オトナなチョコレートのプレゼントにウイスキーボンボン
金色の包装紙をわくわくしながらはがして、綺麗に装飾の施されたチョコレートを口に入れる。
一つ噛んだところで苦みのある大人の味がじわっと広がり、そこでそのチョコレートはウイスキーボンボンであることに気付き、ふっと息を漏らし笑みを浮かべる。
チョコレートの甘みとウイスキーの苦みが溶けあった大人のお菓子。ウイスキーボンボン。
私はウイスキーボンボンの楽しみ方の一つに、食べてからただのチョコレートではなくウイスキーボンボンだったのかと驚く面白さがあると思います。チョコレートだと思って食べた時、後から滲みだすウイスキーの苦みとほのかな甘みには、少しばかりの驚きと予想もしていなかった味の深みを楽しめるからです。
ではそんなウイスキーボンボンとは、正確にはどんなお菓子なのでしょうか。
「ボンボン・ア・ラ・リキュール」洋酒入りのボンボン菓子
ウイスキーボンボンは日本での呼び方で、その原型にはフランスのボンボンというお菓子があります。
ボンボンとは、ナッツやフルーツなどを砂糖で包んだお菓子のことをいいます。ボンボンの定義は広く、砂糖菓子であるドラジェといったゼリービーンズ、金平糖、さらにはグミ、キャラメル、マシュマロ、ガムなどもボンボン菓子の中に入るそうです。
ボンボンは砂糖で包む代わりにチョコレートで包んだり、中身もナッツやフルーツだけではなく様々なものを入れて楽しむようになりました。その後、洋酒をチョコレートで包むお菓子が生まれました。
それが、「ボンボン・ア・ラ・リキュール」。洋酒入りのボンボンです。
その洋酒をウイスキーと選び、チョコレートでコーティングして日本で商品化されたお菓子がウイスキーボンボンだった、というわけです。
元々はフランスのお菓子だったボンボン。中世ヨーロッパのフランスでは貴族や貴婦人の間で流行し、また日本でも大正時代にウイスキーボンボンを最初に広めたとされるロシアの菓子職人、マカール・ゴンチャロフが創設した菓子メーカー『ゴンチャロフ』をはじめとする、チョコレートとウイスキーのコラボレーションに多くの人々が夢中になりました。
『ウイスキーは大人の味』
そう考えられていた洋酒が、アルコールにそこまで強くない方でも楽しめるようお菓子になったのことは当時は驚かれました。
独特な味と風味、そして多少の物珍しさも加わってウイスキーボンボンは日本の大人に今も一定の人気を勝ち得ているのです。
ウイスキーボンボンの奥深い味を知る
チョコレートブランドとして知られる『モロゾフ』のウイスキーボンボンは、チョコレート一個あたりのアルコール度数が2%となっています。
アルコール度数2%は結構馬鹿になりません。少量のお酒で酔ってしまう人だったら一個二個食べただけで酔ってしまうこともあるでしょうし、また過去にはウイスキーボンボンで飲酒運転に捕まってしまったという例もあります。
余談ですが、子供の頃、チョコレートをウイスキーボンボンとわからず食べてちょっと酔ってしまったなんて経験が筆者にはあります。その時は、チョコレート甘さとと砂糖のしゃりっとした触感まではよかったのですがウイスキーは苦くて余計だなあと思った記憶がぼんやりと残っています。
ウイスキーボンボンはアルコールが含まれているがゆえに、一般的なチョコレート菓子とは一線を画します。アルコールが入っているからこそ大人のお菓子であり、子供では十分に味わうことのできない美味しさがウイスキーボンボンには秘められているのです。
親愛の証にウイスキーボンボンのプレゼント
ウイスキーボンボンは大人のお菓子であるからこそ、プレゼントとして様々な意味を込めることができます。
大人が大人と認めた人に差し上げるチョコレートのプレゼントは、単なるお土産や贈り物に止まりません。
言うなれば、それは親愛の表現。
大人の味を知っていることを前提に渡されたプレゼントには、想う気持ちがカタチとなって表れています。
大人から大人へ。自分が認めた大事な人へのプレゼントにウイスキーボンボンはいかがでしょうか。
受け取った人は、ただのチョコレートではなく特別な意味を込めたプレゼント。そんな風に感じ取ってくれることでしょう。
手作りウイスキーボンボン。手間の分だけ思いが詰まります。
度数の高いウイスキーが入ったボンボンは、実は保存が難しいのです。冷たい場所での保管なら大丈夫なのですが、少しでも暖かい場所に置いておくだけでウイスキーが蒸発し溶けだしてしまうからです。
そういった理由からもそう販売数が多くないウイスキーボンボン。有名なチョコレートメーカーから販売されるもの、期間限定だったり季節限定だったりします。
タイミングが悪く買えなかったり、そもそも売っているところが多くなかったりしてウイスキーボンボンが手に入れられない。見つからない。
そんな時は作りましょう。プレゼントにしても食べるにしても、自分で選んだウイスキーで作ったウイスキーボンボンはきっとお気に召すはずです。
ウイスキーボンボンは作るのにちょっと手間がかかります。しかし、かけた手間分の美味しさ、そして気持ちはしっかり詰まります。
レシピを置いておきます。どうぞ皆さん、好みのウイスキーに手間をかけた分の気持ちを込めて、ウイスキーボンボンを作ってみてください!
ウイスキーボンボンの作り方
用意する道具
薄く幅の広いタッパー なべ ボール ふるい ハケ 水差し、またはスポイト 温度計
材料
コーンスターチ 適量(用意したタッパーを敷き詰めて余るくらい)
グラニュー糖 200g
水あめ 6g
お好みのウイスキー 60g
水 60g
1、型を作ります。
薄いタッパーにコーンスターチを擦りきりいっぱいまで敷き詰めます。
コーンスターチは型となりますので、オーブンを使って低温で焼いた乾燥しているものの方が後でくっつかかなくて済みます。
敷き詰めたコーンスターチを窪ませて型を作りましょう。お好みの凸型があればそれを押し付けて型を取ってください。
2、ウイスキーシロップを作ります。
グラニュー糖、水あめ、水をなべに入れて強火にかけ、温度計を使って110度まで加熱します。
110度ちょうどで火から上げ、ボールに張っていた水に少しだけなべの底をつけて余熱を防ぎます。
なべの中身を、ボールに入れたウイスキーにゆっくり流し入れます。混ぜずに、さらにボールの中身をなべに戻し、何度も静かになべとボールを往復させ混ぜ合わせます。
これでウイスキーシロップは完成です。
3、シロップを型に注ぎます。
作ったシロップを水差しやスポイトを使って静かにタッパーに窪ませた型に注ぎます。こぼれないよう注意です。
入れ終わったら、ふるいでコーンスターチを表面に振りかけます。完全に見えなくなるくらい十分振りかけて下さい。
シロップが完全に埋まった状態で6時間ほど動かさず置きます。
4、固まってきたシロップを動かします。
そっと破らないように上下を逆さまにしてください。
この状態から、また6時間ほど置きます。
5、固まったボンボンを取り出します。
温度が高かったり濡れたりするとボンボンは破けてしまうので、気を付けて掘り出しましょう。
掘り出したボンボンはハケできれいにして取り出します。デリケートなので優しく扱ってください。
これで一応完成ですが、やっぱりチョコレートに包んであるウイスキーボンボンがいいという方は、大きめのチョコ型にボンボンを入れてチョコレートで包むのもアリです。
しかし、下手をすると破けてしまうので包む時は丁寧かつ迅速にコーティングすることを心がけてください。
ウイスキーボンボンに入ってたらうれしいウイスキー
ウイスキーボンボンは、シロップ状に混ぜ合わせて砂糖の殻を作るため、甘みを抑えたものがいいとされます。チョコレートでコーティングする場合は、特に甘いウイスキーではなく、風味や苦みのきいたウイスキーを使うべきでしょう。
ジョニーウォーカー ブラックラベル
深みのある味わいを持つため、味が崩れてしまいがちなウイスキーボンボンの中に入っていてもそのコクと風味は失われません。ジーンと口の中に広がる鈍い苦みはチョコレートと組み合わさることにより、上品な味をもたらしてくれることでしょう。
お値段もお手頃です。使い切らなかったウイスキーは、ハイボールにしてみては?
メーカーズマーク
濃い琥珀色の、赤い封蝋が特徴的なバーボンウイスキーです。よく製菓にも使われるこのウイスキーは、バーボンならではのパンチのある重みをもちながらも、口当たりは柔らかく南国のフルーツのような香りを持ち合わせています。後味もさっぱりしているので、ウイスキーボンボンの中に入れても心地よく食べられます。
スーパーやコンビニでもよく見かけるメーカーズマークは、お買い得ですよ。
ロイヤルサルート
英国女王エリザベス二世の戴冠式を記念して造られた特別なスコッチウイスキー。
洋ナシやベリーといったとろける様な果物の香りと、香草に似た独特の風味が絡み合った香りを持ちます。その味わいは豪華で上品そのもの。正に瀟洒といったこのウイスキーは、ハッとする華やかさがあります。特別な思いを込めたウイスキーボンボンにはうってつけの一本。
記念ウイスキーだけあって少々値が張ります。しかしウイスキー好きにはうれしいこのウイスキー。ウイスキーボンボンを渡した相手と一緒に飲むというのも洒落ていますね。
お菓子だけどお菓子じゃない、ウイスキーボンボン
いかがでしたでしょうか。ウイスキーをふんだんに使ったウイスキーボンボンは、一般的なお菓子とは少し違うことがわかっていただけましたか。
ちょっと気分を変えたい時、趣向を凝らしてみたい時、ウイスキーボンボンはいいかもしれませんね。
しかし、食べ過ぎには注意です。
なんせウイスキーが入ってますから酔っぱらってしまわないようにしましょう。