ディアジオがスコットランドの蒸溜所で人員削減を進めています。
カーデュ、クラガンモア、ポート・エレン、ダフタウンの4蒸溜所を含む172人に整理対象の通知が届き、うち38人が職を失う可能性があります。
世界的な再編の一環で、アイルランドでもさらに150人分の雇用が危うい状況です。
伸びているカテゴリーから、人が減る

皮肉なのはタイミングです。
同時期に公表された2026年6月期の決算では、スコッチウイスキーは数量3%増、オーガニック純売上2%増と伸びていました。
全体の純売上の24%を占めるディアジオ最大のカテゴリーで、テキーラやカナディアン、アメリカンウイスキーが軒並み落ち込むなか、スコッチとギネスだけが数少ない勝ち組だったのです。
ジョニーウォーカーもオーガニック純売上2%増、インドとトルコの二桁成長が牽引しました。
その伸びている側の、しかも看板になる名前から人が減っていく。カーデュとクラガンモアはクラシックモルトの一角、ダフタウンはシングルモルトの主要な生産拠点です。そしてポート・エレンは、1983年の閉鎖から41年を経て2024年に操業を再開したばかりの蒸溜所でした。

なお、全社の平均従業員数は前年から6.4%減っていますが、この減少の大部分はスコットランドの話ではありません。
最も減ったのはアフリカ地域で、2025年12月に東アフリカ・ブリュワリーズの支配株式をアサヒグループホールディングスへ売却したことが主因です。
解雇というより事業の切り離しにあたります。スコットランドとアイルランドの今回の削減は、この全社数字にはまだ反映されていません。
「決まった話を押し通すための会議」
進め方にも現場から異議が出ています。
飲料業界最大級の労働組合、GMBスコットランドは4週間にわたる協議を経ても削減人数にも手続きにも合意できなかったとして、協議そのものを正式に拒否しました。
組合側は、会議に出てきた会社側に削減を見直す権限がなかったこと、希望退職やワークシェアリングといった業界で一般的に使われる緩和策を提示しても検討すらされなかったことを明らかにしています。決定はすでに別の場所でなされていた、というのが組合の見立てです。
会社の懐は決して寂しくありません。手元資金は前年から4億6,300万ドル増え、32億1,000万ドル、約5,070億円まで積み上がっています。
総額12億ドル、約1,900億円を投じる今回の再編は、9月1日までに9割方が完了する見込みです。
スコッチが伸びたというこの数字が、蒸溜所の現場にどう返っていくのか。
答えが出るまで、もう少し時間がかかりそうです。








