入手困難な人気シングルモルトの一つとして知られる、キャンベルタウンのスプリングバンク蒸溜所。
その動向を常に追いかけているファンにとって、興味深い2種類の新しい10年熟成ボトルの情報が、米国のTTB(アルコール・タバコ税貿易管理局)のデータベースで明らかになりました。
シェリーシリーズ第4弾「フィノカスク 10年」


まず一つ目は、様々なシェリー樽の個性を探求する「シェリーシリーズ」の第4弾となる、「スプリングバンク 10年 フィノカスク」です。
このシリーズは、これまでPX(ペドロ・ヒメネス)、パロ・コルタド、アモンティリャードと、甘口から辛口まで多様なシェリー樽のボトルを毎年リリースしてきました。
今回採用された「フィノ」は、酵母の膜(フロール)の下で熟成させる、非常にドライな辛口のシェリーです。
ナッツやハーブ、パン生地のような独特の香ばしい風味を持つことで知られています。
公開されたラベル情報によると、このウイスキーはリフィル・バーボン樽で4年間熟成させた後、フレッシュなフィノシェリー樽(アメリカンオーク製)で6年間という長い期間後熟させています。スプリングバンクが持つ塩気と複雑なピート香に、フィノ樽由来のドライでナッティな風味がどう作用するのか、非常に楽しみな一本です。
商品名: スプリングバンク 10年 フィノカスク
アルコール度数: 55%
限定本数: 11,400本
新たな農場との協演「ローカル・バーレイ 10年」


二つ目は、カルト的な人気を誇る「ローカル・バーレイ」シリーズの新作です。
このシリーズは、スプリングバンクが全ての工程を自社で行うという哲学をさらに突き詰め、原料となる大麦の栽培地までを限定した、まさに「テロワール」を体現するボトルです。
今回のローカル・バーレイの特徴は、大麦の供給元として「クロックキール・ファーム」という、シリーズ初登場の農場がクレジットされている点です。
キンタイア半島に位置するこの家族経営の農場が、今年のローカル・バーレイの新たなパートナーとなります。
さらに、使用されている大麦の品種は、スコットランドの古代品種である「ベア・バーレイ」。
栽培が難しく収量は少ないものの、麦芽本来の甘みやビスケットのような香ばしさが際立つ、個性的な風味を持つことで知られています。
自社のフロアモルティングで丁寧に製麦された、新たな農場の古代品種の大麦。それが10年の熟成を経てどのような味わいになるのか、今年も期待ですね。
商品名: スプリングバンク 10年 ローカル・バーレイ
アルコール度数: 55.2%
限定本数: 8,000本
樽との対話を通じて味わいの可能性を探る「熟成」へのこだわりと、大麦の出自をとことん追求する「原料」へのこだわり。
スプリングバンクらしい2つのボトル。正式リリースがあり次第、特集します。
