世界中のウイスキー愛好家からカルト的な人気を誇る、アベラワー蒸溜所の「アブーナ」。その伝説的なシリーズに、新たな系譜が加わります。
シェリー樽の影響力をさらに大胆に探求するという、限定シリーズ「アベラワー アブーナ シェリーカスク・コレクション」が発表されました。
アベラワー「アブーナ」 の人気の秘密
まず、オリジナルの「アブーナ」が世界でいかに愛されているか。
「アブーナ」とはゲール語で「起源」を意味し、19世紀の伝統的なウイスキーのスタイルを再現することを目指して生まれました。
その最大の特徴は、熟成のすべてをファーストフィルのオロロソシェリー樽のみで行うこと。加水しないカスクストレングス、冷却ろ過をしないノンチルフィルタードでボトリングされ、バッチごとに異なる表情を見せる、濃厚でパワフルな味わいは、シェリー樽ウイスキーの一つの基準点として、長年愛されてきました。

新コレクションの革新性
今回発表された「シェリーカスク・コレクション」は、この伝統を土台としながらも、製造方法において一つの大きな革新を取り入れています。
それは、セカンダリーマチュレーション(二次熟成)、すなわち「フィニッシュ」という手法です。
オリジナルのアブーナが全熟成をオロロソシェリー樽で行うのに対し、新コレクションは、異なる樽で一次熟成させた原酒を、最後に特定のシェリー樽で追加熟成させることで、より複雑で多層的な香味を追求します。これは、アブーナの伝統に新たな創造性の扉を開く試みです。
第一弾:オロロソとPXの二重奏
その記念すべき第一弾は、オロロソシェリー樽と、極甘口のペドロ・ヒメネス(PX)シェリー樽の二種類でフィニッシュが施されています。オロロソ樽がもたらすナッティでドライフルーツのような風味と、PX樽がもたらすレーズンや糖蜜のような濃厚な甘さが、重層的なハーモニーを奏でます。
テイスティングノート
香り: ジューシーな赤リンゴ、ブラックベリー、サルタナレーズン、キャラメルワッフル、シナモン、ジンジャー。
味わい: 黒スグリ、スパイスの効いた洋ナシ、バニラトフィー、デーツ、レーズン、オークスパイス、スターアニス。
フィニッシュ: フルーティーでシロップのようであり、スパイシーな余韻。
製品情報
アルコール度数: 56.2%(カスクストレングス)
希望小売価格: 英国で95ポンド(約20,000円前後)
マスターディスティラーのグレアム・クルックシャンク氏は、この新シリーズを「愛されてきたアブーナの伝統の上に築くだけでなく、シェリー樽の影響力のフロンティアを大胆に押し広げるものだ」と語ります。
今後、このコレクションは様々な種類のシェリー樽フィニッシュで展開される予定とのこと。