新潟県村上市の吉田電材蒸留所が、初めて2年熟成の700mlフルボトル「吉田電材蒸留所 シングルグレーン スターデルタ2Y」を8月8日に発売します。
北海道産デントコーンを主体に、アメリカンホワイトオークの新樽で2年間熟成させたシングルグレーンウイスキーです。
日本初のグレーン専業、後発ゆえの一手

運営元の吉田電材工業は、1940年創業の東京・台東区の会社です。
本業は産業機器や医療機器の設計・製造、そして変圧器の製造。
ウイスキーとは縁遠い業種ですが、2022年3月に村上税務署からウイスキー製造免許を取得し、同年10月に吉田電材蒸留所を本格稼働させました。
この蒸留所には二重の「初」があります。一つは、クラフト規模としては日本初となるグレーンウイスキー専業の蒸留所であること。
もう一つは、コーンやライ麦を主体とするアメリカンタイプ(バーボンタイプ)のグレーンウイスキーを造るクラフト蒸留所として国内初であることです。
3代目社長で蒸留所長も務める松本匡史氏は、「後発である以上、他の蒸留所とは違う形にして差別化したかった」と参入の狙いを語っています。
使われなかったコーンを、原料に

原料調達には地道な物語があります。
ウイスキー原料に使える子実デントコーン(食用・工業用として収穫するコーン)は、国内ではほとんど流通していません。
飼料用デントコーンの99.9%を輸入に頼る国内事情の中、北海道長沼町で「連作障害」対策として試験的に栽培されていたデントコーンと出会ったことが転機になりました。
単価の安い輸入飼料に押されて行き場のなかった国産コーンと、国産原料にこだわりたい蒸留所側の思惑が一致した形です。
自社のものづくりの技術を生かし、独自のモルティングマシンまで開発したというのも、機械メーカーならではのアプローチと言えるでしょう。将来的には米やそばなど、地域で育つ他の穀物も原料に加えていきたいとしています。
「スターデルタ」の由来と、正直な「3年未満」表記

商品名の「スターデルタ」は、吉田電材工業が製造する変圧器の結線方式「スターデルタ結線」に由来します。
香り・味・余韻をばらばらに足すのではなく一つの骨格へ結び直す、という設計思想を、本業の技術用語に重ねたネーミングです。
キャップも自社の機械加工課と共同設計したオリジナルのアルミ製で、レーザーマーキングも自社で手がけています。
スペックは、アルコール度数53%、内容量700ml、価格8,800円(税込)。原料は北海道産デントコーン70%に、輸入のライモルトとモルトを15%ずつ加えています。
同蒸留所はこれまで、2024年にニューポットをEC限定で発売し、2025年には1年熟成の250mlボトルを数量限定で出しており、今回の2年熟成700mlフルボトルは、その延長線上にある一段の踏み込みです。
リリース本文では「熟成期間3年未満のため、日本洋酒酒造組合の定めるジャパニーズウイスキーの表示基準には該当しません」と明記されています。










