鹿児島県霧島市の横川蒸留所が、真言宗豊山派・太子山天明寺の辨望住職監修による『シングルモルトウイスキー【飲まないお酒】』を発表しました。
七福神になぞらえた全7種構成で、コンセプトは「開栓せず、飾って願う」というものです。

七福神になぞらえた、全7種の願掛けボトル

ラベルに健康成就や金運上昇などの願いごとを書き込み、あえて開栓せず神棚や部屋に祀っておく、という使い方を提案する商品です。
恵比寿・大黒天・毘沙門天・弁財天・福禄寿・寿老人・布袋の七福神それぞれに異なる原酒を当てた全7種で構成されています。
度数は50%、価格は700mlが各18,000円(税別)、300mlが各9,000円(税別)。2026年9月1日から数量限定で予約受付が始まり、発送は10月下旬からの予定です。
焼酎蔵が積み重ねてきた、数字で語るブランド作り

製造を手がける横川蒸留所は、もともと焼酎蔵として操業してきたアットスター株式会社が運営する蒸留所です。
麦芽の一番搾りだけを使う製法、乳酸菌発酵、低温蒸留という3つの独自製法を掲げ、霧島連山の地下水を仕込み水に用いているのが特徴です。
今年8月には、蒸留開始日である2023年5月31日にちなんだ「シングルモルトウイスキー 霧島531」を発売したばかりで、動物をあしらったラベル展開も含め、数字やコンセプトを前面に出した商品づくりを続けてきました。
今回の住職監修シリーズも、この延長線上にある企画なんですかね?また違うのかな?
「飲んでこそ」の一本という前提とのズレ
ここは正直に書いておきたいところです。
ウイスキーは、原酒の設計や樽の選定、熟成年数、そしてボトリング後の香味そのものを味わって初めて評価が成立するお酒です。
ラベルにアートワークを凝らしたりコンセプトを前面に出したりする商品づくり自体は珍しくありませんし、弊社のアルテイストも芸術と組み合わせるというテーマを持っています。
ただその根底には「最終的には開けて飲んでもらう」という前提が共有されているはずです。
今回の商品は、この前提そのものを外したところに成立しています。中身の原酒がどう設計され、どんな香味を狙ったのかという説明は、少なくとも公開されている情報の中には見当たりません。
「開けない」ことが商品価値の中心に据えられている以上、原酒そのものの説明が手薄になるのは、ある意味で当然の帰結とも言えます。
願掛けや縁起物としての切り口自体は、ウイスキーというジャンルの間口を広げる試みとして面白いとは思います。
ただBARRELとしては、ウイスキーの価値は最終的に「飲んで確かめられること」に宿ると考えており、その一線は意識しておきたいところです。










