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ガラス瓶が終わる??ウイスキー到来する「アルミボトル」への大転換

ガラス瓶が終わる??ウイスキー到来する「アルミボトル」への大転換

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ウイスキー業界が数世紀にわたって守り続けてきた「ガラス瓶」の伝統に対し、最新の化学分析がその「終わりの始まり」を告げようとしています。

英「スピリッツ・ビジネス」および「ウイスキー・マガジン」が報じた最新のニュース(2026年1月12日)によると、スコットランドのスターリング蒸溜所(Stirling Distillery)が、ヘリオット・ワット大学の醸造・蒸溜国際センター(ICBD)と共同で行った驚くべき実証実験の結果が公開されました。

これまで「安っぽさ」や「技術的困難」を理由に敬遠されてきたアルミボトル。

しかし、そこには単なるイメージの問題ではない、ウイスキーという液体の特殊性が生む「科学的な壁」が立ちはだかっていました。

なぜ今まで「アルミ瓶」は存在しなかったのか?

私たちが普段目にするハイボール缶(度数5〜9%程度)とは異なり、40度を超える「ウイスキー原酒」をアルミ容器に保存することは、科学的に極めて困難とされてきました。

今回の調査で判明した、その具体的な理由は以下の3点です。

1. 有機酸による「金属の腐食」と溶出

ヘリオット・ワット大学のデイブ・エリス博士らが行った、核磁気共鳴(NMR)分光法および質量分析を用いた調査では、熟成したウイスキーに含まれる「没食子酸(もっしょくしさん)」などの有機酸がアルミと激しく反応することが判明しました。

驚くべきことに、未処理のアルミ容器に原酒を貯蔵した場合、飲料水の安全基準を大幅に上回るレベルのアルミニウムが液体中に溶出しました。

これは健康リスクだけでなく、ウイスキーの繊細な化学組成そのものを破壊しかねない数値です。

2. 熟成原酒特有のリアクション

興味深いことに、蒸溜したての「ニューメイク(透明な原酒)」ではこの反応はほとんど見られませんでした。

つまり、樽熟成によって得られた複雑な成分こそが、アルミという金属を攻撃する主犯であるというパラドックスが浮き彫りになったのです。

3. コーティング(ライナー)の脆弱性

現在、清涼飲料水やビールで使われているアルミ缶の内部には樹脂コーティングが施されていますが、ウイスキーの高濃度アルコールと有機酸の組み合わせは、このコーティングを数ヶ月で劣化させてしまいます。ニュースでは、「既存の技術では、高ABV(度数)の長期保存には耐えられない」という厳しい現状が報告されています。

「90%の軽量化」がもたらす環境の正義

それでもなお、業界がアルミ化に執着するのは、その圧倒的な「脱炭素」への寄与にあります。

重量の差: ガラス瓶が1本あたり数百グラム〜1キロ近いのに対し、アルミボトルは数十グラム。重量にして約90%の軽量化が可能です。

輸送コストの削減: 輸送時の二酸化炭素排出量を劇的に削減できるアルミは、サステナビリティを重視するノックニーアンのようなB Corp認証蒸溜所にとっても、究極の目標となっています。

リサイクルの熱量: ガラスのリサイクルには膨大な熱が必要ですが、アルミはわずかなエネルギーで何度でも再生可能です。

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「感覚」と「科学」のズレ

今回の実験で最もファンを驚かせたのは、専門パネリストによるブラインドテストの結果です。 化学分析ではアルミの溶出や成分の変化が確認されたにもかかわらず、「テイスターは、アルミ保存とガラス保存のウイスキーの香りの違いを、有意に見分けることができなかった」のです。

つまり、「味の劣化」が始まる前に「安全性の問題(金属溶出)」が先行するという、メーカーにとっては非常にデリケートな課題が突きつけられました。

ウイスキーファンとしてはどうか

スターリング蒸溜所の共同創設者キャメロン・マッキャン氏は、ウイスキーにおいて琥珀色の輝きを愛でることは、味わいと同等かそれ以上に重要な「儀式」とコメント。アルミという不透明な容器は、その美学を真っ向から否定します。

オーツカ
そもそも中身が見えないと困ることも多い気もします。量がわからないしね。

おそらくアルミボトルは、最初から「鑑賞用」としてガラス瓶を置き換えるわけじゃないと思います。

免税店などのトラベルリテールや、家庭での「リフィル(詰め替え)用」のデキャンター向けとして普及していく気がするな。

ガラスの重厚感を「贅沢な無駄」として楽しむのか、アルミの軽さを「環境への知性」として選ぶのか。

ウイスキーという液体が、ついにその器を脱ぎ捨て、新たなステージへ進むための試験運用が今、始まろうとしています。




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