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政治がウイスキーを「追放」する?オンタリオ州首相、クラウンローヤルの販売禁止を警告

政治がウイスキーを「追放」する?オンタリオ州首相、クラウンローヤルの販売禁止を警告

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「カナダの誇りを捨てるなら、もう売るな!」

カナダを代表するウイスキーブランドであり、世界的なベストセラーでもある「クラウンローヤル」が、本国カナダの最大市場であるオンタリオ州から消えるかもしれない——。そんなニュースが世界を駆け巡っています。

オンタリオ州のダグ・フォード州首相は、このウイスキーの持ち主であるディアジオ社に対し、「オンタリオ州での販売を禁止する準備はできている」と、これまでで最も強い警告を発しました。

なぜ、そこまで事態が悪化してしまったのか。その裏には、巨大企業と地元のリーダーによる「プライドをかけた衝突」がありました。

怒りの原因は「工場の閉鎖」と「仕事の流出」

ディアジオ社がカナダにカーボンニュートラル蒸溜所を建設

今回の騒動の直接的な原因は、ディアジオ社がオンタリオ州にある工場の閉鎖を決めたことにあります。

会社側は「もっと効率よく運営するため」として、カナダにある拠点を整理し、アメリカなどに仕事を移そうとしています。しかし、これによって地元の人たちの仕事(雇用)が約200人分も失われることになりました。

これに対し、フォード州首相は「カナダの象徴とも言えるお酒が、地元の人間を切り捨ててヨソへ行くなんて許せない」と猛反発。「お前たちが俺たちの州の人間を傷つけるなら、俺たちだってお前たちの商売を台無しにしてやる」と、真っ向から勝負を挑んだのです。

世界最大級のバイヤー「LCBO」という強力なカード

フォード州首相がこれほど強気なのには理由があります。オンタリオ州では、お酒を売るための強力な権限を州政府が握っているからです。

州政府が運営する「LCBO」という酒販店は、世界でも有数の巨大な買い手。もしここからクラウンローヤルが撤去されれば、メーカーにとってはとんでもない金額の損害になります。州首相は、この「販売ルート」を人質にとって、会社側に工場の閉鎖を思いとどまらせようとしているのです。

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ウイスキーは「誰のもの」か?

クラウンローヤルは、1939年にイギリス国王がカナダを訪れたことを記念して作られた「カナダの宝」のような存在です。

ファンが愛しているのは、その味だけでなく、「カナダの地で、カナダの職人が作っている」という物語です。

もし安く作るために製造拠点をアメリカなどに移してしまえば、それはもはや「カナダのウイスキー」とは呼べなくなるのではないか——。そんな不安が、今回の騒動の根底にあります。

「カナダでクラウンローヤルが買えなくなる」という前代未聞の事態。州首相は記者会見でボトルを逆さまにして中身をぶちまけるパフォーマンスまでして、その本気度を示しました。

効率を求める巨大企業の論理と、地元の雇用と誇りを守ろうとする政治の論理。この「王冠(クラウン)」をめぐる戦いがどこに軟着陸するのか、カナダ中のウイスキーファンが固唾をのんで見守っています。




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