アイルランド北西部、ドニゴール州のクロリー蒸溜所が、シングルポットスチルのアイリッシュウイスキー『Croithlí Cognac Single Cask Single Pot Still』を発表しました。
ドニゴールで免許を得た蒸溜所が造る初のシングルポットスチルだと、蒸溜所は位置づけています。
度数は53.9%、1,000本限定です。11月1日の発売に向けて、蒸溜所の公式サイトで予約を受け付けていて、価格は139ユーロ(約2万5,000円)です。
直火で2回蒸溜、樽は焦がしていないフレンチオーク

使うのは、フランスのコニャック地方で使われていたヴィンテージの銅製ポットスチルです。
炎で直接熱する直火で、2回蒸溜します。原料は麦芽大麦と、麦芽にしていない大麦です。
熟成は、ボルドー近郊のAlter Oak Cooperageが作った300リットルのフレンチオーク樽で、コニャックの空き樽です。樽の内側は焦がしていません。
香りはオレンジピールとローストしたヘーゼルナッツに、コニャックを思わせる豊かな香りが重なります。ドライシトラスもわずかに混じります。味わいは洋梨のコンポート、色の濃いハチミツ、スパイスの効いたフルーツケーキ、温かみのあるオークと続きます。

開業は2020年9月、ドニゴールで約180年ぶりの蒸溜

ドニゴールで合法的にウイスキーが造られていたのは、1840年までです。
クロリー蒸溜所はその約180年後の2020年9月24日に開業し、10月に最初のシングルモルトの樽を詰めました。
ポットスチル用の最初の樽は、2021年9月です。
これまでの限定リリースは、最初の4年熟成シングルモルトが270本、PXシングルカスクが698本、オロロソシングルカスクが1,500本。今回のポットスチルは1,000本です。
ポットスチルの規定は見直しの議論中
アイリッシュウイスキーの法的な決まりである技術仕様書では、ポットスチルウイスキーのマッシュビルは、麦芽大麦30%以上、麦芽にしていない大麦30%以上、その他の穀物は最大5%までと定められています。伝統的なやり方は、大きなポットスチルでの三回蒸溜とされます。
クロリーはコニャック用の蒸溜器で、直火の2回蒸溜です。麦の比率は発表されていません。
この規定は今、見直しの議論の最中です。アイリッシュ・ウイスキー協会は、その他の穀物の上限を5%から30%に引き上げる案を出し、意見公募は9月4日に締め切られました。
規定の見直しは、BARRELでも取り上げました。
規定が広がるかどうかの議論と並んで、造りの面でも、三回蒸溜という伝統から離れたポットスチルが出てきました。
アイリッシュウイスキーの多様性をどう考えるか。今後に注目したいです。










