日々の晩酌の心強い味方として、多くのファンに愛されている「ブラックニッカ」。そのブラックニッカシリーズを含む国産・輸入洋酒の一部商品について、アサヒビール株式会社が2025年11月1日出荷分からの価格改定(値上げ)を発表しました。
家計への影響が気になるところですが、その背景には、避けられないコストの上昇と、より良いウイスキーを安定して届け続けるための前向きな投資という、2つの大きな理由があるようです。
値上げの対象と具体的な価格は?
今回の価格改定の対象となるのは、国産ウイスキーと輸入テキーラの合計5ブランド26品目です。参考小売価格で約10〜16%の引き上げとなります。
主な対象商品
国産ウイスキー(約10〜13%値上げ):
- 「ブラックニッカ クリア」
- 「ブラックニッカ リッチブレンド」
- 「ブラックニッカ ディープブレンド」
- 「ハイニッカ」
輸入テキーラ(約16%値上げ):
- 「クエルボ・エスペシャル」
私たちの食卓に最も身近な商品の一つ、「ブラックニッカ クリア」の700ml瓶は、現在の1,089円から1,199円へと110円の値上げとなります
また、テキーラの定番「クエルボ・エスペシャル」750ml瓶は2,486円から2,882円へと引き上げられる予定です。(いずれも税込参考小売価格)
なお、「ブラックニッカ」と「ハイニッカ」の価格改定は2024年4月以来、1年7カ月ぶりとなります。
なぜ今、値上げなのか? ― 企業が説明する2つの理由
今回の価格改定について、アサヒビールはその理由を大きく2つ挙げています。
1. 避けられないコストの上昇(守りの側面)
一つは、世界的な経済情勢を背景とした、継続的なコストの上昇です。包装に使われる瓶やラベル、段ボールといった資材価格の高騰に加え、商品を全国に届けるための輸送にかかる物流費も上がり続けています。アサヒビールは、事業活動全体でコスト削減や生産性の向上に努めてきたものの、もはや企業努力だけでこの上昇分を吸収するのは困難な状況にあると説明しています。
2. 未来への投資(攻めの側面)
もう一つは、より高品質な商品を安定して供給し続けるための、未来を見据えた前向きな投資です。近年、日本のウイスキーは世界的にその評価を大きく高めています。この高まる需要に応え、さらなる品質向上を目指すため、ニッカウヰスキーの蒸溜所や工場ではこれまでも積極的な設備投資が行われてきました。今後も商品の安定供給と品質向上を続けるためには、生産設備のさらなる増強が不可欠であり、今回の価格改定はそのための苦渋の決断であるとしています。
私たちの暮らしと、メーカーの想い
デイリーウイスキーとして人気の高い「ブラックニッカ」の値上げは、家飲みを楽しむ多くの消費者にとって、決して小さくないニュースです。しかしその背景には、厳しい外部環境の中で高品質な商品を届け続けたいというメーカーの「守り」の姿勢と、日本のウイスキーの未来を信じ、より良いものづくりを目指す「攻め」の投資があることがうかがえます。
アサヒグループは、“期待を超えるおいしさ、楽しい生活文化の創造”というビジョンを掲げています。今回の価格改定は、そのビジョンを実現し、これからも私たちが美味しいウイスキーを安心して楽しめるようにするための、必要なステップなのかもしれません。
11月からの価格改定までにはまだ時間があります。愛飲されている方は、この機会に今後の楽しみ方を考えてみてはいかがでしょうか。