キリンホールディングス傘下のキリンビールは2025年5月7日、ウイスキーの熟成プロセスを顧客の人生と重ね合わせる新しいコンセプトのサービス「人生を共に生きるウイスキー」を発表しました。
このサービスは、購入した原酒が富士御殿場蒸溜所で20年間樽熟成される間、定期的に熟成途中のサンプルが届けられるというもの。6月6日よりクラウドファンディングサイト「Makuake」でプロジェクトを開始し、市場の反応を見ながら本格展開を目指します。

20年間の「伴走型」ウイスキー体験
具体的には、顧客が選択した年(Makuakeでは2019年から2025年の原酒が対象)の熟成0年のウイスキーを購入するところからスタート。
その後、例えば0年、3年、7年、10年、13年、16年といった節目で、ブック型の特製ケースに収められた熟成途中のウイスキーサンプル2本が手元に届きます。
そして20年後、完成したフルボトルと共に、これまでの歩みを振り返るかのように、異なる熟成年数のウイスキーを比較テイスティングできるという趣向です。
キリンによれば、このアイデアは2021年度の社内新規事業提案制度から生まれたもので、発案者であるキリンビール株式会社マーケティング部事業創造室の小島亨介氏は、自身の子供の誕生を機に着想を得たといいます。
子供の成長や夫婦の記念日、あるいは自身の人生のマイルストーンなど、様々なライフイベントとウイスキーの熟成を重ね合わせることで、よりパーソナルで感慨深い一杯を提供することを目指しています。
大手キリンが手がける安心感と、クラウドファンディングという手法
20年という長期にわたるプロジェクトだけに、事業の継続性や品質管理は消費者にとって気になるところでしょう。
その点、大手飲料メーカーであるキリンが手掛けるという事実は、一定の安心感につながると言えそうです。
富士御殿場蒸溜所という確かな生産背景も、ウイスキー愛好家にとっては魅力的な要素となります。
また、キリンのような大企業が、新事業のスタートにあたりクラウドファンディングという手法を選択した点も注目されます。
同社は、「20年にわたる事業のため、本事業のファンになっていただいた皆さまのお声を聞きながら、一緒にサービス体験を向上していきたい」としており、顧客とのダイレクトなコミュニケーションを通じて、共にサービスを育てていくという現代的なアプローチを目指しているようです。
ウイスキー市場では近年、原酒不足や価格高騰が話題となる一方で、クラフト蒸溜所の台頭や多様な楽しみ方の提案など、新しい動きも活発です。
「人生を共に生きるウイスキー」は、こうした市場環境の中で、大手メーカーが提案する新しいウイスキーとの関わり方として、どのような反響を呼ぶのか注目されます。
プロジェクト詳細
- プロジェクト名: 人生を共に生きるウイスキー
- クラウドファンディング開始日: 2025年6月6日(金)
- プラットフォーム: Makuake
- 起案者: キリンビール株式会社
- 詳細情報URL:
(クラウドファンディング開始日よりアクセス可能)https://jts.kirin.co.jp/03/