカクテルも注文してみてください。
ミント・ジュレップ
細かく砕いたクラッシュアイスをグラスに入れ、ミントの葉と砂糖を小さじ2杯も入れます。ミネラルウォーターを注ぎ、ミントの葉を潰しようにして混ぜ、その後ウイスキーを入れて軽く混ぜたら完成です。最後にミントの葉を添えると更にオシャレに。
おすすめウイスキーは、「メーカーズマーク」。
ウイスキー・コーク
氷を入れよく冷やしたグラスにウイスキーを入れ、軽く回します。そしてコーラを注げば完成と簡単レシピのウイスキーカクテルです。グラスの縁にカットレモンを添えれば気分はまるでアメリカン。
おすすめウイスキーは「エヴァン・ウィリアムス」。
オールド・ファッションド
アロマチック・ビターズといった香りの強いお酒を香り付けに、角砂糖を入れたバーボンベースのクラシカルなカクテルです。香りが甘みに引き立つ濃厚な味わいを楽しめます。
カリフォルニア・レモネード
レモンとライムが入ったさっぱりしたウイスキーベースのカクテル。トロピカルカクテル感覚で楽しめるため、お酒に弱い人でもウイスキーを楽しめる一杯です。
バーボン・バック
バーボンウイスキーのジンジャエール割りです。辛口のジンジャエールにすることで、ドライな味わいにも。レモンやライムを絞ることで爽快感が増します。
度数はあくまでも目安として
ウイスキーは高い度数のお酒ですが、人を選ぶお酒ではありません。最低限のことをわきまえて飲めば、コストパフォーマンスの高い楽しいお酒となるのです。
ウイスキーがあまり得意ではない方も、まずはカクテルから始めてみてはいかがでしょうか。この記事に乗せたウイスキーカクテルは、数ある中のほんの一部です。色々なカクテルを試していくうちに、ウイスキーも飲めるようになっているでしょう。
ウイスキー最高度数や最低度数の銘柄って何か気になりますよね?日本の法律で定められているウイスキーのアルコール度数の上限は95%ですが、ここまで高い度数のウイスキーは存在しません。また酒税法により37%以下のものはウイスキーを名乗れません。ウイスキーは蒸溜直後はアルコール度数70%程度ですが、これに水を加え63%前後に落としてから樽に詰めます。そのほうが樽材成分が溶出しやすいからです。つまり37度~63度程度までが世に出回っているウイスキーのアルコール度数といえそうですね。