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ボトルは余るが聖地は満員。スコッチ「だぶつき」の裏でウイスキー観光が過去最高を記録

ボトルは余るが聖地は満員。スコッチ「だぶつき」の裏でウイスキー観光が過去最高を記録

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現在、スコッチウイスキー業界は奇妙な二重構造の中にあります。最大手のディアジオが「ティーニニック蒸留所」の稼働を削減し、最新鋭の「ローズアイル製麦工場」を一時閉鎖するなど、供給過剰によるブレーキをかけている。

しかしその一方で、蒸留所を訪れる観光客数は過去最高を更新し続けているのです。

ウイスキーのボトルが小売店でだぶついている裏で、なぜ蒸留所ツアーの予約だけは埋まり続けるのか。

この「逆転現象」には、日本のウイスキー産業が直面する課題を解決する大きなヒントが隠されています。

「所有」から「体験」へ。ウイスキーファンの行動変容

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現在のスコッチ業界を襲っている「だぶつき」の主な原因は、世界的なインフレや主要市場での需要減退。しかし、これによってウイスキーファンの熱が冷めたわけではありません。

むしろ、市場に製品が溢れ、価値がコモディティ化しているからこそ、ファンは「特別な体験」を切望しています。

小売店の棚に並ぶボトルを眺めるだけでなく、その土地の空気を感じ、ポットスチルの熱気に触れ、作り手から直接物語を聞く。

こうした「原点への回帰」こそが、今のファンが最も価値を感じる贅沢となっています。液体としてのウイスキーが飽和している時代において、差別化の鍵は「飲むこと」そのものよりも、その背景にある「体験」へと移行している。

巡礼を最適化する「シップ・シーカーズ」という武器

この観光熱をさらに加速させるデジタルインフラとして、スコットランドで注目を集めているのが、2025年12月にローンチされた「シップ・シーカーズ(Sip Seekers)」です。

https://www.sipseekers.com/

エディンバラの起業家、ヴィクトリア・ミラー氏が立ち上げたこのプラットフォームは、スコットランド中にある50以上の蒸留所や醸造所のツアーを、リアルタイムで検索・予約できる一括エンジン。

これまでの蒸留所巡りは、各社(各蒸溜所)で異なる不親切な予約システムを渡り歩く、いわば「情報の迷路」でした。しかし、この仕組みの登場により、ファンは航空券を探す感覚で効率的に巡礼を計画できるようになりました。供給過剰に悩むメーカーにとっても、自社のストーリーをダイレクトにファンに届けるための強力な窓口となっています。

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日本の「100蒸留所時代」に求められる、真のプラットフォーム

さて、この状況を日本に置き換えてみましょう。

国内でもクラフト蒸留所は100カ所を超え、ファンにとっては「どこを訪ねるべきか」という情報の取捨選択が非常に難しいフェーズに入っています。各蒸留所は魅力的なツアーを用意していますが、予約の利便性はバラバラ。この「情報の目詰まり」こそが、今の日本ウイスキー観光における最大の損失です。

もし、日本でも「シップ・シーカーズ」のような、UIに優れた、直感的に予約ができる統合サイトがあれば、間違いなく爆発的に利用されるでしょう。

また、そのような質の高いメディアであれば、各蒸留所からの協賛を得るというビジネスモデルも十分に成立するはずです。

日本版のシップ・シーカーズの構築は?

日本版のシップ・シーカーズを誰が構築するのが最適か。

順当に考えれば、日本のウイスキーシーンを長年牽引してきた「ウイスキー文化研究所」や、データ量に定評のある「jpwhisky.net」といった専門組織がその役割を担うのが理想的なのかもしれません。土屋守氏らが築いてきた膨大な知識と信頼が、使い勝手の良いUIと融合すれば、日本のウイスキー観光は一段上のステージへ進めるはずです。

ただ、正直なところ、この手のプラットフォームは「誰がやるか」よりも「いかに使いやすいか」が全てです。

次はどのようなテクノロジーがウイスキー体験を拡張するのか、その動向を注視していきたいと思います。

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