茨城県大洗町に、新しいウイスキー蒸溜所「磯の浜蒸溜所」が2027年春に始動します。
ピートに代えて海藻で麦芽を燻すという、造りの軸がはっきりした蒸溜所です。
旧古川酒造店の蔵が蒸溜所に

跡地を使うのは、幕末の慶応年間に創業し、「日本で最も海に近い酒蔵」と呼ばれた旧古川酒造店です。
130年以上続いたのち、平成に幕を下ろしました。
四代目の古川政次氏の書斎には、ウイスキーづくりを研究した痕跡が残っています。清酒カクテルバーを手がけるなど、新しい酒の楽しみ方を早くから取り入れた人物でもありました。

事業は合弁で、木内酒造、フラタニティ・スピリッツ、旧古川酒造店の大里愛氏が出資・参画します。フラタニティ・スピリッツはトラベルリテール向けにテキーラなどを扱ってきた会社で、海外の販売網を担う役回りです。出資比率は明らかにされていません。

建物は幕末から昭和にかけての酒蔵を再生して使い、2027年初夏には、見学コースやテイスティングコーナーを備えたビジターセンターを開く予定です。
燻煙を支えるのは木内酒造の自社製麦

目玉は、ピートに代えて海藻で麦芽を燻す試みです。
潮気や海を思わせる香りを引き出し、茨城県産の麦と、この蒸溜所のために設計した銅製ポットスチルで蒸溜します。熟成も大洗の地で行います。
麦芽の燻蒸は、自社で製麦を手がける木内酒造の知見と技術があって成り立つものです。
木内酒造は2023年に石岡の蔵へ製麦工場を設け、2020年稼働の八郷蒸溜所でも、茨城県産の原料を使ったウイスキーを造ってきました。
ウイスキーのほかに、浜辺のバー文化にちなんだリキュールやボトルドカクテルも出す予定です。
海外にも前例のある海藻燻蒸、問われるのは中身

海藻で麦芽を燻す試みは、世界初というわけではありません。
タスマニアのコラ・リンは、ブルケルプで燻したモルトのウイスキーを2019年に瓶詰めしています。カナダのマカロニーズは、ピートにサトウコンブを染み込ませて麦芽を燻しました。
前例がある以上、決め手は味です。自社製麦の精度と、大洗の海辺での熟成が、香味にどう出るかが見どころになります。
最初の製品の発売時期や価格は、まだ出ていません。海藻燻蒸の味が見えるのは、ニューポットが出てからでしょう。











