アイラ島最古の蒸溜所として知られるボウモアから、新たなシングルモルト「ボウモア 11年」が発表されました。
このボトルは一般の小売店には並ばず、2025年10月25日より、世界中の空港などで展開されるグローバル・トラベル・リテール(GTR)、すなわち免税店チャネル限定で発売されます。

なぜ今、免税店限定の「11年」なのか?

今回のリリースは、ボウモアのGTR市場における、非常に考え抜かれた戦略的な一手と分析できます。
近年のGTR市場では、旅行者は単に安い製品を求めるだけでなく、「そこでしか手に入らない」という限定性や、ブランドの伝統に裏打ちされた革新的な製品を求める傾向が強まっています。
ボウモアのGTR向けラインナップは、これまでノンエイジ(熟成年数表記なし)の手頃なボトルと、高価格帯の長期熟成品が中心でした。
今回発表された「11年」は、その中間に位置する、いわば「アッパーミドル」の製品。手に取りやすい価格でありながら、しっかりと熟成年数が表記された信頼感と、GTR限定という特別感を両立させることで、目の肥えた旅行者のニーズに応えようという狙いがあります。
「アイラの女王」らしさを映す味わい

「ボウモア 11年」の中身は、まさに「アイラの女王」と称されるボウモアのハウススタイルを体現しています。
熟成には、EXバーボンカスクとスパニッシュシェリーカスクの両方を使用。これにより、ボウモアの特徴である穏やかなピートスモークに、バーボン樽由来の甘みと、シェリー樽由来のダークフルーツのニュアンスが調和。
公式テイスティングノートには、「スモークとダークチョコレートのノートに、クルミの糖菓子や焼きたてのサワードウブレッドが続く。甘い赤系ベリー、クリーミーな柑橘、そして松脂のヒントが風味のプロファイルを完成させる」とあり、短熟ながらも複雑でバランスの取れた味わいが期待されます。
アルコール度数を40%に設定している点も、しっかりとした個性を持ちつつも、アイラモトの初心者にもアプローチしやすい飲みやすさを実現しており、幅広い層の旅行者に手に取ってもらうことを意識した設計と言えるでしょう。
製品情報と価格

商品名: ボウモア 11年
熟成年数: 11年
アルコール度数: 40%
発売日: 2025年10月25日より
販売チャネル: グローバル・トラベル・リテール(免税店)限定
希望小売価格: 55ドル(約9,100円)
ボウモアは近年、ワインカスクでフィニッシュした「アペラシオン・コレクション」をGTR向けに投入するなど、このチャネルへの注力を強めています。今回の「ボウモア 11年」の登場は、その戦略をさらに推し進めるものです。海外へ旅行する際の、免税店を訪れる楽しみがまた一つ増えたと言えるでしょう。