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英米貿易協定、スコッチとバーボンは「蚊帳の外」?

英米貿易協定、スコッチとバーボンは「蚊帳の外」?

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先週、大々的に発表された英米間の新たな貿易協定。

両政府は「歴史的なリセット」と自賛しましたが、アルコール飲料の関係者、特にスコッチウイスキーの生産者にとっては、喜びよりも戸惑いと失望が勝る結果となりました。

協定では、一部の農産物や自動車については即時の関税撤廃・削減が実現したものの、ワイン・ビール・スピリッツ(蒸留酒)は置き去りに。

複雑な関税制度が温存され、期待していた恩恵は得られませんでした。英国の蒸留所は関税引き下げの恩恵を受けられない一方、米国のエタノール輸出業者が思わぬ勝者となったのは皮肉です。

スコッチは落胆、バーボンはひと安心──温度差が鮮明に

今回の協定で米国は、英国産の鉄鋼・アルミ・自動車への関税を撤廃・削減。その代わり、英国は米国産牛肉と燃料用エタノールの受け入れ拡大を約束しました。

しかし肝心のスコッチには朗報なし。長年のロビー活動にもかかわらず、米国は2025年4月に導入した英国産アルコールへの10%輸入関税を維持しました。スコッチウイスキー協会(SWA)は「一刻も早く“関税ゼロ対ゼロ”に戻したい」と訴えます。最大市場である米国での競争力低下は大きな懸念材料です。

一方、バーボンなど米国産スピリッツは現状通り無関税のまま英国に輸出可能。米国蒸留酒協議会(DISCUS)は安堵しつつも、完全な関税撤廃の復活を求めています。

ビール業界の不満と「エタノール論争」

英国のビール醸造業者も肩を落としました。英国ビール・パブ協会(BBPA)は「実質的なメリットは皆無」とコメント。

英国エールやクラフトビールも10%の米国関税に直面し、価格競争力を失っています。抗議の一環として、タイタニック醸造所は国内17店舗から米国産ビールとスピリッツを全面撤去しました。

さらに物議を醸したのがエタノール。英国は米国産燃料用エタノール14億リットルの関税を撤廃。米国再生可能燃料協会(RFA)は年間7億ドルの輸出増を見込む一方、英国政府は「ビール生産支援になる」と説明しました。しかしBBPAは「エタノールはビール醸造に使わない」と反発し、業界の混乱が浮き彫りになっています。

インド市場に光明、スコッチの新たな活路

暗いニュースばかりではありません。

英米協定発表から数日後、英印間で新たな貿易協定がまとまりました。インドがスコッチに課す関税を、現在の150%から今後10年かけて40%まで段階的に引き下げる内容です。SWAはこれを「画期的」と歓迎し、5年で最大10億ポンドの輸出増を見込んでいます。

一貫性なき英国貿易戦略──業界の戦いは続く

米国とインドで正反対の結果が出たことで、英国の貿易戦略の一貫性に疑問符が付きました。政府は「自由貿易の旗手」を掲げるものの、ウイスキーよりエタノール、クラフトビールより自動車を優先した今回の譲歩は、産業間の優先順位の曖昧さを示しています。

アルコール飲料業界は「今回の協定がゴールではない」と強調。ある業界幹部は「雇用は守れたが、課題は山積み。交渉はこれからだ」と語ります。大西洋を挟んだ乾杯が本当に響く日は、まだ先になりそうです。




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