「ザ・マリタイム・モルト(海のモルト)」として知られる、スコットランド本土最北端の蒸溜所オールドプルトニー。
200周年に向かう歴史の中で、“究極”と呼ぶにふさわしい、傑作がリリースです。
その名は「オールドプルトニー・ポラリス」。蒸溜所史上最長熟となる47年の歳月が溶け込んだ、世界に一本しか存在しないウイスキーです。
アートとウイスキーの融合、故郷へのオマージュ

「ポラリス」は、蒸溜所が位置する港町ウィックの荒々しくも美しい自然と、職人たちの魂が結集した一つの芸術作品です。
ボトルは、地元のガラス工房「グラスストーム」が手掛けた、深海の青を思わせる1.5リッターのハンドブロウン・デキャンタ。表面に施された「インシソ」と呼ばれるカッティングが、北海の荒波のきらめきを表現しています。
そして、このデキャンタを抱くのは、地元のケイスネス・スレート(粘板岩)で作られた、断崖絶壁を思わせる荘厳なスカルプチャー。
さらに、この岩肌には銀と銅のラインが織り込まれていますが、この銅には特別な意味が込められています。
それは、オールドプルトニーの蒸溜器から実際に取り出された銅片らしいのです。数えきれないほどの蒸留で、ウイスキーの魂の蒸気を浴び続けた銅。このボトルを所有することは、蒸溜所の歴史そのものの一部を所有することを意味します。
47年の歳月が織りなす、究極の味わい
この芸術品の中に眠るのは、40年間アメリカンオークのバーボン樽で熟成された後、最高級のスパニッシュオーク・シェリー樽でさらに7年間という、合計47年の長い熟成を経たシングルモルトです。アルコール度数は43.6%。
世界的なウイスキー専門家であるデイヴ・ブルーム氏とジョニー・マコーミック氏が、その複雑な味わいを絶賛しています。
香り: オールドプルトニー特有の潮風の香りから始まり、糖蜜のケーキ、ナツメグ、深いオーク、バニラ、エスプレッソフォーム、焼きリンゴへと幾重にも重なるアロマが広がる。
味わい: 口に含むとシルクのように滑らか。スコットランドの伝統菓子「タブレット」や柑橘の皮、グリルしたパイナップル、チェリーケーキのような風味が、ミネラル感を伴って押し寄せる。
フィニッシュ: ダークチョコレートとコーヒーの贅沢な余韻が、クリーミーさと共に長く続く。
チャリティーと祝祭のために
この世界に一本だけの「ポラリス」は、2025年10月10日にエディンバラ近郊で開催される、スコットランドのウイスキー業界を挙げたチャリティーオークション「ディスティラーズ・ワン・オブ・ワン」に出品されます。その収益は、スコットランドの若者を支援する基金に寄付されるとのこと。
予想落札価格は26,000~40,000ポンド(約550万円~840万円)と見積もられています。
2026年に迎える蒸溜所設立200周年。その壮大な祝祭の序曲として発表された「ポラリス」は、オールドプルトニーの過去への敬意と、未来への確固たる指針を同時に示す、北極星(ポラリス)のような輝きを放っています。