2025年5月13日、サントリーグローバルスピリッツ傘下の米国ケンタッキーウイスキーブランド「ノブクリーク®」は、シングルバレルプログラムに新たにカスクストレングスのバーボンとライウイスキーを追加することを発表しました。
アンカット、アンフィルタードで探る「樽の個性」
この新しい「ノブクリーク® シングルバレルセレクト カスクストレングス」は、その名の通り、カスクストレングス(樽出し原酒)で提供されます。特徴は以下の通りです。
- アルコール度数:
- バーボン:約55%~65% ABV(110~130プルーフ)
- ライ:約50%~60% ABV(100~120プルーフ) ※樽によって変動します。
- 製法: アンカット(加水なし)、アンフィルタード(無濾過)。これにより、樽ごとの微妙な風味の違いや、ウイスキー本来の力強い味わいがよりダイレクトに楽しめると期待されます。
- 熟成年数: シングルバレルのバーボンは最低9年、ライは最低7年の熟成を経ています。
これまでノブクリークのシングルバレルバーボンは120プルーフ(60% ABV)、ライは115プルーフ(57.5% ABV)でボトリングされていましたが、この新しいカスクストレングスプログラムでは、それを上回るアルコール度数でボトリングされる可能性もあり、樽ごとのバリエーションが一層豊かになると考えられます。
Food & Wine誌によれば、既存の120プルーフのシングルバレルは、その力強い風味と比較的良好なコストパフォーマンスでバーボン愛好家から支持されてきました。
期待される風味
各樽は独自の風味特性を持ちますが、Food & Wine誌は、ノブクリークの標準的な製品ラインナップと比較して、より力強いアロマとフレーバーが期待できるとしています。
- バーボン: 標準品に似たスモーキーなオーク、キャラメル、ヘーゼルナッツのニュアンスが、より強調されて感じられるでしょう。
- ライ: ライ麦由来のスパイシーさと甘いオークの香りが特徴とされています。
サントリーのアメリカンウイスキーブランドアンバサダー、ティム・ホイスラー氏はFood & Wine誌に対し、「カスクストレングスセレクトの提供は、ファンが愛する大胆で風味豊かなキャラクターを、最も純粋な形、つまりアンカット、アンフィルタード、そして樽から直接ボトリングすることで実現します」と語っています。
また、「高アルコール度数のウイスキーや、深くニュアンスに富んだ表現への関心が高まる中、カスクストレングスセレクトは、すべてのボトルでさらに個性的でパーソナルなものを提供することを可能にします」とも述べています。
米国での選定プログラムと価格
米国の小売業者は、ケンタッキー州クレアモントにあるジェームズ・B・ビーム蒸溜所を訪問し、歴史あるK倉庫で樽を直接テイスティングして選定するプログラムに参加できます。選定後には蒸溜所内のレストランでの食事も提供されるとのことです。蒸溜所訪問が難しい場合は、遠隔選定用のサンプルキットも用意されます。
「ノブクリーク® シングルバレルセレクト カスクストレングス」のバーボンおよびライは、米国での希望小売価格が750mlボトルで70ドルと設定されています。
日本での展開について
現時点では、この新しいカスクストレングス製品の日本国内での正式な発売時期や価格については発表されていません。
米国の小売業者向けプログラムという性格上、すぐに日本の店頭で広く見かけることは難しいかもしれませんが、専門性の高い酒店やバーなどで並行輸入品として扱われる可能性は考えられます。
ノブクリークは、その丁寧な熟成と力強い味わいで知られるブランドです。
今回のシングルバレルプログラムを刷新は、ウイスキーの個性を深く追求する日本の愛好家にとっても、関心の高いニュースと言えるでしょう。
どんな味になるのか、今から楽しみです。