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復活からわずか15ヶ月、ローズバンク蒸溜所に異変?人員削減の背景を探る

復活からわずか15ヶ月、ローズバンク蒸溜所に異変?人員削減の背景を探る

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30年の時を経て、2024年6月に「ローランドの王」が華々しく復活を遂げたニュースは、世界中のウイスキーファンを熱狂させました。

しかし、その再オープンから僅か15ヶ月、スコットランドのローズバンク蒸溜所が、人員削減を計画しているという厳しいニュースが飛び込んできました。

一体、何があったのでしょうか。

公式発表された内容

ローズバンク蒸溜所の所有者であるイアン・マクロード・ディスティラーズ社は、今回の人員削減計画の理由として、「厳しい取引状況、世界的なウイスキー市場の軟化、そして予想を下回る来場者数」などを挙げています。

具体的には、ビジターセンターの営業時間を需要に合わせて短縮し、それに伴いスタッフの役割を見直すとのこと。

ウイスキーの蒸留自体は継続されるとしていますが、復活を祝ったばかりのファンにとっては、不安を覚えるニュースであることは間違いありません。

背景1:大きすぎた期待と「ローランドの王」の復活劇

このニュースの衝撃を理解するためには、ローズバンクがいかに特別な蒸溜所であったかを振り返る必要があります。1993年に閉鎖されるまで、「ローランドの王」と称されたローズバンクは、この地方の伝統である3回蒸留と、ワームタブによる冷却という、今では珍しい製法を守り続け、軽やかでフローラルな、唯一無二のウイスキーを造っていました。

その失われた味わいの復活は、まさに悲願でした。イアン・マクロード社は、実に8,000万ポンド(1ドル135円換算で約108億円)以上とも言われる巨額の資金を投じ、4年の歳月をかけて、この歴史的な蒸溜所を寸分違わぬ姿で再建したのです。期待が大きかっただけに、今回のニュースはより深刻に受け止められています。

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背景2:逆風吹き荒れるウイスキー市場

公式発表にある「世界的なウイスキー市場の軟化」という言葉も見過ごせません。ここ数年の世界的なウイスキーブームは、一部で過熱感が見られ、その反動が来始めているとの指摘もあります。世界経済の不透明感も相まって、特に高価格帯のウイスキー市場には、以前ほどの勢いがないのが現状です。

ローズバンクの苦戦は、個別の問題だけでなく、スコッチウイスキー業界全体が直面する、より大きなトレンドの変化に晒されている側面があるのかもしれません。

背景3:立地とツーリズムの厳しい現実

最も直接的な原因として挙げられているのが、「予想を下回る来場者数」です。

ローズバンク蒸溜所が位置するフォルカーク市は、エディンバラとグラスゴーという二大観光都市の間にありますが、それ自体が多くの観光客を惹きつける場所とは言い難いのが実情です。

近年、スコットランドではマッカランやグレンリベットといった大手蒸溜所が、ビジター体験に莫大な投資を行い、ツーリズムの競争は激化しています。

素晴らしい蒸溜所と質の高いツアーを用意するだけでは、安定した集客を見込むのが難しい。ローズバンクは、その厳しい現実に直面していると言えるでしょう。

ローランドの王の未来は

今回の人員削減は、ファンにとっては痛みを伴うニュースです。

しかし、運営元であるイアン・マクロード社は、グレンゴインやタムデューといった蒸溜所の運営で実績のある、経験豊富な企業です。

同社は、今回の決定を「長期的な成長を可能にするためのビジネスモデルの調整」であり、「苦渋の決断」であると説明しています。ウイスキーの蒸留が続けられる限り、希望はあります。

「ローランドの王」がこの試練を乗り越え、その名にふさわしい素晴らしいウイスキーをリリースしてくれること祈りたいです!




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